CDOぷち
本当に、本編とはまったくの無関係です。
ストーリーに影響はありません。
作者の頭は影響されるでしょうが…ね。
カレンダーを確認し、今日がエイプリルフールだという事を思い出す。
「なんか、ウソでもついてみるかな…」
真美菜と翔は、CDOで攻略組に混じってレベルを上げている。
「騙す相手、いないんだよなぁ…」
暇だ。
俺も、CDOに行ってみるか。
電子の海を抜けて、CDOにログインする。
降り立つ場所は、いつもと同じ〈カフェ・スグル〉のキッチンだ。
時刻はお昼前の為、忙しい。
「あ、スグル!ちょっと手伝ってよ!もうウチ一人じゃこの量さばけないっ!」
うーん、流石にこの時間にログインするのはまずかったか?
「おう、オーダーは何が残ってる?」
「そこ、紙に書いて貼ってあるからっ…いらっしゃいませ、2名様ですか?」
袖をまくり、オーダー表を見る。
「ふむ、ハンバーグサンド三つ、コーヒーが八杯に、フレンチトーストが四つ、スティックパンが七つ、最後にナポリタン…か。こいつは大仕事だな」
冷蔵庫から、ミンチ状の肉を取り出す。
「ノヴァ、出番だぞ」
『お、今日はこれか』
「任せたぞ」
この世界で生きる、ノヴァとヴェルがここで働く様になってから、もうすぐ半年経つ。
すっかり俺抜きでも、もう一人前に出来る様になって来ている。
そんな事を、少し淋しく感じながら、俺はパンを切って行く。
『スグル、肉焼けたぞ』
「おう」
焼けたハンバーグに、キャベツとマヨネーズを乗せて、パンで挟む。
【ハンバーグサンド】の完成だ。
同じ作業をあと二回繰り返し、それで出たパンの耳を【スティックパン】にする。
ちらりと、ヴェルを見ると、入っては出て行くお客さんの対応を懸命にやっている。
そろそろ、ヴェルに店長を任せても良いかもしれない。
『スグル、手が止まってるぞ。どうしたんだ?』
「あぁ、なんでもない。フレンチはもう作ったから、焼いといてくれ。俺は珈琲を惹いてくるから」
最近じゃ、これだけが俺の仕事になっている。
惹いた豆にお湯を注いで、専用のろ紙でこしていく。
お湯の温度や注ぐスピードで味が変わってくるから、そそっかしいヴェルにはまだ無理だな。
「コーヒー、出来たぞ。持って行ってくれ」
『任しとけ』
最後にナポリタンだが、CDOにはまだケチャップなる物が無い。
だから、代わりにトマトソースを使っている。
湯むきしたトマトを潰して、茹でたパスタと一緒に炒める。
たったそれだけ。
これで50Cは取りすぎだと思うのだが、マミナとヴェルが、ガンとして受け入れないのでもう諦めました。
「スグル、ナポリタン出来た?」
「おう、出来たぞ」
ナポリタンを持ってヴェルはテーブル席とカウンター席を回っている。
っと、ノヴァが戻って来た。
「うし、次の注文は?」
『次?次の注文はだな…』
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ふぅ……
やっと終わった………
正確にはお昼のピークが終わったのだが、〈カフェ・スグル〉は夕方四時になると、雑貨屋になる。
売っているのはサンドイッチとインスタントコーヒーの素だけだが、これがまた結構お客さんが来る。
「…なぁ、ヴェル、ノヴァ。お前らに話があるんだ」
「何?…はっ!まさかウチに愛の告白⁉︎ダメだよ!ウチとけっこんしたら、スグルがろりこんになっちゃう!」
『え、スグルお前……そうなのか?』
「バカ言ってんじゃねぇよ」
軽く、一人と一匹の頭を殴る。
大きく、深呼吸をして、ヴェルと同じ目線にする。
「ヴェル、ノヴァ。俺はお前らが好きだ。家族を失った俺にとって、お前らは本当の家族みたいだった。だけど、それは俺個人の勝手な都合と思い込みにすぎない。もし、お前らが俺の事を家族だと思ってくれているのなら………このまま、何も変わらない。だがもし、そうじゃ無いのなら」
一呼吸置いて、俺は話を続ける。
「俺はここを出て行こうと思う」
「『………………』」
一人と一匹、彼らは何も言わない。
あるいは、それが答えなのかもしれない。
だとすると、俺は……………………
「………くすっ」
…笑い…声?
『おい、笑うなよ…フヒヒw』
…?……??
「ぶはっ!もうだめ!耐えられない!アハッあはははは!」
『おい、だから笑うなってwまだマミナさんとか戻って無いんだからwww』
………???
「ふー、笑った笑ったwにしてもスグル、バカじゃ無いの?」
『スグル、いつか俺はお前が突拍子もない事を言うと思っていたが…w』
彼らは、互いに顔を見合わせて、笑った。
「『もう家族になっちゃったもんなw』」
………俺は…何を迷ってたんだろうか。
何を迷って、そんな事を言ったのだろうか。
ほんの数分前まで、頭をグルグル回っていた事が、出てこない。
ただ、何と無く、心のつっかえが取れた気がする。
「ま、ウチがスグルの家族なら、ウチはスグルの子がいいな。本当のパパもママも好きだけど、それと同じくらいウチはスグルが大好きだもん」
『スグルが親父なら、お袋は誰にするつもりだ?』
…それは気になる。
「もちろん、マミナおねーちゃんだよ!」
…おう…マジですかぃ…
「あたしが、なに?」
「あ、マミナおねーちゃん」
噂をすれば、マミナとショウじゃねーか。
「今ね、スグルと子作りについて話してた所だよ!それでね、ウチはスグルとマミナおねーちゃんがピッタリだと思うんだ!」
まてまてまてぇ‼︎‼︎
それだと盛大に誤解を産み与えるからやめろぉぉぉぉ‼︎‼︎‼︎‼︎
「ほぉ……そいつぁ聞き逃せねぇなぁ…スグル…」
ほぉらぁ‼︎‼︎
誤解した人がここにいらっしゃるぅ‼︎‼︎
「この、リア充めぇ‼︎貴様のようなリア充はさっさとここから去ねっ‼︎」
「またこのパターンかよぉぉぉぉぉ‼︎」
▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎
…………。
…………。………。
……………………。
「ひどい夢オチを見た…」
あとがきなんてなかったんや