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second life  作者:
24/112

新しい友達

一週間後、陸は部活を終えて校門に向かっていた。

いつもみな実と帰るが、みな実が風邪をひいて休みだったので今日は一人だ。

すると校門で会いたくない人物にバッタリ会ってしまった。

「香川さん…」

麻理恵は陸を見て不快な顔をして先へ歩き出した。

陸も麻理恵にムカついていたが、ふと話してみたいと思った。

お互いロクに知らないで言い合いになった。

というか言いがかりをつけられた。

ちゃんと話せば今後こんなことは起こらないのでは?

それに陸も麻理恵を理解できるのでは?

「ねえ香川さん」

麻理恵は立ち止まってから振り向いた。

「なによ」

「ちょっと話さない?」

「は?あんたと話すことなんて…」

「いいから!」

陸は麻理恵の腕をつかみ、強引に引っ張っていった。

「わかった、わかったから離してよ!」

2人は帰り道にある公園に立ち寄った。

公園で遊んでいる子供は誰もいない、陸と麻理恵だけだった。

「話ってなに?」

「私、香川さんに何かした?何もしてないよね、それなのになんで突っかかってくるの?」

「それは…」

「そんなに自分が一番モテないと嫌?葉山先輩がいい?

私は一番になんてなりたくないしモテたいと思ったことない、葉山先輩だって興味ない」

「なんで…モテるなら誰よりもモテたいでしょ」

「それは香川さんの考え方、私は違う。香川さんはただモテたいだけ?彼氏がほしいの?」

「うっ…」

麻理恵は言葉に詰まった。

チヤホヤされるうちに、自分が何を求めていたのか、わからなくなっていたのだ。

「香川さんさ、私の胸のこと言ったよね。あれ、すごくショックだった。

みんなより大きいってすごいコンプレックスなんだよ。

男子の視線なんかすごく嫌だし…それなのに誘ってるって言われて…

すごく泣きたかった」

「佐久間さん…」

陸が本当に落ち込んだ表情をしたので、自分の発言がひどかったことに気づいた。

「ごめんなさい…佐久間さんの気持ち考えないで言っちゃった…」

「謝ってくれればいいよ。ねえ、モテるとかモテないとかやめない?

もっとさ、人の内面を大事にしないとダメだよ。

それに、怒ってばっかりだと顔に出るって言ったでしょ、せっかくの可愛い顔が台無しだよ」

「な、なにを急に」

いきなり可愛いと言われたので麻理恵は照れていた。

それが妙に可愛くて笑ってしまった。

「なんで笑うの!?」

「照れてるのが可愛かったから」

「照れてなんて…でも佐久間さんがモテる理由がわかったかも」

「だからモテないって!」

「ううん、可愛くて性格も良ければね…」

「そんなことないって香川さんは…」

「やめた!佐久間さんと競う気になれなくなった。敵いっこないもん」

「敵うとか敵わないとかじゃなくて」

陸が言いかけているのに麻理恵は自分の言葉を話し続けた。

「私も人の評価を気にしないことにする」

「香川さん」

「佐久間さんが言っていること、理解したつもりだから」

話したことで、2人のわだかまりは消えた。

やはり話してみてよかった。

このまま2人は途中まで一緒に帰り、話をしていると

麻理恵は本当は素直ですごくいい子だったので別れ際に陸は言ってみた。

「私たち、もう友達だよね?」

「そう…だね、友達かな」

「友達だよ、バイバイ麻理恵」

「うん…愛花!」

いろいろあったけど、陸は麻理恵という新しい友達を作り、笑顔で家路についた。

次の日、学校へ行くときに麻理恵と友達になったことを莉奈に話した。

「それマジ?」

「うん、麻理恵っていい子だよ」

「だって愛花にひどいこと言ったじゃん」

「もう済んだこと、話せばみんなわかってくれるんだよ」

「そういうもんなのかなぁ…」

莉奈はイマイチピンときていなかった。

2時限目の授業が化学室だったので、陸はみな実たちと移動していた。

「愛花」

少し前を歩いていた麻衣が呼んできた。

「あれ」

麻衣は顎で廊下にいた麻理恵を指した。

「麻理恵」

「あ、愛花」

2人が手を振っているのでみんながキョトンとしていた。

「どういうこと?」

「ん?友達だよ」

「友達って…」

みな実と佳奈子は意味がサッパリわからなかったが、麻衣だけは理解していた。

過去に自分にしたことを麻理恵にやったのだ。

「やっぱり愛花は愛花だね」

「麻衣、なんか言った?」

「何でもない、行こう」

麻衣は愛花の横に並んで化学室へ向かった。


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