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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【4】呪術系アイテム、換金しました。


「うおーい、持ってきたぞー」


夕方、ちょっとだけ大家らしいことをした方がいいかなと、エントランスをコンビニで買った箒で掃いてみた。すると、夕方神獣(自称)が帰ってきた。


 口には何だか禍々しい光を放つ、紫色の宝石のついたネックレスを咥えている。


「おお、お帰り。偉い偉い。じゃ、換金しような!!」


そう言ってわしゃわしゃと耳の下を撫でてやる。すると、気持ちよさそうに尻尾をパタパタ振った。


 コンビニに入ると、窓の外を見ながらイートインでアイスを食べていたフィオナさんに遭遇した。


「んまあっ! このお方からはなんだか聖なる魔力を感じますわっ!!」


そう言って彼女は目を見開く。


「ふふっ、そうじゃろう、そうじゃろう!! ワシは神獣じゃからな!!」


そう言って得意げにネックレスをブラブラさせる。


 すると、フィオナさんがジーッとネックレスを見つめた。


「…あら? そのネックレス。どこかで見たことがあるような」


その言葉に神獣がビクリと反応した。


「…きっと気のせいじゃろう…」


俺はそのネックレスを持って神獣と一緒にATMに行く。そして、『物品現金化』のボタンを押した。


 するとカード挿入口が歪んでネックレスが吸い込まれていく。


 画面には、『一億八千万円、換金しますか?』と出てきた。


「うおおおおお、スッゲェ。…これ、ネックレス一つだけだし、全部金に変えちゃっても大丈夫?」


俺が尋ねると、神獣がブンブン尻尾を振りながら『勿論じゃ!』と言った。なので早速換金する。


 すると、ものすごい量の札束が出てきた。


 その後、なぜか『呪術系アイテムを換金した為、追跡リスクがあります』と表示された。


「ん? このネックレス呪術系とか書いてあるけど。大丈夫なん?」


俺が尋ねると、神獣の尻尾がぱたりと止まった。


「…大丈夫、じゃろう!!きっと!!」


「…ま、いっか。なんかあっても自分で処理してくれよ?


 ──本当にこのマンションに住むってことで良いんだな?」


「ああっ!勿論じゃ」


神獣の言葉に俺は頷く。


「じゃあ家賃だけ貰うな。」


そう言って二百六万円俺の口座に振り込んだ。


 すると、再び目の前にタブレット画面が現れた。


『神獣、ケルベロスを住民登録しますか?


 ※生体認証可能および、防犯保護対象となります』


(あ、本当に神獣だったんだ…)


そんな事を思いながら、YESを選択する。


 すると、神獣の身体が青い光で包まれる。


「っふぁっ?! なんだか今物凄い力で防御結界が張られたぞっ?! これならどんな敵でも倒せるような気がするわいっ!」


そう言ってブンブン尻尾を振る。


「まあ!! では同じマンションの住人が増えましたのねっ!」


フィオナさんは嬉しそうだ。


「そういえばお前、ケルベロスって名前だったんだな。なんて呼べば良い?」


俺の言葉にケルベロスは考え込む。


「…じゃあ、お主が考えてくれーい。」

「うーん、ペロは? ケルベロスのベロから」


(犬っぽいしな…)


そんな事を考えて提案すると、神獣は頷いた。


「おお、何でも良いぞ。それより、何か食べ物をくれ」


そう言われて気がついた。


「──そういえばお前、自分でお金払って、食いもんとか開けられる…?」


俺の言葉にシーンとコンビニの中が静まり返る。


「ど、どうじゃろうか…」


「…その可愛らしい肉球ではレジにお金を入れるのは厳しいのでは? それに家電も使えないのでは…」


そう言われて、俺は頭を抱える。


「…ですよね…」


「──カワグチ様が飼うしかないのでは?」


そう言われて顔を上げると、ペロがクーンと言いながらクリクリの瞳で見てくる。


「…しょうがないな。家賃もらっちゃったしいいぞ。俺の部屋に一緒に住むか」


その言葉にペロがブンブン尻尾を振った。


「──世話になるっ!」


(うーん、やっぱり会話できても住民は人型じゃないと厳しいな。どんどんペットが増えてしまう)


