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僕は悪い魔物じゃないお!〜犬に転生した僕は成り上がる!〜  作者: ケモナー@作者
第1章《異世界に転生したから強くなってみるお!》
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ついに、移動だお

言うの忘れてました。受験が終わり、余裕ができたら1週間に2度更新したいと思います。

あくまで目標ですので期待しないでください。

「できない。上質な魔力で出来るなら・・・過去に私より腕のいい魔法師がとっくにやってる」


 セラさんは僕の問いにフルフルと首を振って否定を表す。

 わかっていたことだけど、確かにセラさんより優秀な魔法使いが存在している筈だ。現に「極限魔法」なんて規格外の魔法が使える魔導師なんて奴らがいるのだから、すでに彼らが魔剣を作っていたって不思議ではない。

 しかしこの世界の現状としては魔剣を作り上げる技術を持っていないのである。だからこそ古代器(エンシェントアーツ)なんて古代の遺産として残っているのが重宝されているのだから。


「じゃあ・・・なんで?」


「それがわかったら苦労しない。」


 デスヨネーと僕は深い溜息を吐いて、リンナの魔剣に目を向ける。

 正直言って僕は魔剣なんて見たことないから良し悪しなんて判別できないし、本当に魔剣かということもわからない。パッと見僕からしたらただの凍らせたナイフにしか見えないし。


「魔力の質・・・とか?」


「そんなチートあったらいいけど、意外にも私の魔力は普通だよ」


 そりゃ意外だ。転生者補正かと思ってたら普通に努力の結果でした。

 セラさんって努力家だったんだね!


「・・・ひどい。」


 てへぺろっ


「ブチノメス」


「すいませんっ!?」


 頭上に30個は軽く超える氷の塊を生み出したセラさんから超高速で逃げ出す。ちくしょうやっぱりチートじゃねぇか!!

 セラさんはまるで狩りとでも言うように氷弾を僕に向かって射ち出した。隕石のように落ちてくる氷の雨に、僕は白目になる。


「ちょ!?」


 白目で向いてる余裕など一瞬で失われた。ある一つの氷弾がまっすぐ僕の方に向かってきたのだ。

 本能的にヤバイと感じた僕は勢いよく前転してそれを避ける。

 次の瞬間、先程まで僕が走っていただろう後方に土と岩が潰れる爆発音が聞こえた。


「・・・」


 超本気じゃないですかやだー。

 僕が見てみたそこには、落ちてきた氷が地面に突き刺さっているという氷氷柱の貫き地獄の光景が出来上がっていた。

 一言言わせて。なんてこった。

 僕がこの光景にプルプル震えていると、セラさんは無表情で・・・しかし青筋を立てながら、掌に魔力らしきオーラをかき集めてこう言った。


「・・・カザミも努力しようか。修行開始」


 僕のてへぺろそんなにムカつく!?


「忍者との戦いを想定しよう」


 そんなジャパンなアサシンいるの?

 僕の疑問を無視し、セラさんは掌の魔力を具現化させる。

 それはいくつも詰み上がった皿のような物だ。

 しかし、それはナイフのような刃が付いており、その刃が十の字になっているのだ。

 これはあれ、あれだ。間違いなくあれだ。

 手裏剣。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


「セイセイセイセイセイセイ」


 セラさんが氷の手裏剣を何度も投げてくる。一枚一枚ではない、アニメや漫画とかである掌面側で手裏剣の表面を擦るように投げる格好だ。確かこの投げ方はフィクションなんだっけか。

 いやっ!そんな豆知識どうでもいいよ僕の脳みそ!てか、こっちに飛んでくる手裏剣の数が異常なんですけど!一気に十個とか飛んで来てるんですが、ビックリだね!?

 セラさんの方を見てみると明らかに空中から手裏剣が構築されてそのまま飛ばしてるんだけど、ファン●ルですか!?某ロボット戦士のあれかな!?

 リンナ助けて!


「カザミ、頑張って!」


 うん、僕頑張るよってバカぁん!!

 どうやらリンナは普通に修行として考えてるようだ。止めてよ!


