決着(笑)だお!w
pcにあった下書きが全消えしたりとテストあったりと更新できませんでした。ごめんなさい。
飛んで落ちた。本日二度目の挨拶だね、やぁこんばんは地面。
そんな言葉を胸の中で唱えながらも、撃ち落とされた飛行機の如く僕はなんの抵抗もできないで顔面から地面にダイブするように激突してキスをかます。
手厚く迎えてくれた地面に恨みがましい感情が溢れた。
「アベシッ!!」
結果僕は潰れたような悲鳴を上げてそのまま大の字で倒れるのであった。
僕の体と同じくらい大きな手にビンタされたダメージと、石のように硬い地面に激突したダブルのダメージにサンドイッチされたからである。クソ痛い。
そんなことよりも心配なのが地面に衝突した顔面から「メキメキ」という嫌な音が聞こえた事なんですけど。・・・骨とか折れてないよね?僕の顔面のパーツが取れたりしてないよね?リアル福笑いとかマジ勘弁なんですけど。
だけど幸い?動けないほどの痛みじゃないようだ。オオトカゲに叩き飛ばされたときの頬はズキズキ痛むから、痣にはなっているようだけどそれだけで、特に骨折をしているわけではないっぽい。
顔面からストライクしたから歯とか心配になったので念のため口の中を舌で舐めまわす。どうやら歯が折れたりといった事もなさそうだ。ふぅ、あぶねー。
大した怪我もないとわかって気分が落ち着く。・・・それにしても僕の体頑丈過ぎやしない?こんなにダメージ受けても死なないってある意味不幸だけどさ、小学生くらいの体型の体が7メートル程の巨体に攻撃されても痣で済むって・・・ある意味チートなのかな?ということは僕は硬い体を活かして盾役かな?痛いから絶対やんないけど。
あぁ・・・誰か僕の体を癒しておくれ。ついでに心も。
すると自分を呼ぶ声が前方から聞こえてきた。
「カザミィィィィィィイ!!」
「・・・会心の一撃!カザミは大ダメージを受けた!」
倒れ込んだまま横目で声のする方へ視線を移すと、リンナが悲鳴をあげながらトテトテとこちらに走ってきた。あぁ・・・癒された。あとセラさんが喧しい。
僕の元にたどり着いたリンナがグラグラと倒れたままの僕の体を揺らし始める。痛い痛い。
「カザミィィィィィィイ!死んじゃ、やー!!」
「いや、死なないから。」
混乱しているリンナに向かって宥めるように冷静にそう言う。
しかしリンナは納得できないのか、意識がしっかりしてるかどうか観察するようにオオトカゲに平手打ちされてなおかつ地面に叩きつけられた僕の頬をペシペシと叩いてきた。あのね、僕はサンドバックじゃないんだよ?いくら外傷がなくても痛覚はしっかりあるのよ?わかる?
(ってぇ!つか今そんな遊んでる場合じゃないっつの!)
僕はオオトカゲという脅威を思い出し、急いで背中を預けていた地面から起き上がる。寝っ転がってたらまた追撃されてしまう隙を作ることになる。痛いからやだ。
「・・・カザミ?」
突然起き上がった僕にリンナが困惑したように小首を傾げるが今はスルーしとく。
流石に一度喰らったばかりなのでまたビンタされるのは御免こうむりたい。危機感を学習した僕は高速で首を振って辺りを見渡した。どこにオオトカゲがいるか確認するためだ。飛ばされて方向感覚おかしくなったからね。
そしてそれはすぐに見つかる。
「っ!!」
リンナが走ってきた方にそいつはいた。爬虫類のクセに猛獣のような感情が篭ったギラギラと光る瞳で僕を射抜くように睨みつけてきた。捕食者の目だ。
一撃で仕留めきれなかったが不満なのだろうか、その目には憎悪の感情が見て取れた。
「(襲われるっ!)」
そう思ってビビリながら萎縮したが、次の瞬間、僕の予想は良い意味で裏切られた。
「・・・」
ドスゥン・・・!!
