バ先の常連さんと婚約しました
一応主人公は異世界転生しておりますが、性格変化のきっかけ以外、異世界転生要素はあまりありません!
先日、私、ニーナは高熱を出した。三日間くらい続いた高熱は、多分前世の記憶を思い出したことによる頭のキャパオーバーが原因だろう。
私は前世では、大川綾という名前で大学生活を送っていた。初バイトにウキウキと向かっている途中で暴走トラックに跳ねられて死んだ。
静かな自室で色々考えた。いかに前世の記憶を取り戻す前の自分が愚かだったかを。思い出したくもない悪行の嵐だった。流石に頭を抱えざるおえなかった。
ニーナは礼儀作法は完璧だ。歴史あるマームン侯爵家の一人娘だから、教育はしっかり施されていた。マナーもしっかりしていて頭がいい。ただ、ただ沸点が異常に低いのだ
元法学部生としては、自分が器物損壊、侮辱、脅迫、その他様々な犯罪に関わっているなど思いたくもなかった。
親の甘やかしすぎも私の性格形成の一端を担ってそうではあるが、社交の機会も十分に与えられた上で自分の愚かさに気がつけなかったのは完全なる私の落ち度だ。
やれやれ、と思いつつベッドから立ち上がりドアを開けると、ドアの前には、心配のしすぎなのか、目を真っ赤に腫らし、隈を作っている両親がいた。
「心配かけてごめんなさい」
そういうと、
「いいんだよ、ニーナちゃんが生きてくれてるだけでパパたちは幸せなんだから」
と言って二人が抱きついてきた。前世も別に親の愛には飢えてなかった。どちらかというと過保護な部類の家だった。それでもやはり、家族からの愛とは幸せな気持ちになる。
「お母さん、お父さん、私、働いてみたい」
前世憧れていたバイト、行く直前に命を落とした。だから、働いてみたいというのもある。でもそれよりも
「社会の厳しさを学びたい。私はこれまでお母さんとお父さんに迷惑をかけてばっかだったから」
「どうしたのよ、急に」
お母さんがすごいオロオロしている。お父さんは黙り込んでいる。
「この三日間、自分の愚かさを見直したの。そして自分が成長するために私なりに考えついた方法なの。お願い」
両親は顔を見合わせると、お父さんが
「わかった。ただし、パパたちはニーナが就職する時も決して手助けはしないよ。それと、1週間で働く先が決まらなかったらこの話は無かったことにするよ。それでもいいなら」
「わかった。侯爵家のことも決して名前には出さないよ」
侯爵家から通うのは大変というのと、どうせなら一人暮らしをしてみた方がいい、というお母さんの提案により私は侯爵家の領地で一人暮らしをしながら働き口を探すことになった。
1番最初に候補に上がったのは『夢物語』というご飯屋さんだ。『働き手大募集中、初心者大歓迎」という張り紙も貼ってあった。
からん、ドアを開けると気持ちのいいベルの音が鳴った。
「はーい、何名様ですか?」
出てきたのは少しふくよかでそれでいて、とても優しそうな女将さんだった。
「あ、あの、ここで働かせてください」
ばっと頭を下げると、女将さんは嬉しそうに
「え?逆にいいんですか?」
と言った。そしてそのまま流れるようにあっさり働き口が決定した。私はそこではニナと名乗り働いた。とても楽しかったし、やり甲斐があった。女将さんは優しかったし、料理を作る女将さんの旦那さんも面白かった。女将さん夫婦の子供は可愛かった。勉強を教えると、とても喜んでくれた。
常連さんとも仲良くなった。1番話したのは、毎月7のつく日にくるラルと名乗る男性だ。彼は毎回同じ席に座り、毎回ビーフシチューを頼む。私より10つ上の彼の知識は幅広く、とても楽しかった。おそらく相手にされないと承知の上だったがラルさんのことを心から慕っていた。