「せいやっ」


「うぇぇいっ!?」


 刹那、僕の眼下の前までに手裏剣が多数接近していた。僕はそれに対し思いっきり自身の身体を反り返えらせる、いわゆるイナバウアーで数個の手裏剣を何とか躱す。

 避けた瞬間、僕の頬を掠めるスレスレで通り過ぎていく手裏剣に冷や汗が垂れる。

 ボケてる場合ではないと再認識した。こりゃまぢだお。


「っ!・・・マト●ックス避けだと!?」


「れ、練習なんかしてないし!」


 驚愕という風に呟く(顔は無表情)セラさんに僕は慌てて訂正の言葉を投げた。

 べ、別にかっこいいとか思ってないからね、残像を残す方も練習してるなんて事はないから!「Trinity! Help!」なんて叫んでないから!!


「・・・してるんだ。」


 やめて、そんな無表情顔で淡々と吐き捨てないでよセラさん!!めちゃくちゃくるよ、ハートに!?


「カザミ、すごい!」


「ありがとよちくしょぉぉぉぉぉ!」


 リンナが両手を握り、目をキラキラと輝かせて言ってくれるのが唯一の救いだ!さすが僕らの清涼剤!!

 だからこの不毛な争いを終わらせてよ!?さっきまでの威圧感カムバァック!!


「見て見てリンナたん。私もすごいよ?」


「だああああああああああああああああああああああああああ!?増やすなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「師匠も、すごい!」


 夜は更けていく。




★✩★




 旅の醍醐味といえば、やっぱり風景を眺めるのが乙だと思うのだ。道を進むごとに変化していく景色は、常に飽きない好奇心を満たしてくれる。

 それは歩きでも十分に楽しめる、いわば悦楽とも言えるだろう。

 しかしだ、辺りが岩とサボテンだらけの枯れ果てた大地ではさすがにつまらない。まぁ、それはそれで楽しみがいはあるんだけど、僕からしたら一ヶ月間見慣れた光景で、しかも移動しても特に変化がないから飽きる。

 例えるなら自分の庭を見て客が「すごい」といっても自分は「普通」と感じるようなものだ。

 だから移動といってもほとんど同行人との会話の方に花を咲かせてしまう。


「魔剣ってさ、原理的にはどうなの?やっぱり魔法が物質化した状態に近いワケ?」


「その可能性はある・・・一度調べてみようね」


「う〜〜〜、2人、何言ってるか、わかんない」


 僕とセラさん、観客はリンナ一人という謎の攻防戦から一夜明け、今僕たちは拠点から離れて移動中だ。

 目指すは巨大なオアシスを中心に建国された荒野のアバタール。人口1万人程度の小さな国である。だが、過酷な環境とそこにすむ魔物が徘徊する荒野に存在する都市は国と国を行き来する際に中間休憩地として利用できるため、商隊や旅人たちにとってはなくてはならない存在だ。

 ここまで言えばわかるだろうが、そう、人間の国だ。僕とリンナの人間の国初デビューだ。幼児の公園デビューとは比べ物にならないのである。

 なんで《アバタール》まで移動をしているか?それは今後の僕らの生活に影響がでるかもしれないからである。

 元々リンナを呼んだのも、荒野から《アバタール》へ移動するためって聞いたし、なにより昨日の騎士騒動で面倒事が起きるかもしれないからだ。

 正直急すぎね?と思ったけど、リンナの魔剣とか僕の存在とかで面倒事が起きそうなのは確かだし、それにいつまでも荒野に留まってるのもつまらないと思った。

 せっかくの異世界だ。エンジョイしたい。

 過酷な荒野生活は飽きたのだ。僕はもっと色んな街を見てみたいとも思っている。ただ一つ問題が・・・それは。


「シュルルルルゥ・・・」


 僕らの旅にオオトカゲ改めエンペラーモニターが同行してるということだ。いや、正確には無理矢理・・・・なんだけどさ・・・。

 なんというか、昨日僕らが暴れてたせいで居場所を突き止められちゃったんだけど、いざ僕を襲おうとした瞬間、セラさんの氷の手裏剣の巻き添えを喰らってしまったのだ。ご愁傷様としか言い様がない。


 いや別に、氷の手裏剣自体には殺傷力はなかったんだよ。僕も当たってたけど、触れた瞬間水に溶けたから痛くはなかったんだ。セラさんもさすがに本気で殺しにかかってきたわけじゃないしね。嫌がらせの水てっぽうみたいな感じだった。

 でもね、セラさんがエンペラーモニターを認識して、さらに僕を襲おうとしてるのを見た瞬間氷手裏剣を投げつけて来て・・・結果エンペラーモニターは大量の水の波に押し流されて「どんぶらこどんぶらこ」と何処ぞの桃のように荒野に出来た魔法の濁流へと流れていったのだ。

