表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイヴ・ワールド  作者: 四篠 春斗
氷の都篇
13/60

12 本当の信頼 III

「サクラ!!!!!」


金剛刀を青く輝かせたライトは、絶対絶命のサクラの所へ全力で駆け出した。 そして、サクラを鋭い爪で持ち上げようとする氷狐・フォルスに斬りかかる。


「うおおおおおおおおおっ!!!!!!!」


ライトはスタミナをさらに300消費し、青い輝きの効力を持続させる。そして、サクラを持ち上げようとしたフォルスの首を斬る。首を斬り飛ばされたフォルスは光の塵と化し、空気中に舞う。


「ライト君…ありがと」


「ああ、大丈夫か?」


「うん」


どうやら大丈夫のようだ。HPが半減していたサクラだが、今回復アイテムを使用し、ほぼ満開まで回復している。


消滅したフォルスと共にサクラを襲っていたフォルスは、ライトの気迫に押されたのか、ライトとサクラから距離を置いている。


ライトとサクラは戦闘体勢を整える。


その時、状況はまた最悪の状況へと変わる。


「な…」


「うそ…?」


空から降りてくる2つの影。それは先ほども見たフォルスの登場シーン。


そう、また2頭、フォルスがこの闘技場のフィールドにやって来た。5人で挑めば攻略不可能ではないが、トモ・ヨスケ・ザラキが裏切った今、もはやこのクエストの攻略は困難だ。


ライトとサクラ、再び絶体絶命の危機。その光景を気配を消して高みの見物をしていたヨスケは、


(また2頭追加か…。せめて1頭は殺してから死んでくれれば最高なんだけどな)


という思考を巡らせ、ライト達の戦闘を見物する。


だが、その背後に、何かが着地した音と雪埃。ヨスケは絶望で顔を歪める。


「な…6頭目…馬鹿な!」


ヨスケが思わず出した声に気付いたフォルスは、ヨスケに思い切り噛み付く。


「ぐあああああああ」


ヨスケの叫びは途切れる。なぜなら、首を噛み切られ、頭が地面に落下したからだ。


「ヨスケ君!!!」


遠くからサクラの声がする。だがそれも直ぐに聴こえなくなる。ヨスケのHPは0になり、ヨスケの身体は光に包まれ、そして大破した鉱石の破片のように散り散りになり、大気中に消えた。


「ヨスケェェェェェェェェ!!!!」


隠密を解除したトモは、双剣にありったけのスタミナの力を纏わせて、ヨスケの仇に斬りかかる。


「待て!!!」


ライトがトモに忠告を入れる。だが、激昂状態のトモは聞く耳を持たない。トモはフォルスに数えきれないほどの斬撃を与える。


「よくもよくもよくもぉぉぉぉ!!!!!!!!!」


鬼人と化したトモの剣は勢いを衰えさせることなく、フォルスのHPが0になり、消滅するまで、トモは無双していた。


「ハァ…ハァ…」


仇を執ったトモは安堵の息を吐く。だが……


「え…」


トモの意識はここで途絶える。また現れた7頭目のフォルスの捕喰によって、全身を食い千切られ、そのまま光の塵となって消えた。


「トモ…」


隠密スキルで気配を消しているザラキが悲しい声を漏らす。


ザラキは今回の裏切り作戦に反対だった。これまで自分達を信じ、共に戦った仲間を裏切るなんて。だが、トモとヨスケは現実世界でも仲が良いダチだった。そのダチに半強制的にこの作戦に参加させられたのだ。


キイィン!


ダダダダダ…


ライトの太刀と、フォルスの鋭爪が交錯する金属音と、サクラの剣銃(ソードガン)の銃声が闘技場に響く。


ライト・サクラ対フォルス4頭。


どう見たってライト達が劣勢だ。彼らがリタイアするのも時間の問題だ。


だが、裏切り作戦をザラキにやらせたトモとヨスケはもういない。今ここでライト達に加勢さても、文句を言うものはいない。


「うああああああああっ!!」


「きゃぁあっ!!!!」


ライトとサクラの悲鳴を聴いたザラキは彼らの方を見る。すると、フォルス1頭は討伐したようだが、残った3頭のフォルスに囲まれている。


HPは2人とも10%を切り、瀕死の状態。今の状態で攻撃を受ければ、どちらも命はない。


2頭のフォルスが噛みつきの構えをとる。囲まれているライトとサクラに逃げ場はない。


ライトとサクラは死を覚悟する。全てを受け入れて眼をつむる。


そして、フォルスの牙が身体に突き刺さる…


と、思われた刹那、ライトとサクラは、フォルスではない誰かに突き飛ばされ、フォルスの円陣から抜け出した。


「うおっ!」


「あうっ!!」


体勢を立て直した2人はフォルスの円陣を見やる。そして、驚愕し目を見開く。


「な、なんで…」


「うそ…」


フォルスに囲まれ、2頭に噛まれているのは、今まで隠れていたザラキだった。


フォルスの間から見える彼は、小さく何かを言い、満面の笑みを浮かべていた…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