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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【81】洗脳を解いたらイケメンを紹介してくれるらしいです〜魔道士マリア・ヴェルナー視点


◇◇魔道士マリア・ヴェルナー視点


「あの〜……セイン様。今日私に送ってきた大量のピアスは一体なんですか?」


 私はラングスチアの女魔導士である。

 

 これでも私は魔法学校を主席で卒業した。

 王宮魔導士になって二年目だ。


 上司に「この任務がうまくいったら出世できるから」とうまいこと言いくるめられて、敵国であるセイワ共和国に派遣された。そして、メイドのフリをして一年ほど潜入している。

 

 私の任務には魔術師団長以外にも、王太子であるセイン様から直接指示がくることも多い。だが、セイン様はすごく人使いが荒い。


 イケメンだからって無茶振りが許されるわけじゃないんですからねっ。


 そして今日も、いきなり意味不明なピアスが沢山送りつけられてきた。困った私はセイン様に慌てて連絡をしたのだが……。


 正直嫌な予感しかしない。


『ああ、それね。実は前から君がセイワ共和国の王族や重鎮が操られている気がするって言ってくれてたじゃない?』


 その言葉に私は頷く。


「言いました。でも、セイン様が″まさか! そんなに長期間操られてるなんて、流石に考えにくいんじゃない”と言って笑いとばしたんじゃないですか」


『あ〜……いや、そうだったっけ。この前さ、セイワ共和国の宰相のカミシロと王太子殿下がラングスチアに来るって話は君にもしたじゃない?』


 ……そういえばそんなことを言っていたような気がする。


「はい。それで何か進展あったんですか?」


『うん。でさ、やっぱ君の言ってた通り、カミシロが契約・支配系のスキルを持っていたことが判明した』

 

 その言葉を聞いて、私は思わず口を尖らせる。


「ほら! ほら〜!! だから言ったじゃないですか! バカにしてましたけど! 今も城の偉い人達の目がドローンとしてて。まるでおかしな薬でも飲んでるみたいな顔をしてるんですよ!! 絶対きな臭いと思ってました!」


『いや〜……悪かったね。でも異世界からきたカミシロが宰相になってからもう何年にもなるだろ? まさかそんな長い間、誰も洗脳されてることに気づかないとは思わないじゃない?』


 セイン様がため息を吐く音が聞こえてきた。


「それはセイワ共和国がヴァラに対してしか行動してなかったからですよね。悪事が表沙汰になってなかったから、敢えて誰も調べようとしなかったんですよ。それで? セイン様が私に送りつけてきたあのピアスは一体何なんですか?」


 すると、セイン様は少し間を置いてから猫なで声でこんなことを言い出した。


『うんとね、そのピアス支配や契約を無効化するんだよね。悪いんだけど、それでセイワ共和国の王族から順番に、偉い人の洗脳解いてってくんない?』


 私はあんぐりを口を開けてしまった。


 何言ってんの、この人。

 そんなことただのメイドとして潜入している私に簡単にできるわけないでしょうが!


「それは……結構難しいんじゃないでしょうか……。私、あくまでもただのメイドですし。偉い人にピンポイントで近づくなんてなかなかできないですよ?」


『うん。でもそれをどうにかして欲しいんだよね。成功したらラングスチアに帰ってきていいよ? ついでにイケメンでお金持ってる貴族を紹介してあげる』


 その言葉に私は思わず前のめりになる。


「本当ですか? 約束ですよ?!」


『本当本当。 いや〜……ヴェルナーは優秀だけどちょろくて可愛いね』

 

 本当……の後に小さい声で何やら失礼なことを言われたような気がする。……気のせいだろうか?


「じゃあ頑張ります! 頼みますよっ」


 こうして私は王族の洗脳を解くという大きなミッションを与えられてしまった。


◇◇


「王太子様は猫耳がお好みです。きちんとお勤めして下さいね」

 

 私は猫耳ランジェリーに尻尾をつけて神妙な顔で頷いた。


 ここは、王太子様と閨を共にする寝室である。


 ──友人達が次々と結婚していく中、私は何が何でもイケメン貴族を紹介して欲しかった。


 だから、体当たり作戦を決行することにしたのだ。


 閨担当のメイドにお金を渡して変わってもらい、王太子様と二人きりになろう作戦である。


 ちなみにラングスチアには使用人が主人と閨を共にするような文化はない。王族も一夫一妻である。


 主席だった私のこの格好を見たら、魔法学校の同級生達はきっと白目を剥くに違いない。


 でもいいのだ。なぜなら私はこれから、ピアスで王太子様の洗脳を解いたら、速攻逃げるからだ。


「失礼しま〜す」


 情けない格好で王太子殿下の部屋に入っていく。


 すると、ドロ〜ンとした目の王太子の目に、何故か少しだけ光が戻った気がする。


「ね、猫耳……」


 彼が手を伸ばしてきた。


 もしかしてこの趣味も洗脳されているからなのだろうか。そう考えるとちょっと気の毒な気もしてくる。


「は〜い。王太子様〜。猫耳メイドさんですよ〜。ちょっとこっちに来てくださいね」

 