 あとはセラさんが雷落としてフルボッコ。完全にかませ犬だよ、前回の苦戦はなんだったのかと思うほどスムーズにエンペラーモニターを蹂躙しやがったのである。正直トカゲに同情した。


 そしてそこで終わらないのがセラさんクオリティー。完全に力でエンペラーモニターを服従させ、今じゃこいつに荷物持ちさせている。いわゆる《従魔》にしてしまったのだ。

 まぁ・・・ペットである。

 意外にも素直に従ったのを見て不思議に思うが、エンペラーモニターの疲れた様な目を見て察した。


 あぁこれ、僕の知らない間に被害受けてたな・・・と。


 たまに狩りとかで遅くなることがあったけど、きっとセラさんが僕やリンナに被害が出ないようにエンペラーモニターを見つけて麻痺させてたに違いない。

 そうしている内に結果調教に繋がったのだろう。なんだかエンペラーモニターと謎のシンパシーを感じるのは気のせいではないハズだ。


 それと・・・結局セラさんは、僕のとの前世であった関係を教えてはくれなかった。

 追求した途端、毎回耳元で「教えて欲しい?」と甘い声で囁いてすぐに「リンナたんにボコられてもいいなら」というのだから質が悪い。そしてリンナもなぜかハイライトの消えた瞳でこっちを見てくるのだからやれやれである。エンペラーモニターがなぜか同情的な目で見ていたのは錯覚ではない。

 僕らの間では微かに小さな友情が芽生えているのかもしれない。被害者という名の下でだが。


「つまりさ、セラさんの氷魔法は要は「物質」じゃん?魔力が通った武具を魔剣っていうなら、極端な話セラさんの氷手裏剣も魔剣に近いものじゃないかな?」


「・・・その発想はなかった。なら土魔法も可能性はある。」


 そんで、今現在僕らが熱く語り合っているのは、やはり魔剣についてだ。

 持ってるだけで面倒事を引き寄せるような存在だが、やはりロマンなものはロマンなのだ。異世界に来たのだから一本くらい欲しいと思ってしまっても仕方ないと思うんだよ。

 予想通り、魔剣研究談義はセラさんもノリノリだ。

 今回の移動での件について最初の原因となったのが魔剣なのに。やはり諦めきれないらしい。わかるよその気持ち。

 魔剣の所有者であるのに魔剣について最も理解していないリンナが、話題についていけずに首をかしげているが。


「魔剣だから、ただの氷や鉱石の刃じゃだめだよね。」


「・・・うん。属性が付与されていて、尚且つ半永久的に魔法が使えるのが魔剣。」


 そうなのだ。魔法で生み出した資源を元に制作しても、それは魔剣ではなく「道具」で止まってしまう。

 要は魔剣は、半永久的に魔力が流れたり包まれたりしている武器の事を示す。付与ではなく、同一化と言ってもいいかもしれない。

 問題は魔力が流れることで起きる武器の劣化や威力の低下をどう防ぐかである。

 完成例がリンナのナイフだ。劣化も破損もせずに、補給が必要だが常に魔力が通っている状態を保っている。ほぼ完璧といってもいいだろう。


「・・・意図して作らなかった・・・偶然の産物。」


「そうだねぇ」


 セラさんの言う通り、セラさんは氷魔法の氷結でナイフをボンド代わりにくっ付けようとしただけであり、作るまでの過程をよく覚えてないらしい。

 結局今わかっているのはセラさん本気の良質な魔力、それと固体化で魔剣が作れるという事だろうか。

 だが、それで本当に作れたら人間の国の学者が大昔に完成させているだろう。他にも何かしら理由があるはずなのだ。


「・・・わっかんねぇ」


 どんなに考えても良い閃きなんてそうそう出てくるもんじゃない。

 前世の記憶があるお陰か、多少変わった発想力が使えるとは思っている。なにせ小説とかのフィクションなサブカルチャーでは色んな魔剣が登場しているのを読んできたんだから。

 ただこの異世界の魔法専門知識を学んでない僕は、あくまでアイディアとしてしか話せない。大抵セラさんに却下されるんだよなぁ。




日にち計算したら毎日更新すると即尽きることが判明。

あばばばばばばば

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