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スキル『マンション』で異世界無双 〜不労所得で一生ダラダラします。  作者: 間宮芽衣


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【10】王子、マンションに来る。


「ふー! 今日も平和だなぁ」


そんな事を言いながら今日も俺はマンションのエントランスを箒で履いていた。


 すると、ペロがブンブンと尻尾を振りながら俺の方に駆けてきた。


「おーい!! カワグチ! 何やらコンビニで新しいメニューが増えたみたいじゃ!」


「まじ? 買いに行くわ!」


俺は箒を片付けると、コンビニの中に入っていく。


「おー、ソフトクリームじゃん。そっか、もうそんな時期か。すんませーん、ハーマンさん、ソフトクリーム4つ!! バニラとチョコと、ミックス二つね。」


「あ、カワグチさんとワンちゃん。はーい。ちょっと待ってね」


そう言ってハーマンさんがソフトクリームを四つ分、巻き巻きしてくれた。


「ほら、ペロ。今日は俺が奢ってやるよ。ハーマンさんも客が俺たちしかいなくて暇だと思うから、おひとつどうぞ」


俺の言葉にハーマンさんは嬉しそうに頷いた。


「いいんですか?!やったー。じゃあこのチョコのやつがいいです」


「おー、いいよ。あ、ちょっとタロウにもソフトクリームやってくるわ」


俺がペロとタロウの所にいくと、彼はうまそうにミネラルウォーターを飲んでいた。


「ほら、タロウ。これも美味いぞ。あーん」


俺の言葉でタロウがガバッと口を開けたので舌を目掛けてソフトクリームを投げ入れる。


 すると、美味かったのかゴオオオオオオオオオッと嬉しそうに火を吹いた。


「ははっ、美味かったのか。良かった良かった」


俺とペロはそんなタロウを見て笑いながら、ソフトクリームを食べる。


(これこれ!このアイスとは違う舌触りがいいんだよな)


そんな事を考えながらタロウとペロとだべっていた時だった。


 上空からドラゴンがバサバサと飛んでくるのが見えた。


「カワグチ。またドラゴンが飛んできたようじゃのう」


「本当だ…。誰かな。また入居してくれると嬉しいんだけど」


そんな事を話していると、タロウの隣にストンっとドラゴンが降りた。


 背中には金髪の身なりのいいイケメン男性が乗っている。


(──これは!!この人、金を持っていそうな匂いがするぞ!)


営業歴の長い俺は、見ただけで金の匂いを嗅ぎ取るという特技を持っていた。


「こんにちは!!お兄さん、入居希望者の方ですか?」


俺はニコニコと揉み手をしながら近づいていく。

 すると、彼は戸惑った顔で俺を見つめてきた。


「…私は隣国の第二王子、リオネルという」


彼は何やら金のようなもので作られた勲章のようなものを見せてきた。これが王族の証らしい。


「おお、すげぇ!…そうなんですね。」


すると、彼は神妙な顔で頷いた。


「私はフィオナ・フォンティーヌ嬢を保護したというカワグチ殿という男性に会いたいのだが。」


「あ、それ、僕ですけど」


その言葉に驚いたようにリオネルさんは目を丸くした。


「そ、其方が?! な、なんだかフォンティーヌ公爵が言っていたイメージと違うな」


(えーっと、つまり、この人ってハーマンさんに魅了されていた元フィオナさんの婚約者ってこと?


 参ったな。今ハーマンさん、コンビニで思いっきり働いてるんですけど。)


「えーっと。それで、どのようなご用件ですか?」


「魅了が解けて、目が覚めたのだ!!どうかフィオナに謝罪させて欲しい」


その言葉に俺はペロと顔を見合わせる。


(えー…。それは国外追放して、ドラゴンから放り出しといて勝手じゃない?)


「…うーん、ほっといてあげるのも優しさだと思いますけどね。 フィオナさんは謝って欲しいとか思ってなくて、ただもう会いたくない可能性だってあるじゃないですか」


王子なら入居者になってくれることはなさそうだと判断した俺は、思ってる事をずけずけ言う事にした。


「…だが!!」


彼が悲痛な顔をしたので、俺は少し考える。


「うーん。…まあでも、わざわざ来てくれたんですもんね」


そう言ってコンビニに案内する。


「いらっしゃいませー!!…っ!!」


挨拶をしたあとハーマンさんの顔が蒼白になる。


「…っ、リリ・ハーマン!!」


リオネルさんは驚いた顔をした。


「あー…。 ハーマンさんも行くところがないって言うんでウチで保護したんですよね。 大切なコンビニ従業員なんで、とりあえず処罰するとか言って連れ去るのはやめて下さいね? 彼女がいないとおでんとソフトクリームと出来立て弁当が食えなくなるんで」


