【カンタービレ】決戦! マジックコロシアム! 12
直撃、はギリギリで避けたが、それによって起こる爆風までは避けられなかった。俺の体に切り傷がついていく。
[聖奈美]:「ふふ、どお? 大人しくあきらめたら?」
[吹雪]:「……ふ、ここからさ」
傷は負ってしまったが、準備は出来た。
[聖奈美]:「何よ、笑ってる余裕なんてあるの?」
杠がこちらににじり寄ってくる。――その瞬間。
ズガーン。
[聖奈美]:「きゃあっ!?」
杠の近くで、大きな爆発が起こった。すんでの所で交わしたようだが、動揺は隠し切れてない。
[聖奈美]:「今のは一体……まさか、あなた……」
[吹雪]:「ふ、俺が何もしないでいると思ったら大間違いさ」
[聖奈美]:「く……さっきのは演技だったのね」
俺が何をしたか。
俺は逃げる振りをしながら、爆弾を一帯にばら撒いておいたんだ。よく目をこらさなければ見えない大きさ、まして地面が荒れた今の状態ならさらに撹乱が利く。逃げながら詠唱するのは少々きつかったが、それでも不思議と集中力は続いていた。
奴の集中力を削るにはこれが最善の策だろう。
[聖奈美]:「く、あたしとしたことが……」
[吹雪]:「これで、互角以上に戦えるな」
[聖奈美]:「そ、そんなことないわよ。これくらいで、あなたと互角になんて――」
ズガーン。
[聖奈美]:「っ――!?」
強気ではあるが、少々不利になったのは確かだろう。よし、今のうちに攻撃を仕掛けるぞ。
[吹雪]:「――クロスフレイム!」
[聖奈美]:「く、この……」
足下に注意を払っているせいか、杠の動きは大幅に鈍ってきている。能力が上がっていない今が、奴を追い込む絶好のチャンスだ。
[吹雪]:「――バーニングエッジ!」
[聖奈美]:「ん、ふっ……」
ただ闇雲に攻撃をしているわけじゃない。炎の魔法を打っているのには理由がある。たとえ杠に命中しなくとも――。
ズガーン。
[聖奈美]:「きゃあっ!?」
地面にばら撒いた魔法爆弾の誘発を可能にする。
[聖奈美]:「うっ、集中さえできれば……」
[吹雪]:「そう簡単にはさせないぜ。――エル・エルウィアス、炎の精霊よ、我に力を与えたまえ。――ファイヤーブレード!」
[聖奈美]:「っ、避けなきゃ……――!? しまった、足下に……」
[吹雪]:「そこだ!」
俺は足下の爆弾めがけて魔法を放った。
[聖奈美]:「きゃあああああっ!」
爆発が巻き起こり、土煙が舞い上がる。俺は急いで杠の近くに走り寄る。
[聖奈美]:「く……」
[吹雪]:「…………」
[聖奈美]:「う、……ま、負けたわ」
その言葉と同時に、周囲から大きな歓声とどよめきが沸き起こった。
[実況者]:「大久保選手の勝利です! 去年のチャンピオンを破り、見事優勝を手にしました!」
[繭子]:「きゃー、ふーちゃーん!」
[舞羽]:「吹雪くん、おめでとー!」
[翔]:「吹雪ー、大好きだー」
男に言われても、あまり嬉しくないな。でも今は、そこまで悪い気はしなかった。勝った、んだよな? 俺。
[聖奈美]:「……く」
杠のこの様子を見る限り、どうやら本当のようだ。まさか本当に勝てるとは……よく頑張ったな、俺。今はこの雰囲気に酔ってもいい、かな?
[吹雪]:「……ん!」
俺がガッツポーズをすると、会場からはたくさんの歓声が再び起こった。




