【ドルチェ】カホラのご褒美 3 ◎挿絵あり
[カホラ]:「さて、今日はそろそろ上がりましょうか?」
[吹雪]:「そうですね」
空の色も大分変わり始めていた。
[吹雪]:「あ、俺が洗うよ、舞羽」
[舞羽]:「え? いいの?」
[吹雪]:「ああ、帰る準備してな」
[舞羽]:「ありがとう、吹雪くん」
[吹雪]:「いいってことよ」
俺は三人の湯呑み茶碗を持って廊下へと向かう。
[カホラ]:「ふーぶーき!」
[吹雪]:「おっと、先輩?」
音がしなかったからびっくりした。
[吹雪]:「どうしたんです? 別にすぐ片づけは終わるから」
[カホラ]:「ああ、違う違う、そうじゃなくて」
先輩は一歩俺のほうに近づいてきた。
[吹雪]:「ど、どうしたんですか?」
[カホラ]:「うん、ちょっとね」
先輩の顔はにやにやと笑っているように見える。
[吹雪]:「な、何です?」
[カホラ]:「いいから、ちょっと……あ、一回そのお盆は置いてちょうだい? ……ふふ、――それ!」
[吹雪]:「なっ!?」
突然すぎて、何にもできなかった。先輩は、俺の体にギュッと抱きついてきた。
[カホラ]:「ふふ、どう? 吹雪」
[吹雪]:「ど、どうって、ど、ど、どうしたんですか? いきなり」
[カホラ]:「ふふ、何って、ご褒美よ、ご褒美」
[吹雪]:「ご褒美?」
[カホラ]:「ほら、吹雪、マジックコロシアム優勝したじゃない。そのご褒美よ。何か吹雪が喜ぶことないかな~って考えた結果、これが1番良いかな~って思ったの」
[吹雪]:「あ、なるほど……いやいや、こんなことしてもらわなくても別に俺は」
賛辞の言葉だけで十分なんですけども。
[カホラ]:「だって、優勝したんだから、これくらいのことはしなくちゃいけないかなって思ってさ。悪くないでしょう?」
[吹雪]:「そ、それは……」
もちろん、悪い気持ちは全くしない。悪い気はしないけど……色々と反応に困る。
[カホラ]:「ふふ、自分で言うのも何だけど、私、そこまでスタイル悪くないと思うから、抱き心地はそこまで悪くないと思いますよ?」
[吹雪]:「はい、もちろんです……」
[カホラ]:「優勝おめでとう、吹雪」
[吹雪]:「あ、ありがとうございます」
[カホラ]:「ふふ、顔赤いわよ?」
[吹雪]:「そ、それはそうですよ」
赤くならないわけがないじゃないか。
[カホラ]:「――はい、おーしまい。じゃあ、私は部室に戻るわね」
[吹雪]:「は、はい」
先輩はほほえみながら戻っていった。
[吹雪]:「…………」
何というか、普段先輩はあんなことをしないからな。大胆な行動に少々驚いた。先輩にも、あんな一面があったとは……覚えておこう。




