南風のマーチ
私もこの曲やるんですよね~w
変な文章が長ったらしくありますがどうぞよろしくお願いします。
「サザリー、準備はいい?」
「ええ、ばっちりよ!」
私はサザリー。今日から旅立ちます。
私は風の子で、その中でも南風の一族。南風の子供たちは物心がつくと同時にあるお仕事へ出かけます。
それは世界を回って春の訪れを告げに行くこと。
元気で幼い子供たちは何日もかけて世界を旅します。
楽しいこともたくさんあるけど、厳しいことももっとたくさんある。
そういうことを学ばせるためでもあるのです。
そこで今度の春の日に旅立つ女の子のお話を一つしましょう。
「明日かあ…」
これは今日からさかのぼって一日前。サザリーは明日に向けての準備をしていました。
「サザリー、何をそんなに悩んでいるの?」
彼女のお母さんは優しく話しかけました。
「だって明日よ?楽しそうだけどなんだか怖いわ」
世界一周はわくわくするけど目的は楽しむことではありません。春を告げに行くのです。
だから中途半端に行ってはいけません。それはサザリーにも分かっていました。
「そうねえ。私も怖かったわ。私は気が弱いからなおさら。だけどね」
「だけど?」
サザリーは身を乗り出してお母さんのほうを向きました。お母さんは海の海草紅茶をを一口飲んでから言いました。
「でも怖いだけじゃなかった。うれしいことがいっぱいあったわ。最後に自分は世界一周したんだなと思うとなんか心が軽くなるの」
「ふうん」
「まあでも、怖いことのほうが多いと思っておきなさい」
そのほうが気楽にできるわ、とお母さんは付け足しました。
そして今に至るのです。
「サザリー、気をつけて」
お父さんとお母さんは家から手をぶんぶんと大きく振りました。私はちょっぴり寂しい気持ちです。
「ええ。頑張るわ」
そういうと私は大きな大きな青い空へ飛びました。
頬に当たる、日の光が暖かくて気持ちいい!!
「あら、サザリーじゃないの」
横から南風の子、ウィンドが私の背中をつつきました。
「ウィンド!よかった、会えて」
実はちょっぴりさみしかったのです。
「私も。あっ、あれ見て!」
ウィンドが指差した先には吹雪が。あそこは寒い地域の一つでした。
「まあ、もう困難にめぐり会っちゃったわ」
「でも、あそこにも春を知らせなきゃ。さあ行こう!」
ウィンドはがっと飛ぶスピードを速めて吹雪の中に突っ込みました。
「えいっ」
吹雪を通り過ぎ、後ろを振り返るとそこはさっきとは違って綺麗な草花がたくさん生え、色鮮やかな地域に変わっていたのです。
「きれいね…」
「うん。私たちの役目はこれなんだってすごいよく分かったわ」
私たちはそこに別れを告げ、またゆっくり飛び始めたの。
「あっ、サザリーとウィンドだ」
すると今度は前から男の子の声がしました。
「サウス。あなたもここにいたのね」
「うん。一緒に行こう」
仲間がどんどん加わって大きな南風になりました。小鳥も近くにいます。
もうどのくらい飛んできたでしょうか。だんだん夕焼け空が見え、それも暗くなりかけたころ。
「そろそろ今日はここまでにしようか」
「そうねえ。あの山で休みましょうよ」
3人は大きな山のてっぺんに行きました。
「今日は疲れたね」
「うん」
私たちは山の上で暗くて星がたくさん見える空を見上げ、それぞれの思いにふけっていました。
初めてのお仕事。明日もまた始まるのです。
きっとつらいことが起きるだろうな。
今度は何が起きるのかな。
若い私たちはそんなことにでも好奇心を抱かせ、また明日からはじめよう、そう思うのです。
夜が明け、太陽が顔を出しました。
「さ、今日もがんばろ!」
「お母さん、ただいま!!」
そして私は帰ってくる。前よりもずっと自信と希望を持って。
行ってよかったと思える、最高の思い出。