 引き寄せると彼は素直に大人しくなった。なので、私はしめしめと洗脳解除のピアスをつけた。


 チョロッ! なーんだ。結構簡単にできたんですけど!


「……これは?! 急に頭の中がすっきりした! 今までは、頭にモヤがかかったようにカミシロの言いなりになってしまっていたのに!!」


 王太子様の目に光が戻った。

 

「あ、よかった! 解けましたね、洗脳。実は私ラングスチアの魔導士でして。これ、洗脳を解くピアスです。感謝してくださいよっ!」


 言いながら、私はにっこりとセイワ共和国の王太子に笑いかける。


 彼はしばらく固まってしまったが、やがてとろけるような甘い顔でこう言った。


「……そうか。君が助けてくれたのか」


「え?!……ん〜、まあそうですね。ピアスをつけたのは私ですかね」

 

 私がそう言うと、彼はにっこりと笑った。


「本当にありがとう。君には必ず、お礼をしよう」


「えっ!! いいんですか?! やった〜。あ、それでですね? カミシロに気づかれる前に王族の皆様の洗脳を解きたくて……」


 説明すると、彼は頷いた。


「わかった。全面的に協力しよう」

 

 こうして王太子殿下を味方につけた私は王族と会い放題になった。そして、洗脳を解いて解いて解きまくった。


 嬉しい〜。これでやっとラングスチアに帰れる! その上、セイン様にイケメンを紹介してもらえる!


 王族達の洗脳を次々と解いた私は、王太子様にセイン様から託された作戦を話すことにした。


「私のボスのセイン様が、どうせなら油断させてから派手にカミシロをつかまえようって言ってるんです。なので、きちんと捕まえるまで皆さん洗脳にかかったフリをして頂けますか?」


 すると、なぜか王太子殿下も国王陛下も孫を見るような目で私の言葉に頷いた。


 そして、ニコニコしながら私のいうことをすんなり聞いてくれた。


 まだ洗脳にかかってるわけじゃないよね?

 なんでこんなに私に甘いんだ?


 そんなことを思いつつ、とりあえず、セイン様に進捗を報告することにした。


「セイン様〜!! やりました! 私、王族達の洗脳を解くことに成功しましたよっ」


『……ああ。セイワ共和国の王太子殿下から既に連絡がきた。その……。おめでとう』


 おお、いつも滅多に褒めてくれないセイン様に”おめでとう”と言われてしまった!

 

「うふふ〜。いいんですよお。それより! 約束覚えてますよね」


『ん? 約束……?』


 セイン様の声が訝しげになる。


「も〜!! 無茶振りしといて忘れるなんてひどいです! 私の任務をラングスチア国内に戻してくれる上に、イケメン貴族を紹介してくれるって約束したじゃないですか!!」


 すると何故かセイン様が黙り込んだ。


『あ〜……なるほど。まだ君には何も言ってない感じね。う〜ん、イケメン貴族か……。ちなみに僕、別に国内のイケメンとは言ってないよね?』


 その言葉に私は一瞬眉尻を下げる。


「えっ。出来たらラングスチア人がいいんですけど。……ん〜、まあ、超イケメンなら考えないこともないですけど……」


 私の答えに何故かセイン様が安堵したように息を吐いた。


『了解。じゃあとっておきの人を紹介するねっ! 僕とアルカディア伯爵がセイワ共和国に行ったときに紹介してあげる。サプライズだ』


「やった! 本当ですか?! 期待してます〜」


 セイン様がラングスチアからくるときに紹介してくれるということは!! その時に私に紹介するイケメンも連れてきてくれるってことよね?


 私はスキップしたいような気分で自分の寝泊まりしている使用人部屋に戻った。


 着替えてシャワーを浴びたあと、私は呟いた。


「よ〜し! あと少しで国に帰れるんだから! 頑張ろ!」


 そして、どんなイケメンを紹介してもらえるのかワクワクしながらベッドの上に横たわった。


 

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