そう考え直した俺だった。


「こんなに素敵な神獣様と同じ建物に住めるなんて幸せですわね。うふふ、弟が見たらきっと羨ましがるわ」


フィオナさんがペロを抱きしめながらそう言った。


 ペロはもふもふされてご満悦だ。


「──良かったら写真撮りましょうか?印刷して差し上げますね」


そう言って俺が写真を撮って印刷してあげるとレオナさんはめちゃくちゃ喜んでいた。


「まあっ!すごいですわ!どんな画家の絵よりも本物そっくりですわね!」


とりあえず俺はペロの金から大量のパンと、自分の金で夕飯を買うと、部屋に戻った。


◇◇


「むっ!これが部屋か?! なかなか良い部屋じゃのう!!」


そう言ってペロがキラキラした目でソファに飛び乗った。


「綺麗に使ってくれよ。ペロに使ったお金は、今日換金したお金の中から貰うからな」


「ああ、わかった」


そんな事を話しながら二人で机の上で食べ物を出してもしゃもしゃと食べる。


「おお。このりんごクリームデニッシュというのはうまいな」


「おー。いっぱい食え」


(まあ、一人だと孤独だったしちょうど良かったかも)


「しかし、長く生きて来たが、見た事ないものばかりじゃな。──まあ、それが面白かったから住民登録したんじゃが。お主、どっから来たんじゃ?」


そう言われて、俺は上を見る。


「んー。異世界?」


すると、ペロはクリクリの目を見開いた後、ポツリと呟いた。


「…そうか。異世界から召喚された勇者か。カワグチ。お主も大変だな」


と何やら不吉な事を言い出した。


「は?いや、ゆっくりするだけの気持ちで来たけど」


すると、ペロは首を傾げた。


「…そういう場合もあるのか?」


「…さぁ。でも、俺召喚される時、俺何も言われてねぇし。何もしなくていいんじゃない」


そう言ってソファに座るペロのふわふわな毛並みによっかかった。


 ──もふもふで気持ちいい。


(最初、飼わなきゃいけないってなってめんどうくさいと思ったけど、ちゃんとトイレも行ってくれるし、会話通じるし、案外癒されるな)


俺とペロはテレビで配信されている映画を見て、ダラダラとくっちゃべった。


 どうやらペロは500年前から生きているらしい。


 殆ど人前には姿を現さないらしいが、空腹で近くを彷徨っていたら、たまたま俺のマンションを見つけたらしい。


「ペロ、今までも異世界から来た奴と会ったことあるの?」


「あるぞ。400年前にな。なかなか一生懸命な奴で、魔王を倒していきおった。


 ワシは、その頃は神殿の管理を任されておってな」


その言葉に俺は目を見開く。


「神殿の管理って何すんの?」

「勇者が来た時に、神殿ダンジョンの封印を解くんじゃ」


(…ん?それ、一瞬で終わるんじゃね?)


「じゃあ、それ以外の時は?」


「…屁ーこいて寝てるだけじゃ。たまにガサゴソダンジョンの宝箱を漁ったり、食いもんを探しておったが。とてつもなく暇じゃったわい。まあ、そのお陰で多少強くなったがな。


 じゃが何かの強制力か、勇者達がくるまでは外に出れんくての。


 勇者達が来た後はやっと外に出れるようになったからオサラバしたのじゃ」


そう言って、ソファの上に丸くなった。


「…眠くなってきたな。そろそろ寝よっか。ペロはソファでいい?」


「──そうじゃな」


俺はペロがそのままソファに丸くなったので、ブランケットをかけてやると、スヤスヤ眠り始めた。


「──おやすみ。ペロ」


(うーん、デカいトイプードルにしか見えない)


そんな事を思いながら、ベッドに沈み込んだ。


 窓の外を見ると、キラキラと満天の星空が輝いておりなんだかちょっとだけセンチメンタルな気分になった。


◇◇


 ──次の日。俺がペロと一緒にコンビニに行くと、昨日と同じようにフィオナさんが唐揚げちゃんTシャツを着てマンションの周りを走っていた。


「オーホッホッホッ!!! 走りますわぁっ!!」


 今日の俺の朝ごはんはヨーグルトとサンドイッチとコーヒー、ペロの朝ごはんはおにぎりとジュースだ。


「──うん、今日も平和だな」

「そうじゃのう」


そんな事を言いながら、ガラス窓の外を見てのんびりしていると、遠くの方からでっかい鳥のようなものが飛んでくるのが見えた。


「おー。この世界は随分でっかい鳥がいるんだなっ!!」


俺がそう言うと、ペロがクリクリの目で首を傾げた。


「──いや、カワグチ、よく見てみい。あれはドラゴンじゃぞ? 上に誰か人が乗っておる」


「…へ?」


そう言われて俺は目を見開いた。


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