【カンタービレ】決戦! マジックコロシアム! 14
[場所:道路]
[吹雪]:「悪い、遅くなった」
[舞羽]:「ううん、大丈夫だよ」
[吹雪]:「よし、帰ろう」
[舞羽]:「うん」
俺たちは帰り道を歩き出す。
[舞羽]:「はい、コレ」
[吹雪]:「おお? サンキュー」
[舞羽]:「優勝したお礼」
[吹雪]:「これから褒美をもらうってのに、いいのか?」
[舞羽]:「いいの。それに、いつも手伝ってもらってるからね」
[吹雪]:「宿題か?」
[舞羽]:「その他もろもろ」
[吹雪]:「じゃあ、ありがたくいただくよ」
俺はプルタブを開けて一口飲んだ。
[吹雪]:「試合後のジュースは格別だな」
[舞羽]:「改めて、優勝おめでとう、吹雪くん」
[舞羽]:「サンキュー、お前たちが応援してくれたおかげさ」
[吹雪]:「あ、聞こえてた?」
[吹雪]:「もちろんだ、メチャクチャ聞こえてたぞ」
[舞羽]:「届いててよかったよ」
[吹雪]:「だから、喉が少し枯れてるんだろ?」
[舞羽]:「えへへ、こっちも燃え上がっちゃってたから。見てるだけですっごく興奮してたよ」
[吹雪]:「マジか」
[舞羽]:「うん。特に決勝戦はすごく見応えがあったよ」
[吹雪]:「本当か?」
[舞羽]:「うん、あれこそが決勝戦って言うんだね。再認識したよ」
[吹雪]:「確かに、すごい戦いだったな」
あんな激しい試合をするのは、今回限りかもしれない。
[舞羽]:「私なら5秒で気絶は必至だね、きっと」
[吹雪]:「爆発がよく起こってたしな。確かに危険ではあったな」
[舞羽]:「まるで戦争を見てるみたいだったよ」
[吹雪]:「戦争みたいなもんだろ、あれは」
地雷みたいなものも設置してたからな。
[舞羽]:「吹雪くん、前世は将軍だったりして」
[吹雪]:「それは、ないんじゃないか?」
[舞羽]:「そうかな?」
[吹雪]:「神のみぞ知る、ってか?」
[舞羽]:「だね」
[吹雪]:「あれ? そういえばマユ姉はどうした?」
[舞羽]:「この後に仕事が入ってるんだって。パーティーまでには帰ってくるって言ってたよ」
[吹雪]:「そうか、ならいい」
俺たちと同じ時間に帰れるってのも少々違和感があるしな。
[吹雪]:「しっかり職務を全うしてほしいもんだ」
[舞羽]:「大丈夫だよ、きっと。でも、十二月は忙しくなりそうだね」
[吹雪]:「まあ、大事な行事があるからな」
そう、ピアニストとハーモニクサーの選出。問題なく年を越すために、教師はいつも以上に周囲に気を配る必要がある。
[舞羽]:「誰が選ばれるのかな?」
[吹雪]:「ひょっとしたら、お前だったりして」
[舞羽]:「えー? それはないよー」
[吹雪]:「分かんないぞ? 実はピアノ経験者だからな、舞羽は」
[舞羽]:「確かに少しやってたけど、だからって優遇されるわけじゃないし」
[吹雪]:「でもまあ、全校生徒及び教師に可能性があるんだ。その中にお前も入ってることに変わりはない」
[舞羽]:「なら、吹雪くんにだって可能性はあるじゃない」
[吹雪]:「いや、俺はないだろ」
[舞羽]:「ええ!? おかしくない? その返答」
[吹雪]:「俺にはピアノの才がないからな」
[舞羽]:「そんなの理由にならないじゃない」
[吹雪]:「いや、なる」
[舞羽]:「吹雪くん、言ってること矛盾してない?」
[吹雪]:「そんなことはない。でも、俺は有り得ない、どこがおかしいっていうんだ?」
[舞羽]:「有り得ないってことはないと思うんだけど」
[吹雪]:「まあまあ、納得しておけって。な?」
[舞羽]:「え、ええ? う、うん……」
[吹雪]:「うん、それでこそ舞羽だ」
[舞羽]:「その言いくるめ方が納得いかないよ……」
首を傾げる舞羽だが、まあ気にしないでいいだろう。
[吹雪]:「さ、早く家帰ろうぜ。俺もう腹減って」
[舞羽]:「そうだね、少し急ごっか」
[吹雪]:「優勝したから豪勢なんだよな? 今日の晩飯は」
[舞羽]:「うん、腕によりをかけて作るよ」
[吹雪]:「そりゃ楽しみだ」
今からすでに涎が出そうだ。




