初体験
次の日、学校へ行くときに、莉奈に付き合ったことを話した。
「えー、ホントに?」
「うん」
「伸也先輩と愛花かぁ、美男美女でお似合いだね」
「えへへ」
陸は莉奈にしか言うつもりはなかった。
ところが学校へ行くと…
「愛花、伸也先輩と付き合ってるんだって?」
「麻衣、なんで知ってるの?」
「何でも何も学校中で話題になってるよ」
「うそ…なんで?」
そこへ伸也が堂々と1年の教室にやってきた。
「愛花」
「伸也先輩…ちょっといきなり教室にきてどうしたんですか?」
陸は戸惑いながら伸也に言った。
「何って愛花の顔が見たかったから」
まわりが注目していても伸也の態度はかわらなかった。
「ひょっとして付き合ってること言ったのって…」
「まずかった?」
「当たり前です!みんなにバレたら…」
「気にするなよ、愛花は俺の彼女なんだ。胸を張ってればいい。
何か言ってくる奴がいたら俺が守るから。
じゃあな、今日も一緒に帰ろうぜ」
そう言って伸也は去った。
あまりにも伸也が堂々としていたので、誰も陸を冷かせなかった。
陸は守るという言葉を聞いて、少し怒り気味だったのが薄れ、
またトキめいていた。
休み時間になると、麻理恵がすっ飛んできた。
「愛花、あの話本当?」
「う、うん…」
「よかったね!ってことは…葉山先輩は私が…キャ」
麻理恵は一人で言って一人で照れていた。
あの人はやめたほうがいいと言いたかったが、
はしゃいでる麻理恵を見て言えなかった。
いつか言ってあげなきゃ…。
伸也と帰り、別れ際に必ずキスをするのが習慣になった4日後のことだった。
「なあ、明日の日曜に俺んち来ないか?」
「家に?」
「ああ、愛花と二人っきりでいたいんだ。親も出かけてていないしさ」
「でも…」
付き合ってまだ6日目、それがいきなり家は抵抗があった。
「いいだろ、愛花」
伸也が強引に誘うので「うん」と言ってしまった。
大丈夫…だよね。
翌日、伸也の家を訪ねると「入れよ、誰もいないから」と
いつになく偉そうな態度で陸を招き入れた。
伸也の部屋に行き、とりあえず座った。
すると…
「そんな離れてないで隣にこいよ」
伸也はベッドに腰をかけ、その隣を叩いた。
このとき、陸は何か違うと思った。
いつもの優しさを感じないのだ。
「私…やっぱり帰る」
「待てよ愛花」
伸也は腕を掴んで強引に隣へ引き寄せた。
「ちょっと…」
「俺は本気なんだよ、本気で愛花が好きだから…一つになりたい」
そう言ってキスをすると、そのままベッドに押し倒した。
「やめて…こんなつもりじゃ」
「怖がらなくていいよ、俺が優しくするから」
「けど…」
「俺、実は不安なんだよ…愛花が可愛いから捨てられちゃうんじゃないかって。
だから捨てられないように愛花を俺のものにしたいんだ」
伸也が初めて弱さを見せた。
それが陸はとても愛おしく感じ、身を委ねようと思ってしまった。
「優しく…してね」
「ああ、もちろんだ」
13歳の秋、陸はちょっと早いロストバージンを迎えた。
想像を絶する痛さだったが、今は伸也の腕に抱かれて心地よい。
伸也の親が夕方の6時に帰るというので、その前に家を出た。
「じゃあな」
「うん」
股がすごく痛い、痛みに耐えながら陸は家に向かった。
今度こそ希美にバレないようにしないとと思っていたら
出かけていたのでホッとした。
寝るときになっても痛みは残っていた。
「私…処女じゃなくなったんだ」
捧げた相手が大好きな伸也だったので後悔はなかった。
けど、さすがにこのことは誰にも言わないつもりでいた。
次の日、学校へ行くと伸也の態度がまた横柄になっていた。
「よう、愛花。また日曜に俺んち来いよ」
「え?」
「痛かったろ?けど次は気持ちいいんだ」
急に冷めていく自分がいた。
やっぱり…違う気がする。
大事なバージン、この人でよかったんだろうか…
そう言いながらも陸はまた伸也の家に行ってしまった。
2回目のエッチは伸也が言うように確かに気持ちよかった。
しかし何かが足りない…そう思っていた。
特にこの日は終わってからが冷たかった。
すぐにベッドから出て抱きしめることもない。
かと思ったら「またしよう」と言って再びエッチをする。
陸は自分が伸也にとって、ただのエッチの相手にしかされてない気がしていたが、
こんな関係が1か月ほど続いた。
何度伸也とエッチしたかわからない、
陸はどことなくエッチの気持ちよさを求めるようになりつつあった。