クレーマーの撃退の方法も学んだ。口喧嘩はだいぶ強くなった。前世の記憶とクレーマー対応の経験のおかげで感情のセーブも前よりだいぶできるようになった。
働き始めてから1年半が経った頃、両親から呼び出しがかかった。王家から私の婚約が打診されたそうだ。両親は申し訳なさそうに眉尻を下げ
「ごめんね、ニーナちゃんパパも頑張ったんだけど殿下が取り下げてくれなくて…あ、でも嫌だったら国外に逃げちゃえばいいから」
お父さんは名案のようにいい、お母さんもそれに同調するが
「そんなことしたらお母さんもお父さんも国家反逆罪で捕まっちゃうよ。少し時間頂戴。2〜3日でいいから。女将さんに挨拶してこなきゃ」
「ほんとに、元々可愛くていい子だったニーナちゃんがさらにいい子になっちゃって…」
「ちなみにお相手は?」
この国では16歳で結婚することが普通だ。私は来月の6日で、18歳になる。行き遅れもいいところだ。おまけに悪評高い。そんな私と王家は誰を結婚させようというのだろう。
「カーテル辺境伯爵だよ」
あぁ、なるほど。王家からの打診という体をとっているが、第一王子からの打診だろう。後継争いで現在、第二王子が台頭してきてしまっている。カーテル辺境伯爵は若くして辺境伯爵に上り詰めた優秀な人物だ。第一王子も側近に据えたいと思っているが辺境伯爵、少し身分が足りたいのだ。侯爵の私が嫁ぐことと、辺境伯の彼の今までの実績をもとに爵位を一つ上げるつもりなのだろう。
愛のある結婚に憧れていないわけではないが、今まで犯してきたことが犯してきたことだ。国に迷惑をかけてきた身として政治の道具として政略結婚に使われることに文句はなかった。それが少しでも贖罪になると思ったから。
ラルさんへの気持ちは心にしまうと決めた。
『夢物語』のおかみさんに、結婚し、遠い街に引っ越すから今月いっぱいで仕事を辞めなければいけなくなった、突然の報告で申し訳ない、と伝えると、
「あらあら、そうなのかい。寂しくなるねぇ、手紙よこすんだよ。帰ってくる時は、ご飯食べにきなね。サービスするから」
と言って送り出してくれた。残念ながら今月の7がつく日はもう終わってしまったため、最後にラルに一目会うことはできなかった。
私がカーテル辺境伯爵に輿入れしたのは翌月の8日のことだった。辺境伯爵邸につくと、執事がやってきて
「遠いところを遥々ようこそお越しくださいました。私、この屋敷の執事のトムと申します。申し訳ありません。旦那様、ラルフレッド様は現在、王都へ定期報告に行っております。明日にはお帰りになると思いますので、本日はごゆっくりお休みくださいませ。朝食は旦那様と食べることになるかと思います。苦手な食べ物などはありますでしょうか」
プロの執事だった。周りのメイドたちもプロだった。私の悪評を知ってるのだろう、怪訝な顔をしているもの、値踏みするかのように私を見る者、嫌悪感丸出しな者もいるにはいるが、大っぴらに嫌そうな顔はしない。上の立場の執事やメイドであればあるほどポーカーフェイスは完璧だった。
「そう、ありがとう、トム。苦手なものは特にないわ」
そう言って私は部屋に通され早々に眠りについた。翌日、メイドに起こされ着替えて朝食へ向かうと、男性が一人立っていた。彼は決してこちらに顔を向けなかった。
「ラルさん?」という声を私は飲み込んだ。あまりにも後ろ姿や着ているものが似ていたからだ。間違いなくラルさんだった。心から慕っている男性を間違えるわけなかった。
「お初にお目にかかります。マームン侯爵家、ニーナと申します。以後よろしくおねいいたします」
嬉しくて、でも、なんだか気恥ずかしくて、声が震えてしまった。
「君が把握しているかどうかはわからないが、これは政略結婚だ。もちろん衣食住には不自由させない。だが、僕からの愛は望まないでくれ。すまないが僕は君を愛せない。すまない。不誠実だとはわかっているが、忘れられない人がいるんだ」
