人生って難しいお
ストックとかイラストとか描いてたら更新わすれた・・・
うーん。なんというか展開が読み込めないな。気分は急な展開に置いて行かれた読者の気分です。
僕は当事者じゃないし、他人事みたいな見方しかできない。まぁセラさんとあのアベルって男の問題なのだろうけど。
いきなり急展開過ぎないかな?僕、シリアスとか相性悪いからさ。ほら、チワワだし。誰かが悲しむ展開なんかより愛玩動物を愛でておくれよ。
まぁ、今は僕がセラさんを慰めてるんだけどさ。そういや、犬って落ち込んだ飼い主を元気付けようと頑張る健気な性質なんだっけ?
・・・ん!?僕いつの間にセラさんを飼い主として認識してた!?いかんいかんいかんいかん。
僕は人間だ、そんな趣味は持ってない!うん。
そんなことより今はセラさんだ。ご主人さmゲフンゲフン。
「・・・セラさん。話してくれる?」
僕はそうセラさんの背中越しに尋ねる。が、
「・・・」
無反応。無視ですかそうですかはい。
それでも僕は背中を撫で続ける。別に野次馬根性というわけではないけど、聞き出さないといけない。
セラさんの妹とか、王様に頼まれた指定依頼とか、僕がどんな存在として知られているのか。
僕に関わることが沢山ある。とにかく問いただして洗いざらい全部話してもらわないと今後の活動に支障がでるかもしれない。それに、ようやく確かな情報を掴めるチャンスだ。見逃すつもりはない。
それに、落ち込んでるセラさんはあんまり好きじゃない。いつもの調子はどこいった?
「なんで僕が討伐対象になってるのか、話してくれないかな?」
「・・・」
これも無反応。うん、心折れそう。コミュ障のメンタルを考えて欲しいかな。正直女の人の背中撫でるだけでもかなり緊張してるんよ。ただ、背中を撫でてても嫌がってはいないから、このまま続けさせてもらおう。
セラさんは今はもう嗚咽こそ漏らしてはいないが、弱々しい雰囲気のままだ。地雷踏んだり下手な事して傷つけたくないけど、背に腹は変えられん。
それに、僕の師匠をやってるセラさんが折れる事なんて事はないと思っている。ふざけているように見えて、結構心も強いんだよ。セラさんは。
「僕がセラさんの妹に似てるってどういうこと?言って。」
「・・・や。」
「やじゃないの。」
セラさんはようやく反応を見せてくれるが、首をブンブン振って拒絶する。まったく、駄々っ子じゃないんだから。いや駄々っ子か。
流石にイラッときたので撫でてた手で思いっきり背中を叩いてやる。
べシィンッ!!と響きの良い音がセラさんの背中と僕の掌の間から鳴り響いた。うん、手が痛い。
するとセラさんは顔だけこっちに向けてジトォとした目で僕を睨んできた。はっはっは。その目はいつも見慣れてるからきかんよ。
「・・・思い出したくない。強制訓練するぞ。」
「そりゃぁちょうど良い。こんな展開慣れてないからね。でも、セラさんがそれを実行できる?ましてや僕がそれで忘れると?」
不機嫌なセラさんの言葉に僕はニヤリと口元を歪めて答える。正直、1ヶ月もこんなスパルタ訓練していたら疲れはするけど流石に慣れる。今更そんな言い方では脅しにもならんのだよ。どうだ参ったか。
それに、今の僕の頭は案外物覚えは良い方だと発覚した。訓練で気絶はするだろうけど目覚めた時にまた質問を重ねる事は可能だろう。
そもそも、セラさんの訓練はスパルタだが無理に鍛え潰そうとしているわけじゃなく、しっかりできるできないかを調べてから行っている。
だからいつも訓練が終わったら休ませてくれるし、食事やマッサージだってしてくれてる。
僕はさっきまで意識が飛ぶほどの激しい運動をして、更にセラさんから終了宣言を聞いた。つまり、今日はこれ以上体を動かすことは良くないと暗に言っているのだ。だからセラさんは僕に今日は厳しい事は出来ないとわかっている。
なんせ僕がダメになったらリンナに嫌われる事は間違いないし、なによりセラさんが手塩にかけて育てた弟子を壊すことになるから。セラさんはそんなことはしないとわかっている。その代わり容赦がないけどさ。
「む。・・・たいへんメンドくさい弟子になってしまった。」
「弟子は師に似るからさ。」
案外セラさんもめんどくさいんだからね?
でも僕がそう言うと、セラさんは目を細めて僅かに微笑んだ。
あれ?セラさんってこんな柔らかいというか優しい笑顔ってしてたっけ?どちらかというとニヤリだったと思うのでございますが。
と、呆気にとられていると、セラさんは急に僕をぎゅっと抱きしめた。僕の体にセラさんの女の子な感触が訪れたんですけど。
・・・はい?いわゆるハグというやつですか?抱擁ですか?抱っこですか?hugですか?
なるほどどどどどどどどどどどどどどどどd(ry
「せせせせせせせ、セラさん!?」
「ん。・・・面倒?」
え?デレなん?セラさんデレ期なんか?
