<EP_004>男たちの絆
女たちの訓練が終わると、兵士たちの訓練が再開された。
女たちを見た後ということもあり、高揚した兵士たちの訓練は午前中よりも遥かに厳しいものとなっていった。
訓練は夕方まで続き、全員が疲れ切ったぐらいで終了した。
泉で汗を流しながら、訓練の疲れを癒やしていく。
スパルタでは寡黙が美徳とされ、無駄口や長話はNGとされ、短く、鋭く、既知に富んだ話をすることが求められていた。
しかし、昼間に女性陣の美しい舞を見せられた若き兵士たちは興奮してしまい、どうしても口数が増えてしまう。
やれ、何番目の女の子のオシリの形が良かっただの、どこそこの女の子は可愛いらしいが何番目だったんだ?などという話が飛び交っていく。
スパルタでは女性に結婚を申し込む場合、まずは兵舎を抜け出して、その女性の父親に許可を貰う必要がある。
また、結婚している場合でも、妻と出会うためには兵舎を抜け出して会いに行く必要があった。
どちらの場合でも抜け出すことに失敗すれば、窃盗を見つかった時と同じように「隠密行動の技術不足」を指摘され鞭打ちの刑が待っていた。
そして、30歳の兵舎卒業までに結婚できなければ、朝の男のような目に合うことになるのだ。
なので、兵士にとって結婚というものは非常に切実な問題でもあったのだ。
(リーザを迎えに行くにはまず兵舎を抜け出さないと……)
ペイトは耳をそばだてて、そういったルート情報を仕入れることに集中していった。
そんなことをしているとテリウスが近づいてきた。
「お疲れさん、ペイト」
「お疲れ様です、テリウス先輩」
「なんか、皆、興奮してるみてぇだな」
汗を流して乾かしているのだろう。全裸のままテリウスは周りを見渡す。
「まぁ、アレを見せられたら誰でも興奮しちゃいますよ」
ペイトもまた、今日見たリーザの美しさに興奮を隠しきれないでいた。
ペイトの興奮を隠せない様子にテリウスもニヤリと笑う。
「随分、お前も興奮してるみてぇだな」
そう言うとテリウスはペイトの肩に手を回す。
「どうだ?お前の入隊祝いだ。今夜は久々に俺が手ほどきしてやるぜ」
テリウスの言葉にペイトは赤くなってしまう。
「ま、夕食が終わったら、俺の寝所に来いよ。いい場所を知っているんだ」
そう言うとペイトの背中を軽く叩いてテリウスは食堂へと向かっていった。
ペイトも汗を流して、汗が引くと食堂へと向かっていった。
夕食もまた朝と同じ、大麦の粥と獣の血と酢を混ぜた黒いスープが食卓に並ぶ。朝と違うのはナッツや果物が少々並ぶ程度である。
少量のナッツや果物は年長者が取り、たちまちに無くなってしまい、ペイトたち新入りが口にできる分量は無かった。
静かな食事が過ぎ、兵士たちはそれぞれの寝所へと戻っていく。
寝所は個室ではなく、数人で一部屋を使っていく。
ペイトは自分のベッドの上に寝転がり、天井を見上げて物思いにふける。
目を閉じて思い出すのは昼間に見たリーザの雄々しく力強い舞だった。
そんなことをしていると、不意に肩が叩かれた。
目を開けて顔を向けるとテリウスがいた。
テリウスはペイトと目が合うと、無言で部屋の外を指差す。
ペイトは顔を赤らめながらも無言でそっとベッドから降りてテリウスの後をついていくのであった。