その言葉にリオネルさんが黙り込んだ後、頷いた。


「…わかった」

「カワグチさんっ!…ありがとう!」


ハーマンさんが目をうるうるさせてお礼を言ってきた。


「ま、ハーマンさんはいつも通り働いててくれればいいから。 それよりリオネル様、何か食べたいものあります? 僕、ご馳走するんでここで食べながら待っててくれませんか? その間にフィオナさんに貴方とお会いしてもいいか聞いてくるんで」


「…かたじけない」


そう言って彼は顔を伏せた後、コンビニの店内を見回した。


「──それにしても見たことのない食べ物ばかりだが、どれもとても美味しそうだ。 このワインなどとても品質が良さそうだな。」


結局リオネルさんはワインとカマンベールチーズと生ハムを選んだ。


(うーん、酒買っちゃったか。まあ酔っ払ったら、ゲストルームに泊まってって貰えばいっか)


「それじゃ、呼んできますね。会いたくないって言われる可能性もあるんで、あんまり期待はしないでくださいね。ペロ、リオネル様の話し相手になってあげて。」


「おお、わかったわい。」


(なんとなくコンビニの中に魅了をしたハーマンさんと王子だけにしておくのは微妙だからな。万が一修羅場になったらしたら嫌だし。)


王子をペロに任せると俺はフィオナさんのいる七階に向かった。


 ピンポーン。


「はーい。」


インターホンを押すと、フェイスマスク、唐揚げちゃんTシャツ、そして短パン姿のフィオナさんが前髪をちょんまげのように結んで出てきた。


(この人もここに来てから俺と同様、テキトーな格好してんな…。)


ちなみにこの前公爵家からフィオナさんの普段着を何着か持たされたので本人に渡したのだが。結局この格好がお気に入りらしい。


「──フィオナさん、お客さんが来てます。リオネル様って名前らしいですけど。


 本人曰く王子って言ってます。フィオナさんに会いたがってるんですけどどうしますか?


 なんでも、魅了されてた時の振る舞いを謝罪したいんだとか」


俺がそう言うとフィオナさんが固まった後、溜息を吐いた。


「──じゃあこの格好から着替えなきゃいけないわね」


(あ、これ、『会うのが恐怖』とか『会いたくない』ってより、着替えるのがただめんどいって思ってる感じだな)


俺は少しだけホッとする。


「いいんじゃないっすか? だってもう公爵令嬢じゃないんですし。もうただの、『このマンションの住人』のフィオナさんじゃないですか」


「…それもそうね!じゃあフェイスパックだけ剥がしたらすぐに向かうわ!」


フィオナさんが嬉しそうに言ったので俺は頷く。


「あ、じゃあ下のコンビニで待ってますね。準備できたら来て下さい」


俺はそう伝えると一回のコンビニにエレベーターで降りていく。


「…リオネルさん。フィオナさん、今来てくれるらしいですよー。会ってくれて良かったですね」


すると、彼の顔が感極まったかのように歪む。


「…そうか!!」


「それより今日は暑かったですよね。新作のソフトクリームっていうメニュー、今日からなんですけど凄い美味しいんで良かったら食べてって下さいねー」


俺の言葉に彼が頷いた時だった。


「リオネル様っ!!お久しぶりですわ!!」


──フィオナさんが唐揚げちゃんTシャツと短パン、ちょんまげヘアーでコンビニに入ってきた。


「…フィオナっ!!」


振り向いたリオネルさんは呆気に取られた顔をした。


「──どうしました?」


フィオナさんが訝しげな顔をすると彼は戸惑ったように呟いた。


「いや、斬新な格好だな…と」


「おほほ。もう公爵令嬢でもなんでもないので。普段の格好で良いかと思いましたの」


その言葉に彼が悔しそうに黙り込む。


「公爵令嬢ではない、か。


 ──本当にすまなかった!! 魅了されていたとはいえ、君には酷いことをした」


すると、フィオナさんは目を見開いた後、笑顔になった。


「…ようやく普段の殿下に戻ってくださったのですわね。良かったですわ」


「──っ、カンデラ家の今の領主は、厳罰を与える事になった。今後はサラ殿が引き継ぐ事になる!!


 私も君に信用してもらえるように頑張るから、どうかまた婚約を考えてくれないだろうか!! 勿論厚かましいのは重々承知だが、何卒考え直してはくれないだろうか!」


その言葉に俺とペロとフィオナさん、それにレジにいるハーマンさんが目を丸くする。


「え…。でも。サラ様は女性ですわよね?我が国の法律では、家を引き継ぐことは出来ないのでは」


その言葉にリオネルさんが首を振る。


「それが、サラ殿──サール殿は男性だったのだ」


「「え、ええええええええ!!!!」」


コンビニの中に驚きの声がこだました。


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