アイエエエエ!セラサン!?セラサンナンデ!?
「・・・師に似るって事なら、私もそうだね・・・。」
「・・・師?」
僕がその言葉に反応すると、セラさんは僕を抱きしめていた腕を外し、今度は頭を撫で始めた。
普段だったら撫でられてもケモ耳で振り払うんだけど、今はそんな選択が思い浮かばなかった。
僕は自分でも自覚できるほど顔が赤くなっているのだろう。めちゃくちゃ顔が暑い。それに頭がショートしたみたいにぼーっとするし、もう何が何やら・・・。
するとそんな僕の顔を見たセラさんが「してやったり」と言いたげな顔でニヤリと口元に三日月を描いた。
・・・はっ嵌められたあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
「・・・師に勝とうだなんて100年早い」
・・・何の勝負だよ。
まんまとセラさんに嵌められてドキドキしてた気持ちが一気に萎えた。セラさんがモテなかったのってこれが原因じゃね?絶対そうだよ断言できる。
でもまぁ・・・このふざけ具合がセラさんかなって思えた。これくらい元気の方がやっぱり良いな。ある程度自重は求めるが。
しかし・・・その代わり今度は僕が不機嫌な顔をする番だったようだ。尻尾を逆立てて「むむむ」と唸る。ちなみにワンコでやると「ぐるるる」と自動変換された。
セラさんはそんな僕の軽い威嚇を見るとクスッと静かに笑う。そしてまた僕の頭を撫で始める。
むむむ。尻尾が、尻尾が勝手に左右に揺れるぅぅぅぅぅ。
「・・・嬉しくないんだからね。」
「ツンデレ乙」
うっさい。
✩★✩
私がこの世界に転生したのは、今から16年前のことになる。今この体が16歳なのだから当たり前なんだけど。
とにかく、私は武で成り上がった貴族《シリウス家》の長女としてこの世界に生を受けた。
セラディ・シリウス。それが私の新しい名前。
外見は前世と比べてかなり変わった。母から受け継いだ白髪で青い光を帯びてる髪に、高い魔力を保持する肉体。あと、前世より可愛くなってたのも少し嬉しかった。男になりたかったけど。
どうして転生したのかは私もよくわからない。普通にゲームをしてただけなのに、いつの間にか生まれ変わってしまっていたのだ。
確かゲームでレベルマックスのカンストに入って、突然光に包まれた後は・・・そこからの記憶が曖昧になって、今ではほとんど覚えていない。
ただ、異世界転生のテンプレを体験できたのでこの人生が嫌だっとは思っていない。寧ろ感謝している。
心残りなのは、数日前に消えたギルメンの先輩がどうなったかだけど・・・。
もしかしたら同じ異世界に転生しちゃったりして・・・まさかね。
まぁそこは置いておいて、私が転生したのは戦争の際、戦いで大きな功績によって出来た貴族。当然剣の稽古など参加させられていた。
剣術覚えたくてノリノリに鍛えてたら引かれたけどね。
それに魔法の練習もした。主属性は水と氷。サブに風と光と土を会得している。
この世界は火、水、風、土、闇、光の全部で5属性と癒、腐、空、音、時の誰でも持っている生活魔法5種の、合わせて10種類のカテゴリーが存在している。
いわゆる魔法使いである《魔法師》は生活魔法を除いて5属性の内、メインである主属性とサポートとして使えるサブ属性が覚えられるのが一般的。主属性は1つしか覚えられないけど、サブは3つまで覚えられる。
さらに主属性を鍛えると火から炎に、水は氷に、風は嵐に、土は岩に、闇は冥に、光は聖へと上位魔法が使えるようになる。
私は上位魔法まで鍛えてあるが、これの上は極限魔法と言われる魔法が存在する。会得すれば実質最強の魔法師。
炎は爆へ氷は零に嵐は暴となり岩は剛になる。冥と聖は黒と白という色名になるらしい。急な手抜き感。
剣と魔法というテンプレに溢れた世界に転生した私は、なんとしても極限魔法まで極めたいと思っていた。ここまで強くなれたのは厨二のお陰といっても過言ではない。人の欲望最高万歳。
しかし、自身を鍛えることばかりしていたせいで、友達が出来ることはなかった。仕方のないことだけど、ちょっと寂しかった気持ちは否定できない。
だけどそんな私にも朗報が来た。なんと、妹が産まれるとのこと。両親のハッスルに乾杯。
産まれた妹のリサはとても可愛かった。セミロング程度の長さの髪は父親譲りの灰色で、活発そうな顔つきがなんともドストライクだった。結婚したいくらい。まぁ恋人以前に同性&親近相姦というダブルウォールに阻まれたんだけどね。
大人しそうな私の外見と真逆なリサは、よく私に懐いてた。私がどこかに行くとアヒルの子みたいに付いて来たし、性格も元気なだったから、よく一緒に剣の稽古もしてた。女の子がすることじゃないね。
私達の家は武での功績で成り立った貴族なので、世襲はできない・・・いわゆる一代貴族であった為、シリウス家を継ぐ必要はなかった。
