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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【38】ナンパ相手が王女だった件


「え?! ペロモールのオープン、明後日の予定が、三週間後に延期ですか? 随分急ですね」


次の日、俺とペロはグレイスさんに地下のラウンジに呼ばれてオープンの延期を伝えられ、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。


「ええ。本日従業員になってくれたラミアとエレイン村出身の従業員にも各元村長経由で伝えられる予定です。──侵入者騒動があったのはカワグチ様もご存知でしょう? それが原因です。 


 申し訳ないですが、カワグチ様の婚約者探しは少し延期させて頂きます」


「あー、それは全然いいですよ。結局あの黒装束の人達、何だったんすか?」


コーヒーを飲むグレイスさんの顔がなんだか暗い。ちなみにこの部屋には今俺とペロとグレイスさんの三人だけである。


「──恐らくセイワ共和国の密偵ではないかとのことです」


「…あれ? 確か今回来ていた王族や貴族ってこの街──アルカディアに接してる五カ国だけでしたよね?


 えーっと、この国ラングスチア帝国と、フィオナさんの実家のあるナーミャ。僕と一緒にたこ焼きを食べた貴族の人はトライデンって国から来たって言ってましたね。あとは、サヴィーニャ公国と、えーっとヴァラ共和国でしたっけ…。


 ──セイワ共和国?どこの国っすか?それ」


いきなり出てきた新しい名前に俺は少し混乱してしまった。


「…ヴァラに接している西の大国です」


「え。そんな国の人が忍び込んでくるなんて…。ペロモールのオープンって、もしかして何か大ごとになってません?」


その言葉にグレイスさんがぐわっと迫ってきた。


「──当たり前です!! この世界には今まで無かった異世界の食べ物や便利なもの、娯楽がよりどりみどりなんですよ?! もはやセイン様の肝入り! 国家が今一番力を入れてる案件ですよ!」


「そ、そうなんすね…」


あまりの勢いに思わずドン引いてしまう。


ペロは嬉しそうに「ワシの名前が世界中に広まるチャンスじゃ」と呑気に尻尾を振っている。


「…アルカディアの情報が漏れたのは隣国のヴァラからではないかと思われます」


(えーっと、ヴァラは確か、国王とお妃様と王子が一人。それに王女が二人…とお付きの貴族で来てたっけ…。


 王女が黒髪と茶髪で結構可愛かったんだよな…)


俺は何となく思い出しながら神妙な顔で頷いた。


「えーっと、つまりヴァラが裏切ってるってことですか?」


「まあ、共謀か、脅されて仕方なくやってるのかはわかりませんけどね…」


グレイスさんの言葉に俺は戸惑ってしまう。


「はあ…、そうですか…」


「…セイン様によると、ヴァラにセイワ共和国が武器を運び込んでいるらしく、攻め込んでくる可能性が高そうです。


 普通は他の国を巻き込むのは流石に面倒だと考えると思うので…。


 恐らく三週間、オープンをずらしましたよね? その間に攻め込んでくる可能性が高いと考えています」


「は?…攻め込んでくる?」


俺は思わず目を見開く。


「はい」


グレイスさんの顔は真剣だった。


 俺は思わずコーヒーを吹きそうになってしまった。

 ペロはクッションにハッハッと言いながら腰を振っていた。どうやら発情期が来たらしい。


「…ペロ。やめろ」


俺が注意すると、耳を垂らしてシュンとしていた。


◇◇


「リオネルさーん。やべぇこと聞いちゃいましたー」


俺とペロはとりあえず大使としてプレオープンからそのままアルカディアに残ったリオネルさんの部屋に突撃ピンポンした。


 ちなみにコーラとポテチもお土産に持った。


 もう王子というよりナーミャの太子なので、カジュアルに喋っていいと言われたので、どんどん言葉遣いがテキトーになっていく俺である。


 丁度同じマンションの五階の部屋が一つ空いていたので、昨日から入ってもらった。


「ん? どうかしたか?」


リオネルさんはショッピングモールで買ったと思われるシャツとズボンのラフな格好で出てきた。


「いやぁ、それが!! この街、もしかするとセイワ共和国って国に攻め込まれるかもしれないらしいんですよ。 いやー、リオネルさん、こうなっちゃうと、帰っといた方が良かったかもしんないっすね」


