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second life  作者:
112/112

second life

4年後の日曜日…

「ほら泣かないの、よちよち」

愛花は産まれて3か月の赤ちゃんの菜摘をあやしていた。

「祥吾、オムツ持ってきて」

「はいよ」

愛花が菜摘を寝かせ、祥吾がオムツを取り換えた。

すると、菜摘は泣き止み、笑顔になっていた。

「かわいいな、ホントに。愛花にそっくりだ」

「祥吾似だよ。目なんかそっくりだもん」

「俺たちの子だもんな、どっちにも似てるか」

「だね、きっとすごい美人になるよ。菜摘は」

2人は菜摘にデレデレ、完全な親バカだった。

でもそれでいい。

親は自分の子供が一番可愛いのだ。

菜摘をベビーベッドに移すと、スヤスヤと眠っていた。

「祥吾、ホントに行っても大丈夫なの?」

「おお、菜摘はちゃんと見ておくから。愛花もたまには羽を伸ばさないと」

「ありがと、なるべく早く帰ってくるから」

愛花は支度をして家を出た。

「莉奈!」

「愛花、久しぶりー」

お互い結婚し、子供もいるので会うのは半年ぶりだった。

つまり、菜摘が産まれてからは初めて会う。

「菜摘ちゃんかわいいでしょ」

「可愛すぎだよ!もう天使にしか見えない」

「親バカだねぇ」

「莉奈だって武瑠くんのこと、そう思ってるくせに」

「まぁね、最近ちょっとわがままで大変だけど」

莉奈の子供の武瑠は2歳の男の子だ。

今では立派な母親をやっている。

「なんかみんな母親になったよね。仁菜なんか2人も子供いるし、

みな実も来月産まれるし」

「みんなそれだけ大人になったんだよ。だってもう30だよ」

「うー…年齢聞きたくない」

愛花はふざけて耳を塞ぎ、それを見た莉奈が笑っていた。

30歳…愛花になって目が覚めたときが10歳だったから、

もう20年も経ったのか…

「早いね、月日が経つのって」

「愛花と友達になって20年だもんね。人生の3分の2だよ」

愛花は20年の今までの人生を振り返っていた。

もうほとんど忘れてしまっているが、愛花は陸という18歳の男だった。

病室で目が覚め、愛花としての人生が始まった。

佐久間家に引き取られ、小学4年生からの再スタート。

そこで出会った莉奈とは20年経った今でも大事な親友になっている。

小学校で、早苗に憧れ、教師になった。

今では同僚というのも考えられないくらいだ。

中学1年で、忌々しい思い出になってしまったロストバージン。

伸也は覚せい剤所持で逮捕されたが、その後のことなど知らないし興味もない。

3年で付き合った豪も同じだ、成人式で会ったきりだけど伸也なみに興味がない。

3年といえば、陸のときの親友、佳祐との再会。

しかも佳祐は担任、偶然にもほどがあった。

そんな佳祐に正体を打ち明けたことで、今でもたまに連絡を取り合っている。

といっても、佳祐も結婚したので会うようなことはほとんどない。

高校では大事な出会いと思い出がたくさんあった。

仁菜と春樹。

この2人は現在夫婦になっている。

愛花にとって、莉奈と同じくらい大事な親友だ。

そして隼人。

別れてしまったけど、散々忘れようともしたけど、

今は大事な思い出として心の中に残っている。

8年前に会ってから一度も会っていないので、あれからどうなったか知らない。

でも、きっと幸せになっていると信じている。

大学、教師になるために国立大学に入った。

そこで友達になった千夏は、愛花と同じ教師になっている。

社会人になってから、最初は半年くらいのペースで会っていたけど、

気がつけばもう2年近く会っていない。

考えてみれば何年も会っていない友達はたくさんいた。

麻衣や裕美は成人式以来会っていない。

みな実も麻理恵も3年前に挙げた愛花の結婚式以来、

後輩だった理紗やチアリーディング部で一緒だった小陽に至っては、

6年近くも会っていない。

一番の親友の莉奈ですら半年ぶりに会うくらいだ。

それでも寂しいとは思わない。

大人になるとはそういうことだ。

そして今の愛花には、祥吾という夫がいる。

中学の頃の同級生、といっても当時は仲良くない。

成人式のときに、祥吾が積極的に話しかけてからの交際になった。

最初はなんとなく…そう思っていたのに、それが最愛の人になり、

結婚したのだから人生は不思議なものだ。

どこでどう出会いがあるのかわからない。

偶然に知り合った陸の頃の親戚、田中もそうだ。

田中とは、今でも祥吾と釣りのあと遊びに行く間柄になっている。

間違いなく言えることは、愛花は出会いに恵まれていた。

親になってくれた彰、美智子、姉の希美、親友の莉奈、佳祐、仁菜、春樹、千夏、

別れた隼人、親戚の田中、夫の祥吾、そして産まれた菜摘。

愛花にとっては、全てが大事な人だ。

これだけ大勢の人と出会いがあったから、今の自分がいる。

陸が事故に遭わず、あのまま生きていたら今頃はどんな人生だっただろうか。

きっとそれはそれで幸せな人生を送っていたかもしれない。

でも…わたしは愛花になってよかった!