それだけ言うと、ラルさんは去っていった。知らなかった。ラルさんには好きな人がいたんだ。
私の初めての恋は始まる前に終わっていった。その後三年間、辺境伯とは会うことがなかった。きっと、彼が心から愛する人と、愛人と一緒に暮らしているのだろうと思った。でも、それでも彼が幸せならいいと思った。
◆◇◆
最初は、ただ料理が美味しく、王都から近く通いやすい、と言う理由で行っていたお店だった。そこのビーフシチューがたまらなくすきだった。王都への近況報告はそんなに好きではなかったし、できることなら行きたくなかったが、そこのビーフシチューがその気持ちを少し軽くしてくれていた。
いつからだろうか。苦手だった王都の近況報告が、楽しみになったのは。
1年と少し前から、ニナと言うやけに明るい店員が増えた。ちょこまかと小動物のように動くのが可愛い、と、妹を見るような、そんな目で見ていた。
基本的に平和なお店だったが、たまに変なお客も来る店だった。ある男の客はは仕事を手伝っていた店の女将の娘に文句をつけていた。流石に、見てられないと思い、口を出そうか迷っていると、娘を隠すようにして、男と娘の間に立った。
「少女に暴言を吐いただけでなく、お店の方々を萎縮させております。お代は結構ですのでどうぞお引き取りください。これ以上居座るようでしたら、お相手いたしますし、警備隊も呼びます。営業妨害で立派な犯罪ですので」
ニナがそう言うと、男はニナに掴み掛かった。流石にまずいと思い、ニナを助けようと動くがそれより早くニナは大男を転がしていた。その日から明るい幼なげな少女というイメージだったニナの印象が変わったタイミングだった。それ以来少しずつニナと話すようになった。
いつ頃だったか、10個も下の女の子に恋愛感情を抱き始めている自分の心に気がついた。聡明で明るく優しく、それでいて強いニナに惹かれない方が無理な話だった。ニナが夢物語にきてから一年半くらい立った時、いつもお世話になっているお礼として、ニナに誕生日プレゼントを渡したら、迎え入れる婚約者と向き合おうと思った。急いで帰れば婚約者の到着にも間に合う計算だった。
あまりいい噂のない子ではあった。政略結婚だし、放置しておけばいいと思ったがニナが『誰だって自分の過ちに気づいて反省するきっかけがあればいつだって変われる。大事なのは本人が気づくこと。でもそれには周りの助けも必要なの。一人じゃ挫けちゃうからね』と話してい他のを思い出した。
婚約者が過去に過ちを犯してようと、私は彼女が自分の過ちに気がつくきっかけになれればいいと思った。
ただ、婚約者の子には先に告げようとも思っていた。申し訳ないが僕は君を愛すことはできないと。愛人は決して作らないと誓う、生活にも困らせない、ということも添えて。不誠実だとはわかっていてもニナへの思いに区切りがつかないから。
ニナの誕生日の翌日、少しそわそわしながら夢物語の扉を開ける。が、いつも聞こえるニナの「あ、ラルさん!いらっしゃい!」という声がなかった。女将さんに話を聞くと、急遽結婚することになり引っ越すことになったと言ってつい先日辞めてしまったらしい。
自分は思ったよりニナに恋していたことを思い知らされた。婚約者の到着に間に合うように、家に帰ろうという気力も起きなかった。
次の日、流石に礼儀を欠いた行動をしてしまっている、と反省し、すぐに屋敷に戻った。嫁いできた女性はニナに名前だけでなく声も似ていた。もしや、ニナなのではないかという淡い期待を抱いてしまうほどに。
だが、震えた彼女の声を聞いてふと我に帰った。18の少女が10個上の28のおじさんと結婚させられたんだ。声が震えるほどに嫌なのだろう、と。生活に不自由がないように、そして、顔も見せない方がいい。それが相手の幸せだと思い込み、僕は王都の家に籠るようになった。