両親は謝ってきたけど、寧ろ私は気が楽だったし、リサはリサで「セラ姉と一緒に冒険者になる!」とか言ってたから問題はなかった。他の貴族からの求婚はウザかったけど。
でもそれ以外は順調に良い日々を送っていった。私はリサのお陰で友達もできたし、リサは私が稽古したからそれなりに強くもなれた。
お互いでお互いを支え合う。理想的な形の姉妹として、ずっと一緒に生きて、この世界を旅して周る。
そう思ってた矢先だった。
「リサが倒れた。」その報告は、私が一人で稽古してた時に届いた。
金剛病。体内の魔力が暴走し、全身が強固な結晶に包まれて命を落とすという、1万人の魔法師の内1人という確率で発症すると言われている不治の病。リサはそれだった。
本来魔法師の体の魔力は、体内で不純な魔力が溜まると固まって結晶化し、体外に排出されるという特性を持っている。
金剛病は、全身の魔力がなんらかの原因で不純化し、一気に結晶化して体を包み込むというのが本質だ。だけど、治療方法はわかっていない。
なんの前触れもなく発症するらしく、対策も不可能。唯一の救いは、危険を感じた体がスリープモード・・・植物状態になって苦しまずに死ねることができる所だろうか。でも周りの人間は救われない。
私は、眠りながら結晶化していく魔力に包まれる妹を、ただ見ることしか出来なかった。
日を重ねていく事に結晶に包まれていく。そして・・・
リサはダイヤモンドのような美しい輝きを放つ結晶となった。
虫を樹脂で固めた標本のように、リサが結晶の中で眠っている。私は、人の死というものを初めて知った。他ならない妹という存在によって。
それをきっかけに、私は強くなることだけを考えて鍛えた。自分が強くなったところで、できる事なんて少ないけど、強くなっておいて損はないと思ってたから。
そうして、強くなって、倒して、成り上がって、いつの間にか「孤高の戦姫」なんて呼ばれるようになって、気づいたら1人ぼっちになっていた。
私は何のために強くなったんだろうか。バカみたい。守るたい何かを置き忘れて強くなっては意味がないだろう。
いつしか私は表情を消した。そして、表情を作るようになった。そうして何年も灰色な時間をただ過ごしていった、そんな時だった。
国王からある重大な依頼を指名されたのだ。
内容は、デウス荒野に出現した魔物の希少種の討伐。
希少種は自然発生、または魔物の子供の中で亜種という形で発見される。将来的に強大な魔物へと成長する可能性があるとして、教会が希少種が誕生した時にお告げを聞き、それを国に知らせて討伐要請を出すという。無宗教な私からだと胡散臭かったけど、的中率100%というところがすごい。
希少種は短期間で成長する個体もあるため、討伐にはそれなりの実力を持つ冒険者や騎士が向かう事になっている。そこでフリーで尚且つ上位魔法が使える冒険者として、私に白羽の矢が立ったという事だ。
騎士のアベルから聞かされた時は当時の私だったら断っていただろうけど、冒険者としての勘に違和感を覚えた。
「何かがある」。そう察した私は一言でこの依頼を受け、デウス荒野に旅立つ事になったのだ。
知り合いだったアベルは、フラフラしてた私を心配して途中まで付いて来たけど、ワイヴァーンダイルを屠ったら大人しく帰っていった。まぁ一ヶ月後また再開するとは思わなかったけど・・・しかも最悪な形で。
そんなこんなで道中で多少トラブルが起こりつつも、私は無事デウス荒野に到着した。
デウス荒野に到着し、すぐに私は自分の勘が正しかったと確信する。
二足歩行で歩くチワワ型のコボルトと、それに付き添うようにゴブリンの雌がいたのだ。リンナたんprpr。
最初は気絶させてから捕獲しようと思ってた。犬型の魔物は躾ければ使い魔になりやすいと聞いたことがあるし、魔物使いという職業があるもの知っていたから。
どうせ討伐されるなら、ペットにでもしてあげた方が良いだろう。薬品の痺れ薬だって用意してたし、遭遇したときは殺気で身動きがとれないようにもした。
だけど希少種は私の予想の斜め上を良い意味でいった。言葉を発し、しかも理性的な会話を求めてきたのだ。「あの・・・すいません。ここがどういう所か教えて貰えませんか?」と。
もちろん、人の言語を理解して喋る魔物も存在してる。だけど習得には天能種を例外とすると人間のように時間がかかるし、それに希少種が出現したのもついこの間だったハズ。
ならこの短期間による言語の習得の理由は?人間のような思考回路を持つ彼の存在は何か?
私の頭の中に、小説のジャンルの中であまり数が多くないタイプの名前が思い浮かぶ。
《魔物転生》主人公が人ではなく魔物に転生してしまうというものだ。私だって異世界に転生したようなものだし、ありえない話ではない。
抑えきれない興奮と、異世界転生者ならチート能力を持っているかもしれないという好奇心に負けて、私はそのコボルトに向かって特攻を仕掛けた。
・・・クソ弱かった。
つかもうテスト期間だー