「莉奈、今度は武瑠くん連れて遊びにおいでよ」

「うん!愛花も菜摘ちゃん連れておいでね」

しかし、それは何か月も先になることをお互い知っている。

2人は手を振って別れた。

歩いていると、後ろから声をかけられた。

「ひょっとして愛花?」

振り向くと、8年ぶりに見る顔があったので驚いた。

「隼人…」

「やっぱり愛花か!久しぶりだな」

隼人はスーツを着ている。

どうやら仕事帰りらしい。

今日の隼人は、昔付き合っていた頃のように爽やかだった。

「元気だったか?」

「うん…隼人はどうなの?」

「まあ、ボチボチだな」

「そっか、ならよかった」

ちらっと隼人の左薬指を見ると、結婚指輪がはめてあった。

「ああ、これか。2年前に再婚したんだ。今度はまともな奥さんだぜ」

そういって隼人は笑っていた。

「わたしも4年前に結婚したよ」

「小林と?」

「うん、今は産まれて3か月の子供もいるんだ」

「そっか…あいつ、ちゃんと約束守ったんだな!」

隼人は、8年前に再会したときのことを言っていた。

「そうか、そうか」と口ずさみながら頷いている。

そんな隼人は、まるで昔…愛花が大好きだった頃の隼人のようだった。

「なんか…今の隼人カッコいいよ」

本音を言ってニッと笑った。

すると隼人がニヤッとした。

「当たり前だろ、愛花の元彼なんだから!お互い頑張ろうな!」

そういうと、手を上げて隼人は歩き去っていった。

隼人は遠回りしたかもしれない。

それでもちゃんと幸せを手に入れた。

それを知ることが出来たので、愛花は満足だった。


「ただいま」

玄関のドアを閉めると、祥吾が「シー」とやってきた。

「やっと寝付いたんだよ」

「そうだったんだ…ありがとう、ゴメンね」

「別に気にしなくていいよ。それより山崎は元気だった?」

「うん…それでね、帰りに偶然、隼人に会った」

「田辺に?」

「再婚したって、幸せそうだったよ」

「そっか」

祥吾は少し複雑そうな顔をしている。

嫉妬しているのかもしれない。

「でね、祥吾と結婚したって言ったら、

あいつ、ちゃんと約束守ったんだなって言ってたよ」

「と、当然だろ」

今度は少し照れたような顔になっていたので、愛花はその顔を覗き込んだ。

「な、なんだよ」

「なんでもない!それより菜摘の寝顔を見にいこうっと!」

愛花は笑いながら菜摘の寝顔を覗いた。

「気持ちよさそうに寝ちゃって」

頬を突くと、一瞬だけピクってなった。

それがまた可愛くて仕方ない。

いつの間にか祥吾も横から菜摘を覗き込んでいた。

そんな祥吾に愛花は聞いてみた。

「ねぇ、祥吾は幸せ?」

「なんだよ突然…決まってるだろ」

祥吾の顔が赤くなっている。

愛花はクスッと笑った。

「笑うなよ!それより…愛花はどうなんだよ?」

「決まってるでしょ…幸せだよ!」

そういってから、菜摘の顔を見て微笑んだ。

まず、読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

無事に完結できてホッとしています。

途中、挫折しかけて更新が止まってしまったことをお詫びします。


いろいろと後書きで書きたいことがあるので、書かせてもらいますね。

今までも男が女になる小説を投稿してきましたけど、

突拍子もないような感じや非現実的な感じで性別が変わるのが嫌だったので、

どうすれば現実的に性別を変えられるか考えた結果が今回の内容になりました。

