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第45話 キキ

すみません。

予約投稿が12:30になっていました!

すぐに投稿します。


会話が出来なくとも問題はない!

キキがそれを証明します。

ーーーエリシャンテの視点ですーーー

診療所が増築されて、病院になるそうですぅ。

エリが病院の院長になれ、とのお達しが先ほど来ましたぁ。

本当にエリなんかが出来るのでしょうか?

それに、この方が副院長、ですか?

「キュイ」

つぶらな瞳で見返して来ますぅ。

「キキさん、よろしくお願いいたしますねぇ」

「キュオ」

会話が出来なくとも、理性があるから意思の疎通は出来る、とのことでしたが、こういうことですか。


「エリシャンテさん、急患だ!」

診療所内が一気に騒がしくなりました。

狩猟チームの方々が、3人のケガ人を担ぎ込んできました。

魔猪デビルボアに背後から突っ込まれたんだ」

重傷者が3名、軽傷者が2名ですか。

鹿を獲物と捉え、狙っている最中に背後から魔猪デビルボアに突撃された、と。


「その魔猪デビルボアを放置しては危険だと、ナターシャさんが手近な者を連れ、森に入って行ったんだ」

まあ。

余計なケガ人を増やさないようにして欲しいわぁ。

森の守り人と謳われるエルフ最高の狩人らしいから、下手を打つこと無いんでしょうけれど。


「重傷者を大部屋へ運んでくださいぃ。

そこのベッドに寝かせて。

軽傷者の方々もそちらへ。

補助の方も治療の準備をしてくださいねぇ」

ここには、診療補助の人が3名勤めています。

その方々への指示も出します。

「キキさんも行きましょう」

「キュオ」

一緒に大部屋に向かいます。


「軽傷者の方々は、長イスに座ってお待ちくださいなぁ」

まず、重傷者から診ます。

一人は左腕を骨折だけみたいですねぇ。

もう一人は胸を押さえて苦しそうですぅ。けれど、呼吸はしっかりしている様子。

内臓を痛めてなければ良いんですが。

最後の一人は、右腕が今にも千切れそうです! 最も重傷なのはこの方ですね。

「キキさん、この方の治療をお願いします」

「キュイキュイキュオ」

え~と、この場合、なんと解釈したら良いのかしら?


すると、二人の鎌鼬かまいたちさんとスライムの集団がやって来ました。

え? キキさん、鎌鼬さんだけじゃなく、スライムにも指示出せるの?


「補助の方々、急いで浄化水で負傷箇所を洗浄してください!」

「キュイキュオキュイ」

キキさんがまた指示を出しているようですぅ。

洗浄が終わるまで待て、かしら?

ここには、ジロー様が自ら浄化してくださった汚れなき浄化水が豊富に設置されています。

ありがたいことですぅ。


右腕のケガ人はキキさんに任せ、エリは胸を押さえている患者さんの治療に当たります。

鎌鼬さんがお一人、こちらについてくださるようですね。

まずは触診します。

ああ、やっぱり胸骨が骨折しています。それに範囲が広い。

ただ、折れた骨が内側に向かわず、単純骨折で済んだことに少し安堵しましたぁ。

それでも、触診だけで十ヵ所以上の骨折があります。

一度、鎌鼬さんに頷き、治癒を開始します。


エリは手をかざして治癒術を施しますが、鎌鼬さんはただ見つめるだけ。

ただし、その目が妖しく光っていましたが。


だんだんと患者さんの呼吸が落ち着いて来ました。

隣の左腕骨折の患者さんの方を窺うと、もう一人の鎌鼬さんとスライムさんが3人、治療に当たってくれているようでした。

軽傷者の方々の方は、スライムさん達が群がっていて、正確なスライムさんの人数がわかりません。


そして、問題の右腕のケガ人の方を見て、驚きました。

千切れた箇所から、筋肉繊維が自ら伸びて来て、お互いがくっつき合っていました!

こんな治癒術見たことありません。

切断された手足をも治療してみせると、豪語することはあります。


しばらくして、左腕骨折の治療をしていた鎌鼬さんが、キキさんに何か報告していました。

「キュキュキュイ、キュオキュオ」

「キュキュオ」

キキさんは短く返します。

そして、エリの隣の鎌鼬さんも同じやり取りをしました。

あ、治療終了の報告なのかしら?

患者さんを見ると、呼吸が安定しています。


キキさんの治療も終盤、ちょっと面白い光景が見られました。

キキさんが、そばにいるスライムさんに何か指示を出したと思ったら、スライムさんが浄水を飲み込み、負傷箇所にかけて行きました。

そして、スライムさんが負傷箇所をくるむ。

それを5度繰り返して、スライムさんが負傷箇所から離れると、腕がすっかりくっつき、皮膚も薄いピンク色に覆われていました。

患者さん達は、しばらくの安静の後、全員帰宅されました。


キキさんの治療行為は、衝撃の連続でした。

もう院長はキキさんで良いのでは?

後でジロー様に、患者に説明するのは誰? 診療補助に指示するのは誰なの? と詰め寄られて、降参致しましたぁ。


その日の夕方に、大きな魔猪デビルボアが狩猟チームに引きずられて来ました。

ナターシャさんが魔猪デビルボアの上に立って、称賛を浴びていました。

やりますねぇ。

フィールドは違いますが、エリも負けてられません。

こちらには、鎌鼬さん達とスライムさん達という強力な味方の方々がついていますからぁ。

キキの参入に一番喜んだのはエリシャンテかもしれませんね。

それにしても、ナターシャの狩人振りが凄まじい。

いずれ、狩りの様子が見られるかもしれません。

かな~り先のお話ですが。

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