プロローグ
寒さに震えてる、月影です。
ちょっと、空き時間に書いた小説です。
キャラとか名前などは知り合いと決めたものです。
そして、更新は・・・すっごい遅いと思います。
少しだけ書いてあるので、しばらくは更新しているかと・・・
気長によろしくお願いいたします。
粉雪が舞う街の夜。
無数に立ち並ぶビル。
路地を照らす街灯が何故か消え、夜でも人通りがあるはずが誰もいない。
そこに“路地”があった存在すら、誰もが忘れているようだった。
いや、忘れさせられていた。そこにいた者によって。
その者は、何かを引きずるように、ズリッズリッと摩擦音を響かせていた。
音の正体は、血まみれた死体であり、その者は髪も無くボロボロのズボンに灰色の体、血の付いた鋭い牙、鋭い爪をした人間ではない姿をしていた。
それを建物の屋上から見ていた人物がいた。
黒パーカーのポケットに手を入れ、フードを深く被り、淡いピンクのミニスカート、膝近くまである黒のロングブーツを履いた少女が建物の屋上から地上を見下ろしながら呟いた。
「……またこの時が来たのね」
その呟きが、下まで聞こえたかのように、その者はなんともつけにくい奇声を発し、死体をその場に捨て去り、両端にある建物の壁を交互に飛び移りながら、少女とは反対側の屋上に辿り着くと、一度少女の方を振り返えるとまた奇声をあげ、逃げるように飛び去った。
「……ボアロ」
「ニャー」
そう呼ぶと、少女の足元に何処からともなく白いネコが現れ、少女の呼び掛けに答えるように鳴いた。
「追って」
ネコは、耳をピクンと反応させ少女の足元から音もなく消えた。
少女はポケットから片手を出して、手のひらを差し出しながら言った。
『舞い散りし雪よ。彼の者を包みこみたまえ』
手のひらには、淡く光が生まれると同時に、死体にだけ雪が降り注いだ。
「……安らかに眠って……私も行かないと」
言葉と共に粉雪が少女を包み込むと、一瞬でその場から消えた。