オオトカゲが僕を睨みながら、7メートルはあろうその巨体を糸が切れた操り人形のように大きな地響きを立てて倒れ込んでしまったのだ。
「・・・へ?」
予想外の事態に僕は間抜けな声を口から漏らした。ここは納得して欲しい。まさか追撃されてまたダメージを負うかと思ってたらその敵がいきなり力尽きたように倒れてしまったのだからそりゃ驚くよ。
・・・何があった?
無造作に倒れ込んでしまっているオオトカゲから目が離せない。一応体がビクンビクンって痙攣してるし、喉から力弱いけど「グルルルル・・・」と唸ってるし、生きてはいるようだ。
そして何より、殺意を具現化したような目玉で僕を睨んできてるし。何度も思ったけど僕キミになんかしたぁ?寧ろ僕よりセラさんの方がオオトカゲの恨みを買ってると思うんだけど・・・。
・・・てかセラさん何処行った?
「・・・正義は勝つと相場決まっている。」
するとさっきの岩のところでダメージを負っていたセラさんがオオトカゲと入れ替わるように立ち上がりやがった。平然としている様子を見ると完全にダメージから回復したのだろう、マイペースな無表情顔はケロッとしていた。ただ服が破けててそれなりにエロいから視界に困る・・・。
若干頬が熱くなってるのを感じながら僕はセラさんから視線を外すが、外す直前セラさんがこっちにテクテクと歩いてくるのが見えた。おぅふ。
「・・・おぅおぅ無事かねワンコよ。」
「・・・まぁね、僕ワリと頑丈みたいだし、痛いけどさ。」
「・・・あのタイミングで説教しだすからこうなる。」
いや、セラさん。アンタが真剣な戦いの最中にネタで遊び出して、そのせいで攻撃喰らっちゃったみたいだから心配したんじゃないか。
・・・別にセラさんに遊ばれたから仕返しに責め立ててやろうと思ったとかそんなんじゃないよ?他意はないお?
「そう言うセラさんも回復早くない?」
確か血とか流してたし、大丈夫なのかな?
「んなもん異世界万能アイテム『回復薬』に決まってるじゃん。・・・振りかけるだけであら不思議、切り傷や火傷、アザまで一瞬で治せるすぐれ物。一家に一瓶回復薬!」
「なんの宣伝だよ。」
シャキーンという擬音語を発しそうな勢いで緑色の液体が入った瓶を懐から取り出したセラさんにピシャリと言ってやる。確かにすごいとは思うけどさ・・・確かに一瞬だけセラさんを見た時は擦り傷すら残ってなかった様に見えた。万能だな。異世界様々と納得しとくべきだろうか・・・
いや、今は回復薬についてじゃないな。
「オオトカゲどうなってんの?」
視線を改めて倒れているオオトカゲに向けなおす。やはりまだ動けないようで何度か痙攣はしているものの力が完全に抜けきっているように見える。一体何をしたのか、そんな疑問を含んだ言葉をセラさんに向けると、「むふん」と満足気な鼻息をする。あ、絶対今ドヤ顔だな間違いない。素肌見えちゃってるからわかんないけど。
「・・・知りたい?あー知りたい?どーしよっかなぁ?」
超ウゼェこの小娘。
「まぁカザミがどうしても知りたいなら教えてあげても?(チラッ)」
「あー、いや別にいいよ?あのまま動かないならなんでも良いし。」
「・・・そんな事言わんといてよぉ・・・」
うわっ、そんなうるうるした涙目でこっち見るなよ!つか反応わかりやす過ぎるでしょ。捨てられた子犬みてぇだな。
まぁ今は僕が犬なんだけど・・・。
すると僕の尻尾をグイグイ引っ張られる感覚が伝わってきた。この行動はリンナだな。
「カザミ、女、を、虐めちゃ、ダメ。」
「いやいじめてないし。」
僕の対応は虐めてる風に見えたか?いやそんな事は無いはず。きっとリンナはセラさんが涙目になってるのを見て判断したんだな。うんそうに違いない。
ただセラさんは神々しいものでも見るかのようにリンナを見てこう言った。
「・・・リンナちゃんマジ天使・・・せめて名前で呼んで欲しいけど。」
それな。
「はぁ・・・で?どうやってオオトカゲを倒したんですかセラ先生?」
僕はため息を漏らしながら少し首を傾げてセラさんの方を目線だけで見て聞く。すると先ほどの涙目はどこにいったのやら、セラさんは「むふん」とドヤ顔をしながら胸を張る。
だから服が破けてて胸が見えちゃってるんだってば、耐性がないんだからやめてくれよ、ビーチクが見えてないだけまだマシか。
「・・・よくぞ聞いてくれた。実は雷魔法を使って痺れさせたのだ。ふふふ。」
「雷魔法っていつ・・・あっ」
見覚えのない単語に疑問が先に思い浮かんだが、すぐになんのことだかを思い出した。そうだ、確かオオトカゲと戦ってる最中に剣にパチパチと電流が走ってたな。もしかしてあれか?
