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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【32】皇太子の思惑〜セイン・ラングスチア視点


◇◇セイン・ラングスチア視点


(いよいよこの日が来た)


僕は集まった国内外、周辺諸国の主要な貴族や王族をこの日のプレオープンに合わせてペロモールに招待した。


 各国の王族を招いたのは、ただの親善ではない。


 ──勿論カワグチ殿と話した通り、ショッピングモールがうまく回るかどうか、試すという目的も()()()ある。


 それに、上位貴族や王族を招待することで面子を保ち、『初めてこのサービスを楽しんだ』という特別感を味わわせること、それも勿論ある。


 だが、僕の一番の目的──それは『招待した彼ら』がどういう行動に出るか観察するためである。


(ま、国内貴族やナーミャがここを奪おうとすることはないだろうけどね。けれど、果たしてそれ以外の国がどんな行動を起こしてくるのか見ものだな)


そう思いながら、心の中で一人ほくそ笑む。


 多分、バカな国が何カ国かペロモールやこの地を我が物にしようと行動を起こしてくるだろう。


 そうなると、ありがたいことに向こうから攻撃を仕掛けてくる可能性が高い。


 その攻撃をあくまでも正当防衛で迎撃するというカタチで、ラングスチア帝国にとって目障りな国を一気に叩くチャンスが出来る。


 このプレオープンは、経済の活性化はもちろん、帝国の領土をさらに拡大し、反乱分子を叩く為の『エサ』でもあるのだ。


(──さて、どう出るかな)


この街は異常だ。

そして、価値がありすぎる。


だからこそ──彼らがどう動くか見ておく必要がある。金に目が眩むのか。我が国に忠誠を誓うのか。


(カワグチ殿には悪いが、この街には、囮になってもらう)


彼が作るものは、奪いたくなるだけの価値があるものだから。


 当のカワグチ殿は初めての礼服に居心地が悪そうに苦笑いをしているが、何人かが彼を見極めるかのようにジッと見ている。


 そして僕はこれから、彼の価値を実際見せつけた時の周辺国の行動で、本当に信用に足る相手かどうかを見極めるつもりだ。


「それで? この街の名前はどうするんだい?」


口の端を上げながら、僕は彼に問いかけた。


「うーん、まだ何も考えてないんですよ。何がいいっすかね」


彼はヘラヘラ笑いながら答えた。


 恐らく彼は自分が作り上げたものが、この世界でどれだけの価値があるのかよくわかっていないのだろう。


 彼の命は下手したら皇太子である『僕』や皇帝である父よりも重い。


 だからこそ、囮にはなって貰うが、これから自分の身を守って貰う必要がある。


「──そう。ここはこの世界にはなかった楽園のような場所だ。『アルカディア』なんてどうだろう」


その言葉に彼は嬉しそうに頷いた。


「いいっ! いいっすね! ちょっと厨二臭がするのが最高です。そうしましょう」


チューニシュウが何かはわからないが、気に入ってくれたようでよかった。


「うん。じゃあ今日からここは『アルカディア』だね」


そう言って僕は笑う。


 ホテルに着くとロビーにはご婦人方が集合していた。


 派手ではないが機能美を詰め込んだような座り心地の良さそうなソファが置いてある。意匠は少ないが実用的で美しい形だ。


 ──彼の出すもの一つ一つが魅力に溢れている。


 彼女達もすっかりとこの『ホテル』という異世界の宿が気に入ったようだ。恍惚とした表情で話し込んでいる。


 どうやら、取りまとめはナーミャのリオネル王子の元婚約者──この街の住人でもあるフィオナ嬢がしたようだ。


 この前は変わった格好だったが流石に今日はドレスを着て、フォンティーヌ公爵婦人と談笑している。


「では、ショッピングモールへ」


そう言って、僕は彼らを入り口に案内した。


 文官達が貴族が来るのを見越して、入り口に何人ものスタッフを出迎えの為に集合させたらしい。


「ようこそペロモールへ。いらっしゃいませ!」


そう言って店員となったラミア村、エレイン村の者達が頭を下げている。


(うん、なかなか様になっているな)


「それでは皆さん、お買い物を楽しんで下さい。このカートという道具に『かご』を置いて、好きな品物を入れて下さい。支払いはあの機械にカゴをのせて、金貨を入れれば大丈夫です。