◆◇◆
辺境伯爵に嫁いできてから3年が経った。ラルさんとはあれ以来会っていない。彼はずっと王都の別邸にいるようだ。侯爵に認められていない夫人として、最初は一線引いて関わってきていたメイドや執事たちだったが、仕事を手伝ったり、夢物語で鍛えた腕で料理をふるまったりしたことで少しずつ打ち解けた。まだまだ一人前とは言えないが、辺境伯爵夫人としての仕事も徐々にこなせるようになった。
そんなある日、突然王が崩御し第一王子の即位が決まった。
今までのパーティーはラルさんが一人で出ていたらしかったが、流石に王家主催の即位パーティーには私も参加しないわけにいかなかった。ラルさんからはドレスや装飾品を買う分のお金と『足りなかったら言ってくれ』という手紙が届いた。
ドレスはメイドたちと買いにいった。私よりもメイドの方が気合を入れて選んでいた。試着した時、
「ニーナ様には絶対これが似合います」
「旦那様に今までニーナ様を放っておいたことを後悔させてやりましょう」
「ニーナ様、とっても綺麗です」
そういってくれた時は嬉しかった。
王都に向かう日、予定日より1日早く王都に向かい、領地に寄り道した。お父さんとお母さんに久々に会った。二人は辺境伯の話を聞きたかったが、のらりくらりとかわした。二人に今の状況を話したら、絶対にひと騒動起きると思ったからだ。
簡素なワンピースで夢物語へと向かった。訪問する時間は、開店直後の比較的忙しくない時間にした。
からん、と、懐かしいベルを鳴らして入ると、女将さんが
「あらぁ!ニナちゃん、元気してた?ほら入って入って」
と、変わらぬ笑顔で迎えてくれた。そして通されたのはいつもラルさんが座っていた席の隣の席だった。
「ラルさんは元気ですか?」
女将さんに聞くと、
「変わらず7のつく日には来るんだけどね、いつも、すごい疲れ顔よ」
どうしたのかしらねぇ、と女将さんが呟いた。私は、そうですか、としか言えなかった。愛人と幸せに暮らしているのではないのか、と、疑問を持った。その疑問を深く考える前に、私の意識は現実世界へと引き戻された。
「ニナちゃん、見てみて」
と女将さんの娘が話しかけてきた。久々の再会で嬉しくなってしまい楽しく会話をしていると、時計が2時20分を回っていた。夢物語は2時半で夜の仕込みのために一旦店を閉じる。娘ちゃんも片付けの手伝いに行ってくると言っているし、そろそろ迷惑になると思い引き上げようと、からん、と閉店間際に入店の音が鳴った。
女将さんたちが片付けに忙しそうなので、代わりにラストオーダーが終わってしまっていることを伝えようと思い入口の方を見るとそこに立っていたのは。
「ラルさん…?」
「ニナ…?」
最後に見た時よりも随分と疲れた顔をしたラルさんだった。今日は7日だった。もしかしたら、ラルさんに会えるかもと淡い希望を抱いていたのも事実で、もし会えたら何を言おうかとたくさん考えた。でも、口から出た言葉は自分が言おうと思っていた言葉でも口調でもなかった。
「ラルさん、無理しすぎなんじゃありませんか?なんで、なんで、そんなにもボロボロになるまで仕事をしているんですか?王都で愛している方と幸せに暮らしているのではないのですか?」
まるで、ラルさんを責めているみたいになってしまった。なんなら、涙目になってしまった。あぁ、きっとこのまま泣いたら優しい彼を困らせてしまう。そう思うのに、涙は止まってくれなかった。
「ニナ、何を言っているんだ?私には妻がいる。愛人なんて作らないよ」
ラル様が、慌てたように私にハンカチを差し出しながらいう。
「じゃぁ、なんで、なんで私は三年間もほったらかしなんですか?」