そこに関しては個人的に満足しています。

そして、実はこの小説にはテーマがありました。

それは「成長」です。

一人の女の子が苦しみながらも、恋をして友達がいて、家族がいて、立派な大人になる。

伝わりましたかね?


次に反省点を述べさせてもらいます。

感想でもいただきましたが、途中から性転換の要素が一切なくなってしまったことです。

確かに読み返してみると、愛花の内面が女の子になるのが早すぎたかなと思いました。

ただ、ああいう普通の女の子としての生活を書きたかったので…その辺を理解してもらえると嬉しいです。

個人的な一番の反省点は、ダラダラと長く書きすぎたところです。

本当は高校で終わらせる予定で書いていました。

もちろん隼人とハッピーエンドです。

ところが、書いていくうちに高校生活が順風満帆すぎて面白くないかなと…

そういう理由で、別れさせちゃいました。

ゴメンね、隼人(笑)

で、大学になったんですけど、最初は蒼佑と付き合って終わりにしようと思っていました。

しかし!ここでも余計なことを思いついてしまいまして…

大学生なんだから何人かと付き合うのが普通では?

ということで、別れさせて祥吾を登場させました。

ただ、あまり恋愛ばかりを書いても仕方ないので、蒼佑なんかメチャクチャ短く(笑)、

祥吾もあまり書いていないので読み返すと手を抜きすぎたかなと…ごめんなさい。

あともう一つ、長いでの反省点があります。

長いということは、登場人物が増えるということです。

小中高、大学、社会人、これだけ続けば人も増えますよね。。。

失敗しました。

途中から消えてしまった人物が何人いたことか…

それでもそんな中から莉奈、仁菜、佳祐、この3人は個人的に特別な人物だったので

最後まで絡めることができてよかったです。

あともう一人、隼人ですね。

あまりにもかわいそうなことをしてしまったので、最後の最後にハッピーにしました。

そうなんです、私はハッピーエンドが好きなんです☆

なので、愛花も含めた登場人物が平凡ながらも最後はみんなを幸せにしました。


そんなこんなですが、次回作はもう書き終わっています。

次も性転換ものですけど、性的描写があるのでミッドナイトノベルズのほうに投稿させてもらいます。

ただ、内容的にはほとんど小説を読もう寄りです。

一応、個人的にはこのsecond lifeの第2弾的な意味合いなので、

この新作も読んでもらえると嬉しいです。

タイトルは「my place」です。

もちろんテーマもちゃんとあります。

そして今作の反省点も踏まえています。

こっちもよろしく願いしますね♪


では、また次回作でお会いしましょう!


PS これからもいろんな作品を書いていくので、

いつかsecond lifeで登場した人物に出会えるかもしれません☆

そのときは「あ、あの人物だ」って思い出してあげてください(^^)

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― 新着の感想 ―
[一言] my place読んでとっても気に入りこの作品を読ませて頂きました。 小学4年生から苦悩し学び愛を与えひたむきに生きる愛花ちゃんが素敵です。 とっても楽しめました。何度も読み返す作品だと思い…
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