 疲れたらイートインスペースという休む場所やレストランもございます。


 館内の地図はこの入り口を含めて館内にたくさん貼ってあります。また、これからお配りするパンフレットでも確認出来ます。


 本日が本格的なオープンですので、スタッフが慣れていない部分もあると思います。どうかお手柔らかにお願いします。


 お買い物が終わりましたら、ホテルでお寛ぎ下さい。外からも行けますし、地下エレベーターからも直通で行けます」


カワグチ殿が挨拶をすると、貴族や王族が拍手をした。


 そして、文官達から地図の書いたパンフレットが一人一人に手渡される。


 そしていよいよ貴族や王族達が各々目を輝かせながら商品を物色していく。


「まあ、これは何という果物?!」

「なんという新鮮な野菜だ!」


口々に感嘆の声を漏らしながら買い物を楽しんでいる。


 そして、カワグチ殿はといえば、ナーミャのリオネル王子と仲が良いらしく、抱き合って再会を喜んでいた。


 実はナーミャからこの街に是非ナーミャの大使館を作りたいと話が来ている。そして、そこの責任者にリオネル王子の名前が上がっている。


(まあ、本人も嬉しそうだし、僕としては第二王子をこの国に『人質』に貰うようなもんだから全然いいんだけどね。


 ナーミャは最初から疑っていないけど、服従する、という意図もナーミャの国王陛下にはあるんだろうな)


そう思って僕はニッコリと笑う。


「さあてっと。僕はこの前見れなかった『映画』というものでも見てこようかな。ね、グレイン」


「はい。セイン様。その間の警備はお任せ下さい。


 夕方には、カワグチ殿と兵舎にて個別にお話しする時間も取って頂きました。その際に今後のご相談をして頂ければと思います」


──そう。彼の作った兵舎の出来に、僕は度肝を抜かされた。


 広大な訓練ができる土地、そしてマンション。また、ドラゴンですら伸び伸び過ごすことが出来る厩舎は皇都のものよりも遥かに良い出来だった。


 しかも、全てが秘密の話をするのにも打ってつけな頑強な作りのものだった。


「うん、分かったよ、それじゃ、行こうか」


こうして僕とグレインは『映画』を見に行った。

 

 せっかくなのでこの世界にはないものを見たいと思い『アニメ』という絵が動く映画を見てみた。


 何故かその作品の中では動物達が人間と同じ言葉を話していた。


(なんだこれは? 異世界の動物達は皆神獣のように喋るのかな…?)


僕は夕方の話し合いのついでにカワグチ殿に尋ねようと心の中で誓った。


◇◇


「…え、住人が逃げ込めるような場所を作って欲しい…?」


──夕方。


 僕の言葉にカワグチ殿は目を見開いた。


 兵舎にある役場と同じ作りの詰所の会議室で、僕達は対峙していた。


 窓からオレンジ色の西陽が指しており、僕とグレイン、そしてカワグチ殿とペロという神獣が椅子に座る影が床に映し出されている。


 今日は騎士達は警備で出払っており、建物の中は閑散としていた。


「うん。やっぱり、色んな国の貴族にこの『アルカディア』の存在が知られるわけだからね。何かおかしなことを考える者がいるかもしれないだろ?


 その者達が万が一攻撃してきた時に逃げる場所だ」


「うーん、わかりました。考えてみます」


彼は顎に手を当てて何かを考え始めた。


「まあ、危なくなったらワシがそんな奴らを吹き飛ばしてやるわい」


そう言ってペロが歯を剥き出しにしながら尻尾を振った。


(まあ、騎士団もいるし、この神獣はアホそうに見えて本当に魔力が高いみたいだしね。


 恐らく彼が近くにいれば大丈夫だろう)


そんな事を思いながら僕は頷く。


「うん。宜しくね。それじゃあ、今日はもうホテルに戻ってゆっくりしようか」


僕の言葉にグレインとカワグチ殿、そしてペロが頷いた。


 こうして僕の囮作戦がゆっくりと動き始めた。


 ──ちなみに、アニメの動物が何故喋るのか僕が尋ねると、カワグチ殿が


「え?…アニメだからじゃないっすか? そういうのは深く考えちゃだめです」


と意味不明な解答をくれた。


 

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