ラルさんはキョトンとした顔をした。私の中で何かが切れる音がして、そのまま捲し立ててしまった。
「ラルさんが、ラルさんが大好きだったけど、昔から悪いことばっかしてたから、政治的な価値として辺境伯爵に嫁ぐことが決まって、ラルさんを諦めようと思って。でも、相手が、ラルさんで嬉しくて、なんて言えばいいかわからなくて、声が震えちゃって、でもそのまま、ラルさんは愛する人がいるからって出ていっちゃって、王都に篭りっぱなしで、辺境伯邸には寄り付かなくて。それがラルさんの幸せならと思って私は三年間、ずっと、ずっと悲しいけど我慢してたのに、なのに、なんで、ラルさんは幸せそうじゃないんですか?なんで私は三年間も放置されているんですか?」
ラルさんは、戸惑ったような顔をしながら、震えた声で
「ニナはニーナなのかい?」
と聞いてきた。私は泣きながら頷いた。ラルさんは、目を大きく開いたかと思うと、私を抱きしめて
「ごめん、ごめんニナ、ごめん」
と何度も謝った。泣き止んだ私は、女将さんに、夜の部の開店の17:00までには必ず店を出るし煩いかもしれないが、それ以外迷惑はかけないから、少しの間、店のカウンターを貸して欲しいと頼んだ。
そかて、なぜラルさんが私が屋敷に着いた時にあんな対応をしたのか話を聞いた。
私が結婚したと報告を受けショックだったこと、私の挨拶の声が震えていたため、この婚約を望んでないものと思いお互い顔を合わせない方がいいと思ったこと、何もしないと私のことを思い出してしまい悲しくなるから仕事に没頭していたことなどを話してくれた。
「ごめんね。かっこ悪い大人で」
最後にラルさんは心底申し訳なさそうな顔で、必死に涙を堪えながらそう言った。
本来怒らなければいけないのだろう。でも、怒りよりもラルさんの話を聞いて自分が愛されていたことの嬉しさが勝ってしまった。
「ニナ、いや、ニーナ、遅くなってしまったが、私とちゃんと夫婦になってくれないだろうか」
嬉しかった。我ながらちょろいなとも思ったけれど、結局どれだけラルさんを忘れようとしても忘れられなかった。どれだけ憎もうとしても憎めなかった。もうその時点で私の気持ちの答えは出ていた。
「私でいいの?」
「ニーナがいい」
「あらためて、これからよろしくお願いします。ラルさん」
話が落ち着いたタイミングで女将さんが出てきて、
「話を聞いた感じ、ラルさんが9悪いわね。ニナちゃんに落ち度があるとするならちゃんと話し合いの場を設けようとしなかったことくらいね。でもその勇気を刈り取ったことラルさんだから、結果ラルさんが10悪いわね」
「まぁ、そういうこと言ってやんなよ。男は幾つになっても、恋したら弱くなるんだからよ。ほらよっ、お二人にお祝いの料理だよ」
そう言って旦那さんが出してくれたのは、ラルさんの好きなビーフシチューと私の好きなプリンだった。
「ありがとう、女将さん、旦那さん」
その日のビーフシチューとプリンは一段と美味しかった。
その後、ラルさんと一度私の家に向かった。両親は私とラルさんの仲睦まじい姿を見て安心していた。ラルさんはこの三年間のことを話し謝罪すると言っていたが、私が全力で止めた。
新王の即位式典が終わると、私とラルさんは二人で辺境伯邸に帰り、結婚式も初夜もやり直した。今までの隙間時間を埋めるように二人でたくさんのことをした。
ラルさんの7のつく日の王への近況報告には必ずついて行き、二人で夢物語でいつもの席でご飯を食べた。
◆◇◆
10年後のある月の7日。
かつて男が一人でビーフシチューを食べていた席があった。今その席には幸せそうな四人家族がご飯を食べていた。
この作品を見かけ、最後まで読んでくださりありがとうございました。
またいつかお会いできると嬉しいです!