それを聞いてみるとセラさんは満足気にコクりと頷いた。
「・・・ご名答。流石にオオトカゲの体は大きいからシビれるのに手間がかかるけど、カザミを叩き飛ばした時に超隙ができてたから不意打ちに電撃を喰らわせてみた。普通に絶縁体の体じゃないから一発KOできた。」
セラさんは得意気にペラペラと喋ってくれる。つまり僕が宙を舞ってる隙に既にセラさんは動いていたってことか。岩に衝突してたくせに無茶するなぁ。
「・・・どう?感謝しちゃう?私に感謝しちゃったりする?」
セラさんが背の低い僕と同じ目線になるようにしゃがんで腰を下ろし、ズイっと近寄って言ってくる。
ぎゃー!顔がー!胸がー!近いーっ!
かぁぁぁっとまた顔が赤くなるのを感じながらセラさんを視界から外す。この人性格はアレだけど美人だから困るんだよ・・・
「・・・ほれほれどうしたさっさと言ぇい〜」
セラさんはニヤニヤしながら更に近寄ってくる。無自覚かこの人!?
うぅーと唸りながら目を背けるが、黙っていても埓が明かないしいつまで経っても状態はこのままだろう。
はぁ、と恥ずかしさや理性で押さえ込んでる性欲を吐き出すようにため息を吐き、感謝の言葉を口にする。
「・・・感謝するよありがとう。」
棒読み気味なのは勘弁して欲しい。まぁセラさんのお陰で助かったのは事実だし、最初ぼ出会い頭は僕を殺そうとしてたけど、怪我を負ってまで戦ってくれたのもまた事実だ。恥ずかしいし、セラさんがなんか調子に乗ってるから言いづらいだけで、感謝の気持ちは本心なのだ。
しかしそれを伝えるとセラさんはニヤニヤ顔を鳩が豆鉄砲を食らったように崩して面食らった顔をする。どうした。
「・・・なんだよ。」
「・・・まさか素直に感謝されるとは思ってなかった。・・・意外。」
僕はセラさんの中で一体どう言う存在となっているのか非常に気になりますね。
「むぅぅぅ・・・」
ジト目でセラさんを睨んでいると後方から不満丸出しの唸り声が聞こえてきた。
振り向いてみると真後ろでリンナがほっぺを風船のように膨らませて僕を睨んできていた。・・・おぅふ。
「カザミ・・・エッチ。」
「ちょ・・・リンナ?」
「ムッツリ変態っ!」
「ぐはぁ!?」
リンナから言い放たれた罵倒を精神にダイレクトに喰らった僕は膝から崩れ落ちて両手を地面に付けて倒れる。
・・・む、ムッツリ・・・だと?ムッ●リーニじゃなくてムッツリだと・・・?いや、それそりも・・・へ、変態って・・・
意外にくる・・・すげぇ心が痛い。
「・・・ドンマイ発情犬。」
「黙れ元凶・・・」
セらさんが僕の肩を叩きながら言うのに対し僕は力無い声で言い返す。
あぁ、結局僕に癒しなんてなかったんだ。