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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【29】万引き騒動と兵舎の完成。


「キャアアアアッ」

「な、なんだ?!!」


ビリビリビリビリィイイイイイ!!!


 レジの近くで床のタイルが開いて中から夥しい数の銃口が出てきて、中年の夫婦に出てきた紐が巻きついていた。


 ──周りの村民達は怯えている。


「どうかしましたか!」

「何事だ!」


グレイスさんの他にもう一人文官さんが走ってきた。そして、どうやら騎士団のメンバーもサポートで巡回していたようで何人か飛んできた。


 俺は拘束されている夫婦の前にしゃがみ込んだ。


 二人は恐怖固まってしまっている。電撃も受けて呆然としているようだ。


「…あー。すんません。お金払わないで持ち帰ろうとしませんでした?」


俺の言葉に夫婦が悲痛な声で言った。


「…御免なさいっ、あの。あまりにも会計する場所が混んでたので、一旦持って帰ってあとで払おうと…」


見ると、確かにレジは長蛇の列になっていた。


 いきなり人が来て捌き切れていないラミアタウンの人達がワタワタしており、セルフレジも皆さん時間がかかってしまっている。


「…あー、なるほど。すみません、でも店内を出る前にお金を払わないで出ちゃうと万引き扱いになっちゃうんですよ。結局その人の良心に任せる感じになっちゃってそれが出来ちゃうと盗み放題になっちゃうので。他の人も気をつけてくださいねー。セキュリティが作動しちゃうんで」


俺が呼びかけると怯えた顔で皆さん頷いた。


 すると、目の前にタブレットが出てきた。


『構成物変更で、店内の全てのレジの仕様を変更しますか?レジ一台につきMPを5消費します』


(え、マジ? こんなことも出来るの?)


YESを選択すると、店内のレジが全て光り輝く。


「おお、これは…!」


どうやらカゴを置いただけで値段が出る仕様に変わったらしい。


 先程までの長蛇の列が嘘のように短くなっていく。


 俺はポンポンと夫婦の肩を叩くとニッコリと笑った。


「ま、これからは気をつけてください」


二人はゴクリと生唾を飲み込んだ。多分この二人や目撃した村民達は、もう万引きすることはないだろう。


(まあ、貴族がくる前に小さい問題が起こってて良かったかもな) 


俺はくるりと振り向いて、グレイスさんに伝える。


「小さいものでも大きいものでもいいんで問題が起こったら紙などに残しておいて頂けませんか?

 セイン様がプレオープンで貴族を連れてくる前に改善できる所はしておきたいんで」


俺の言葉にグレイスさんが神妙な顔で頷く。


「わかりました」


すると、先程飛んできた副騎士団長のクリスさんがポリポリと頰を掻いている。


「それにしても、驚きました。盗みなどしたら、建物そのものが盗みを行った者を識別して攻撃するんですね…」


「はい。その通りです。まあ貴族の方でしたらそういう事はしないとは思うんですが、盗んだら注目を一気に浴びる事にはなると思いますね」


俺の言葉にペロを自慢げに鼻息を吐き出した。


「ワシも一回電撃をくらったことがあるが、なかなか刺激的じゃったわい!」


(いや、ペロ…そこ、自慢するところじゃないぞ)


するとクリスさんは少し顎に手を当てて考え込んだ。


「なるほど…。まあ警備の面ではいいとは思いますが、万が一他国の王族や高位貴族などが同じことになるとまずい、かもしれないですね…。」


その言葉に隣にいたフィオナさんが目を見開く。


「確かに…もし子供などが無意識に手に取って持ち帰ってしまったりした際に、貴族だと大事になるとまずいかもしれませんわ」


「やっぱりそうですよね…。カワグチ様、グレイン様やセイン様に相談してもいいですか?」


クリスさんが眉尻を下げながらそう言ったので、俺は頷く。


「はい、勿論です」


(まあ、YESを選択しなければいいだけの話だしな。その場合、万引きした人の名前、きっとタブレットだしログに残ってそうだよな。


 あとで、タブレット画面出していじってみようっと)