「なんだと?! それは本当か?!」


リオネルさんはガシッと俺の肩を掴んでユサユサ揺らしてきた。


「ぁああ、頭がガクガクするんでやめて下さい! 今からでも一旦国に逃げた方がいいんじゃないですか?!」


「いや、駄目だ!! この前聞いたナンパというのをすぐに試してみたら早速可愛い子が一人プライベートの連絡先を教えてくれたのだ」


その言葉に俺は思わず目を見開く。


「おお、良かったじゃないですか!! この国の令嬢っすか?!」


するとリオネルさんはデレデレしながら答えた。


「いや! ヴァラの第二王女のソフィアたんだ。ソフィアたんはショッピングモールの会員だからな! ここを離れたらなかなか会えないだろ?」


(…は? ヴァラの第二王女? )


「えーっと、それって茶髪の方ですか? 黒髪の方ですか?」


「黒髪の方だ! さっきも、『おはようリオくん』って連絡をくれたばかりだ!」


リオネルさんは興奮したのか高速でポテチを貪りながら、コーラをがぶ飲みした。


(ど、どうしてリオネルさんにヴァラの王女が連絡先を教えたんだ?! 謎すぎる!)


「ち、ちなみに連絡先を交換してからどんな話をしたんですか?」


すると、リオネルさんはスッと魔道具を見せてきた。どうやら、俺がセイン様と使っているものではなく、文通タイプのものらしい。


(うわ、めっちゃ見せてくるよ、この人)


『リオネル:おはよう、ソフィアたん。今日もいい天気だな。

 ソフィア:…ソフィアたん? おはようございます。あの、リオネルさんはカワグチさんと友人なんですよね?


 リオネル:ああ、そうだ、マブダチだ。何でも言ってくれ。私が口を聞いてあげよう』


(は? この人何勝手に言ってんの? ていうか、こっちの世界にもマブダチなんて言葉、あるんだな…)


何となく俺は、リオネルさんがハーマンさんに速攻誘惑されたという理由を察してしまった。


『ソフィア:では、お願いがあります。私とアルカディアの領主になったカワグチ様を会わせて頂けないでしょうか?


 リオネル:ああ、勿論だ。私とのデートのついでにマブダチに挨拶しておこうと。そういうことだな。


 ソフィア:はい。いつだとご都合よろしいでしょうか。』


(え、なんか、俺、ヴァラの王女と会う事になってるんですけど。草。)


俺がじとっとリオネルさんの方を見るとバツが悪そうな顔をされた。


「…ということで、ソフィアたんに会って貰えるだろうか」


「…えー、どうしよっかなぁ。リオネルさん俺に相談せず勝手に行けるとか言っちゃうしなぁ…」


俺が渋っていると、リオネルさんが焦ったように俺の肩をもう一度揺さぶった。


「た、頼むっ! 無理なんて言ったら、ソフィアたんとデート出来なくなってしまうっ」


「あー、わかったわかった!! わかりました! じゃあ回転寿司、奢ってくれます? 俺、いくらとウニと中トロ頼んじゃいますけどいいですか?」


その言葉にリオネルさんはパアアアッと顔を輝かせた。


「勿論だっ! 好きなだけ食べて良い!!」


こうして、俺は寿司と引き換えにヴァラのソフィア王女に会う事になった。


◇◇


「この格好は変ではないだろうか」


──次の日の10時になった。


 結局いつ侵略されるかはさておき、予定が特になかった俺は、リオネルさんの家に宿泊し、まだダラダラと横になっていた。


 ついでに、やることが特にないので、今日の夜ソフィア王女に会う事になった。


 すると、ソワソワした様子のリオネルさんに叩き起こされた。


「…え?」


眠い瞼を擦りながら目を開けると、そこには柄物のジャケットに迷彩のズボン、インナーは蛍光イエローに頭にバンダナを巻いたクソダサ柄ファッションのリオネルさんがキメ顔で立っていた。


 どうやら、ペロモールで購入したらしく、今日の王女とのデートに来ていくつもりらしい。


「どうだろう」


心配そうな顔で俺を覗き込んでくるリオネルさんに俺は溜息を吐いた。


「…それで行ったら、相手、五秒で帰ると思います。仕方ないんで、俺が全身コーディネートしてあげます」


──こうして、俺達は王女と会うまでショッピングモールで服を買う事になった。




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