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second life  作者:
22/112

中学生

「愛花ー」

「お待たせ、莉奈」

「なんか制服って緊張するね」

「そう?」

陸は過去に学ランだが制服を着ていたので、制服に違和感はなかった。

違うのは今は女子の制服ということくらいだ。

ブレザーの制服を着て、莉奈と中学校へ向かう。

今日は入学式、新しい生活のスタートだ。

学校へ着くと、知っている顔が何人もいる。

陸の中学校は2つの小学校から来るので、単純に半分はみんな知っているのだ。

「莉奈、愛花」

振り返ると美咲がいた。

美咲とは5,6年が違うクラスであまり遊ばなかったから懐かしい感じがした。

誰か仲がいい子いたらいいな。

そんな期待を込めながら掲示板を見ると、陸は1年6組だった。

名前を見ると、麻衣とみな実が同じクラスだった。

莉奈は隣の5組、5組には綾もいた。

美咲は2組で少し離れていた。

他に仲が良かった裕美や凛も違うクラスになっていた。

「隣だから体育が一緒だね」

そんな会話をしながら5組の前で莉奈と別れ、6組の教室に入った。

辺りを見回すと、すぐに麻衣が視界に入った。

「マイマイ」

「愛花!同じクラスだね」

「ね、よかったよマイマイと一緒で」

「うん…あのね、麻衣って呼んでくれないかな?

なんか中学になってマイマイって恥ずかしくなって」

中学といってもまだ1年生初日、気持ち的には小学6年生だが、

麻衣はちゃんとそのへんを意識していた。

「OK、麻衣」

「あーいか」

「みな実!」

「また一緒だね」

2人は抱き合って喜んだ。

麻衣とみな実は特に仲が良くなかったが、陸を通じて友達になった。

慣れるまではこの3人で行動することになりそうだ。


中学校は、必ず何かしらの部活に入らなければいけない。

「麻衣は部活決めた?」

「まだー、みな実は?」

「吹奏楽部にしようか迷ってる」

「文化部なんだ、愛花は?」

「私もまだだよ、どうしよう…」

陸は、陸として中学生だったときは卓球部だった。

それなりに面白かったが、どうせなら今度は違う部活にしようと考えていた。

それもできれば文化部がいいと考えていた。

さらに…。

「外の部活はダメ!」

「なんで?」

「日焼けするからに決まってるでしょ!シミになったらどうするの?」

「ならないよ、そんな簡単に」

「後々響いてくるんだよ、愛花にシミなんかできたらショックだもん」

「仮にシミができたとしてもお姉ちゃんじゃなくて私でしょ!」

「私じゃなくても嫌なの!色白の可愛い妹が真っ黒になる姿も嫌!」

という猛反対を受けていたので、外での部活は選択肢から除外された。

「特に決まってないなら、3人で吹奏楽部見に行こうよ」

陸も麻衣も運動部しか考えていなかったが、みな実が熱心に誘うので

一度見に行くことになった。

「あら、見学?」

「はい」

「じゃあ、あそこの席に座って見学してね。あ、私は部長の紀藤です」

部長は紀藤真菜という3年生だった。

おっとりしていて優しそうな雰囲気があり、大人に見えた。

2学年違うだけで、こんなにも変わるものなのか。

そんな風に思ったが、確かに陸が中学1年だった頃も男の先輩が

とても大きく見えたので同じ感覚だと気づいた。

吹奏楽部は全部で17人、そのうち男子は4人であとは全員女子。

9人が3年生で8人が2年生だった。

男子は2人が3年で残り2人が2年。

まったく興味がなかったが、みんなが楽しそうにしているのを見ていて、

悪くないと思い始めていた。

演奏していて誰かが間違えると、笑いながら怒ったり、

常に笑顔が絶えない部活だった。

「どうだった?吹奏楽部」

「私、入ります」

みな実は吹奏楽部に入部を決めた。

陸と麻衣は考えさせてもらうことにしたが、麻衣は入らないだろうと思った。

麻衣が文化部というイメージがもてないのだ。


みな実はそのまま吹奏楽部に残ったので、麻衣と2人で他の部活を見て回った。

「やっぱり私は運動部がいいな」

麻衣がそういうので、やっぱりなと思った。

今はバスケ部の練習を見ている。

陸はその隣の卓球部を見ていた。

懐かしさを感じながらも、特にやりたいという感情は湧いてこなかった。

というより、どの運動部を見てもやりたくなくなっていた。

どの運動部も動きが激しい、それが嫌だったのだ。

その理由は胸だ、運動をすると胸が揺れる。

陸は春休みになってサイズを測ってもらったらCカップを勧められてしまった。

身長はまだ148cmしかなく、それでCカップは中学生では巨乳の部類に入る。

体育をすれば目立つし、おそらく運動部でも目立つだろう。

しかもまだ大きくなりそうな予感もある。

男子は中学生になると、性に興味を持ち始め、

この陸の胸は間違いなく性の対象にされてしまう。

なぜなら、陸も男子中学生のときがそうだったからだ。

今思えば最低だったと思うくらいだ。

男子が性の対象として見るほどライトなものではない、

成長期の女性の胸は精神的にも身体的にも、とてもデリケートだ。

一晩考えて、陸は部活を決めた。

「みな実、今日からもう部活?」

「そうだよ、愛花決めた?」

「うん、私も連れて行って」

「ってことは…」

「みな実と同じ吹奏楽部に入る」

「やったー!楽しくなりそう」

麻衣は本当にいいの?と聞いてきたが、もう決めたことだ。

麻衣曰く、陸は可愛いから運動部のほうが映えるということだったが、

当の本人は可愛いと思っていないし映えることを望んでいない。

放課後、みな実と一緒に吹奏楽部へ行き、入部届けを出した。

これから3年間、学校生活と吹奏楽部を楽しむことになる。


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