その後、俺は心配になったので、一通りショッピングモールの様子を見ることにした。


 働くのは嫌だが、トラブルに巻き込まれるのはもっと面倒だからだ。


 一応レジがスムーズになってからはそこまで大きな問題はぱっと見た感じではなさそうだった。


 ただ、結構今まで暇だったのに人が来たので、少しラミアタウンの人達がバタバタしているような感じはした。


◇◇


「おお、カワグチ殿。今回も色々と世話になってしまってすまぬな」


ペロとフィオナさんと一緒に歩いていると、グレインさんに遭遇した。


「おお、グレインさん! お疲れ様です。何やってたんですか?」


「ああ。数日後に騎士団や文官が来るだろう? 文官達は役場があるが、騎士団は普段はどこに集まるべきかなどを調査していた」


その言葉に俺は目を見開く。


「あー…。すんません、そういえば、騎士団の人達が勤める兵舎とか作ってなかったっすね。


 どういうのがいいとかありましたか?明日、良かったら僕、作りますよ。」


すると、グレインさんが申し訳なさそうな顔をした。


「…すまん。急かしたつもりなどはなかったのだが。それに、役場などもカワグチ殿が作って下さったようだが、本来其方ではなく、国が用意すべきものだ。


 ──其方が全て責任を負う必要などないのだからな」


その言葉に俺は目を見開く。


(何この人…!好き!!)


俺は立派な兵舎を作ってあげようと心の中で誓った。


◇◇


 ──次の日。俺はグレインさんと一緒に、ショッピングモールの近くを歩いていた。


 ちなみに試泊も兼ねてグレインさん達騎士団にはホテルに宿泊してもらった。


 食事のおいしさや、スパなどかなり気に入ってくれたようで、ここにこのまま残りたいと言い出した騎士も何人かいたようだ。


「本当にこんなに良くしてくれて、カワグチ殿には感謝する」


「いえいえ。やはり、兵舎を作るとしたら、人が集まる場所の近くですよね」


ちなみに、兵舎の隣にマンションがあった方がいいだろうとのことで、アイテムボックスにマンションを入れてきた。


「…ショッピングモールの目の前に兵舎を作るのはどうだろうか?」


その言葉に俺は頷く。


「わかりました。」


「ああ、あと、タロウ殿の件だがな。騎士団で世話することになった。正式にナーミャからドラゴンを友好の証として譲り受けたからな」


その言葉に俺は顔を上げる。


「──いいんですか?!」


「ああ。こちらこそ、遅くなってしまって申し訳ない。」


俺は感動しながら頷く。


「っ、本当にありがとうございます。では、ショッピングモールの目の前に兵舎を作りますね。


 堅牢な作りの方がいいですよね…。あ、マンションもじゃあその隣に出しますね」


そう言って、タブレットを出して『公共物作成』を選択する。


(うーん…どうしようかな。あ、『グラウンド』が訓練所にいいかも。 あとは、オフィスは必要だから『役場』をもう一個出しとくか。あとは、馬を停めれるような場所だな。あ、よく見たら、厩舎ってあるじゃん。あとは、タロウを飼えるような場所だな。)


俺はグラウンド、役場、マンション、さらに馬の厩舎、芝生を出す。それらをコンクリートの高めの塀で見えないように囲った。


 入り口付近には柵と、検問所を設けた。


(おーおー、いいじゃないの!自衛隊の駐屯地みたいな感じになったな)


「こんな感じでどうですか?」


俺が尋ねると、グレインさんはなんと、ひしっと俺のことを抱きしめてきた。


「──最高だ。ありがとう、カワグチ殿。ここだけの話、王都の兵舎よりずっと立派だ」


そう言われて俺は思わずはにかんでしまう。


「いえいえ、気に入って頂けたのなら良かったです。」


こうしてこの街に騎士団のの兵舎もめでたく誕生した。


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