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第81話 創造の魔石――そして”戦工”の贈り物

読みに来てくださる皆さま、本当にありがとうございます。


今回は、グラントの回です。

「よし。これにするぞ」


目の前にいくつも並べている石ころの中から一つを取り出してグラントが言った。


「へぇ、これが魔石になるのか」


ルノアがグラントの手に持っている石を興味深く覗き込んだ。


「そうじゃ。まずわしがスキルを使って魔素が空っぽな魔石を作る。そうしたらアマト殿に魔素を注ぎ込んでもらう手順じゃ」


グラントがアマトに顔を向けると、アマトが軽く頷いた。


「では、やるかの」


目の前の石に手をかざし、


「”創造”」


とグラントが唱えると、徐々にその石が光を帯び始めた。


それを見ていたアマトが精神空間でささやく。


『このスキル。俺も持っていたよな』


『あぁ、持っている。”創造”はエクストラスキルだ』


ゼルヴァスが答えた。


『このスキルは、材料さえあればあらゆるものを自分の意のままに作成できる』


『そうか。なら攻撃性はなさそうだから俺が使ってみてもいいんじゃないか?』


アマトが何気なく言って、他に転がっている石の方へ手をかざした。


『ま、待てぇぇっ!』


焦った表情のゼルヴァスの大声が精神空間で木霊する。


『お前は攻撃性のないノーマルスキルで俺様の結界を破ったんだぞ!お前がこの”創造”を使ったら何が起こるか――想像もしたくないわっ!!』


アマトは手をかざしたまま返事をしない。


それが恐ろしくてゼルヴァスが続けて叫びたてた。


『創造は破壊からって言うやつもいるからな!お前の場合、全てを破壊して異世界を再構築するぐらいのことをやりかねない!!』


そこへ――


『あら。それじゃぁ、私みたいじゃない?』


ティアマトがぱちんと手を合わせて目を丸くした。


『お前は何を言っているっ!』


ゼルヴァスがギョッとして睨みつけるが、ティアマトはお構いなしだ。


『だって、この世界もアマトちゃんの元の世界も、他の世界もぜーんぶ、私がつくったのよ!すごいでしょ?えっへん♪』


ティアマトがとんでもないことをあっけらかんと話す。


『『!?』』


しばらくの沈黙――次の瞬間、


『な、なんだとぉぉぉっ!』


ゼルヴァスの絶叫が、精神空間を裂くように爆発した。


『あら?なんで、いまさら驚くのよ。だって、私、原初の女神よ。うふ♪』


ティアマトがものすごく得意げだ。


ゼルヴァスは、ワナワナしてそれ以上話ができないようである。


『ティアマトが世界を作った?となると、俺が”創造”を発動させて異世界を作ったらティアマトと同じかぁ……それは、いやだな』


アマトは一人呟くと、掲げていた手を下ろした。


『ん!?』


ティアマトは、アマトのその行動を見てひとり不思議がったのであった。




現実空間では、グラントのスキルが静かに続いていた――




光をまとった石は、やがて脈打つように点滅し、最後に強烈な輝きを放つと、その場にクリスタルのような透明な結晶が姿を現した。


その瞬間――。


ゴクリッ。


ルノアとエメルダが唾を飲み込む音が、小さく響いた。


「よし、器は完成じゃ。アマト殿、魔素の注入をお願いしたい」


グラントがアマトを見て言った。


「うむ」


アマトが短く頷き、結晶へ手をかざす。


掌から放たれた魔素は淡い青の光粒となり、静かな流れとなって結晶へ吸い込まれていく。


その光景を“正しく認識できていた”のは、オーラの色や状態を見ることができるミィナだけであった。


やがて、結晶全体が、澄んだ青色の透明結晶へと変化していった。


グラントは、真剣に結晶の様子を伺っていた。


結晶の魔素が飽和するタイミングを推し量ろうとしていたのである。


そんな時――


「アマト様……もういいみたいです。結晶の周りに青いオーラが溢れ始めました」


ミィナがそっとささやいた。


ミィナには、目の前の結晶がもう魔素を吸い込まないことをはっきりとわかったのである。


その声に驚いた様子のグラントが彼女の顔を見た。


アマトは、


「そうか。わかった」


と答えて、手を下ろした。


そのやり取りを見たグラントが、感心したように唸る。


「ほう……これは大したもんじゃ。ミィナ殿は魔素の色がはっきりと見えるのか?」


「はい。ついこの間から見えるようになってしまいました」


と、ミィナが少し恥ずかし気に答えた。


「すごいだろ?グラント!」

「世界広しと言えど、こんな芸当ができるのは我らがミィナだけだ!」


なぜか得意がるルノアとエメルダ。


そしてリーファも耳がピクピク動いている。


ミィナは戸惑いながらも、どこか嬉しそうに微笑んだ。


グラントが優しく微笑み返すと、目の前にある出来上がったばかりの魔石を手に取り、空にかざしてまじまじと見つめまわした。


しばらくすると安堵の表情でグラントが呟く。


「うむ、今のわしにしては上出来じゃろ……完成じゃ」


そして、グラントがアマトに振り向き、


「アマト殿。助かりましたわい。本当にありがとう」


と深々と頭を下げたのだった。


その様子を、一同は温かい笑みで見守っていたが――


「ここまでしてもらって言うのもあれなんじゃが……」


グラントがぽりぽりと頬をかきながら続けた。


「もう少し、わしに付き合って魔素を頂けないかのぉ」


彼の声には、遠慮と甘えが半々に混ざっていた。


「構わんが……何をしたい?」


アマトが素朴に問い返す。


するとグラントは、少し気恥ずかしそうに頭を掻くと、


「いやぁ、お礼と言っては何なんじゃが……あんたらにアイテムを作りたいと思ってのぉ。実はもう、材料は揃えておいた」


と、少し離れた場所にある鉱石らしきものを指さした。


「わしにできることと言えば、これぐらいじゃがな」


その言い方には、照れと真心がしっかり滲んでいた。


それに即座に反応したのは――当然、いつもの二人である。


「まじかっ!それ、最高だな!!」

「”戦工”のグラント作のアイテムだぞ!?やべぇだろ!!」


二人はもう有頂天である。


その反応をミィナは、思わず笑顔になって見つめた。


「それは助かるぞ」


ルダルもグラントに歩み寄り、その腕を軽くポンポンと叩いてねぎらう。


アマトも


「なら頼む」


と穏やかに微笑んだ。


その笑みを受けて、グラントの顔にもふっと誇らしげな色が灯る。


仲間たちの間に、温かい空気が流れた――


そして、それぞれの胸に“次への期待”が静かに膨らんでいくのだった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

魔石が出来上がりました。これで、リーファとグラントはエルシアの森とドルムの里へ戻れそうですね。

まぁ、戻ったら戻ったで本章最後の事件が待ち構えているわけですが……。

もっともその前に、エアデランの記憶はどうなるのでしょうか?

このあたりが、本章のクライマックスになります。

今後をお楽しみに。


追伸

とにかく、今年中に本章を終わらしたい・・・。更新ペースを若干上げます。

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