【カンタービレ】決戦! マジックコロシアム!
11月28日(土曜日)
[場所:教室]
――そして、マジックコロシアム当日。
[繭子]:「いいね? みんな。今日は、ワタシの弟のふーちゃんを全力で応援してあげてね? いいですかー?」
[クラスメイト]「おー!」
何でこんな乗り気なんだ? みんなは。応援してくれるのは素直に嬉しいけど。
[翔]:「ちょっとー、先生」
[繭子]:「うん? 何? 翔くん」
[翔]:「マジックコロシアムに出るの、吹雪だけじゃないんですけど」
[繭子]:「あり? 翔くんも出るんだっけ」
[翔]:「言ったじゃないですか。オレも出ますって」
[繭子]:「あ、ごめーん。すっかり忘れちゃってたよー」
[翔]:「がはぁ!?」
翔は声を上げて机につんのめった。
[翔]:「ひどい、みんなして吹雪ばっかり……」
[男性生徒A]「だってよ、翔には期待しても無駄だもんな」
[女子生徒A]「そうよね。魔法できないし、成績も悪いし」
[男子生徒B]「初戦敗退が妥当だろう」
[翔]:「ぐにょうるむふぐは……がくっ」
あまりのショックに、翔は完全にダウンした。でもまあ、事実だから何のフォローもできないっていう。今は自分のことを心配してたほうがよさそうだ。
[繭子]:「ふーちゃん、こんなに期待が寄せられてるんだから、絶対に勝ってね」
[吹雪]:「まあ、全力は尽くすよ」
[繭子]:「そして、舞ちゃんの手料理を……じゅる」
やっぱり、狙いはそっちかい。薄々感づいてはいたけどよ。
[繭子]:「それじゃあ、一旦終わります。今日は授業はないから、各自自由に行動していいから。でも、ふーちゃんの出番になったら全員集合。みんなで応援しましょー」
――さて、俺はトーナメント表を見に行くか。
……………………。
[場所:グランド]
えーっと、俺の名前は……。お、発見。エントリーナンバー17思ったよりも出場者は多いんだな。杠は――何だ? 一回戦がシードになってやがる。あれだろうか? 去年の優勝者だから少し優遇されているのか? 分からなくもないけどよ。
[カホラ]:「確認に来たの? 吹雪」
[吹雪]:「ん? あ、先輩、おはようございます」
振り返った先にはカホラ先輩が立っていた。
[カホラ]:「後姿が吹雪っぽかったから来てみたら、やっぱり吹雪だったわね。どうなの? 調子は」
[吹雪]:「まあ、ボチボチ。昨日は練習もしたんで、簡単にはやられないと思いますよ」
[カホラ]:「3年の間でも結構噂になっててさ。杠さんに刺客現るみたいな話が流れてて、それってやっぱり吹雪だったのね」
[吹雪]:「だ、誰からそんな話を聞いたんですか?」
[カホラ]:「愛海」
やっぱりアイツか……。
[カホラ]:「強ち間違いじゃないと私は思ってるけど」
[吹雪]:「ありがとうございます、やる気が益々出てきましたよ」
[カホラ]:「ふふ、本当?」
[吹雪]:「はい、先輩は出ないですよね?」
[カホラ]:「もちろん、私は観戦。攻撃系の魔法は得意じゃないから」
[吹雪]:「いいとこイケると思うんですけどね、先輩ならば」
[カホラ]:「またお世辞言って。吹雪は口が上手すぎるわよ」
[吹雪]:「ホントのことを言ってるだけですよ、俺は」
[カホラ]:「ありがと。でも、やっぱり出ないわ、というより、もう参加申し込みは終了してるもの。出たくても出れないわ」
[吹雪]:「そうですか」
[カホラ]:「その代わり、吹雪を全力で応援するわ。少なくとも、決勝までは行かないとね」
[吹雪]:「ぷ、プレッシャーですね」
[カホラ]:「いつもどおりにいけば大丈夫よ。絶対いいとこまで行けるわ」
[吹雪]:「期待に応えられるように頑張ります」
[カホラ]:「ええ、その意気よ」
[翔]:「ちょっとすいませんー。翔が通りますよー」
おっ、復活したのか。あれだけ貶されても立ち上がれるとは、ハートだけはすごく堅いようだ、翔は。
[カホラ]:「翔もコロシアムに出るの?」
[吹雪]:「はい、どうやらそうみたいで……」
[カホラ]:「あの子、魔法不得意なんじゃなかったかしら?」
[吹雪]:「と思って、出るのやめたほうがいいんじゃないかって止めたんですけど、聞かなくて」
[カホラ]:「そうなんだ……出来ない子が出ても、どうにもならないと思うんだけどね」
[吹雪]:「そうですよね」
[翔]:「――呼びましたか? カホラ先輩」
[カホラ]:「きゃあ!?」
[吹雪]:「き、急に出て来んな。びっくりするだろうが」
[翔]:「いや、オレを呼ぶ声がしたからよー。何か言ったか?」
[吹雪]:「いや、お前、本当に出るのか?」
[翔]:「もちろんだぜ! 何もしないでいるよりは、出たほうが絶対にいいはずだからな。……そしてかわい子ちゃんを、いひひっ」
[カホラ]:「欲望が隠しきれてないみたいね……」
[吹雪]:「そんな考えで勝てるほど、この大会は甘くないんじゃないか?」
[翔]:「ふっふっふ……そんなこともあろうかと対策はちゃんと考えてきたさ」
[カホラ]:「あら、意外ね」
[翔]:「先輩、オレはやるときゃやる男ですよ。見くびってもらっちゃあ困ります」
[吹雪]:「お前、魔法使えるようになったのかよ」
[翔]:「それは、オレの番になったら分かるぜ。きっと吹雪もびっくりするはずだ。『なひょー』とか言っちゃうぜ、きっと」
[吹雪]:「いや、言わないし」
[翔]:「とにかく、今のオレは昨日のオレとは違うぜ! 善戦して、注目を集めてみせる!」
[カホラ]:「まあ、頑張ってね、翔」
[翔]:「ありがとうございます。応援してくれたのはカホラ先輩が初めてです」
先輩の手を持って、翔はブンブンと上下に振った。
[カホラ]:「あはは……」
[翔]:「よし、じゃあオレは自分の最終確認してくるからこれで。では、アデュー」
[吹雪]:「……急に来て急に帰って行きましたね」
[カホラ]:「そうね、元気だけはすごいと思うわ」
そうだよな、やっぱり……。
[カホラ]:「――まあとりあえず、自分のペースでしっかり、ね?」
[吹雪]:「はい、了解です」
[カホラ]:「頑張ったら、何かご褒美あげようかしら」
[吹雪]:「え、本当ですか?」
[カホラ]:「うん、そうねベスト4に入ったら、かしら? 何かご褒美考えとくわ」
[吹雪]:「よっしゃ、俺、頑張ります!」
モチベーションが益々上がってきたぜ。
「さあ、第二試合に行ってみましょう。仲野健太選手(1年)VS小林啓太選手(二年)の対決です。この戦いを制し、二回戦に駒を進めるのは一体どちらの選手でしょうか?」
俺の出番は4試合目だから、もう少し時間があるな。今魔法を使うのは体力の消費になってしまうし……教室で座りながら観戦してるか。
……………………。




