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第246話 真神大戦 決着

 無事に現在に帰ってこれた真神まがみ八咫烏やたがらす

 そして、各々の因縁の場所へ跳んだ。

ーーー 三人称です ーーー


 大樹の東にある湖。その北部。

 その畔に転移で出現した真神まがみ

 そこは、鹿の群れの前であった。


 ピーッ。ピャッ、ピャッ。

 鹿達が驚き、一斉に警戒音で鳴き出す。

「フフフ。

鹿の群れの真ん前とは。主殿も粋なことを為さる」

 ウオォーン。

 真神まがみも一声上げる。

 その吠え声を聞いてか、一頭の巨大な鹿が、いや魔鹿(デビルディア)が現れた。

 以前、真神まがみを追い詰めた片目に傷痕が残る魔鹿(デビルディア)だ。


「おのれ、マガミ。

今日は逃がさんぞ」

「ククク。

逃げるのが得意なのは貴様の方だろう?

懐かしいな。

その目の傷は、まだ痛むのか?」

 鼻で笑う真神まがみ

「許さん!」

 ピヤァーアアッ。

 巨躯の魔鹿(デビルディア)が一声吠え、元から巨体だった身体がさらに大きくなる。

「あれから数百年……いや、数千年も経てば、それぐらいの能力を身に付けるか」


 そう、真神まがみが指摘した通り、この魔鹿(デビルディア)は、過去の大樹を襲ってきた最初の三体の魔物の一体だ。

 その時に、魔鹿(デビルディア)の片目に傷をつけたのが真神まがみ

 真神まがみに散々痛め付けられ、泣きながら命乞いをした魔鹿(デビルディア)だ。

 あれから数千年。最初の数百年は恐怖に打ち震えていたが、年を経るごとに真神まがみに対する恨みが募り、傷はとうに癒えているのに幻痛に苛まれた。

 復讐を誓ったものの、力が及ばない。

 そこで、自らの強化に勤しみ、さらに群れを形成していったのだ。


「もはや、見逃すことはせぬぞ。

良いのか?」

「マガミよ。

貴様は確かに強い。

おそらく、地上最強に近いのだろう。

だが、ワタシは己を強化し、群れという力を身に付けた。

貴様を倒す為にだ」

「よかろう。

我の力を存分に味わうが良い」


 片目傷の魔鹿(デビルディア)が前方に角を突き出し、前のめりの姿勢を取る。

 群れの中から、進化した魔鹿(デビルディア)達がワラワラと前に出てくる。


「今回は、少しだけ本気を見せてやろう」

 そう話した真神まがみの姿がそこには無かった。

 ボンッ。

 一体の魔鹿(デビルディア)の身体が弾け飛んだ。

 ボンッ、ボンッ、ボシュッ!

 群れの鹿達が次々と爆発していく。


「な、なんだ?

何が起こっている!?」

 鹿の群れは恐怖に包まれていた。

 さっきまで一緒に居たはずの仲間がいきなり爆発していき、その血のシャワーを浴びせられたのだ。

 ピーッ、ピーッ。

 鹿達は泣き叫び、群れは大混乱。

 しかし、よく見てみれば、身体が弾け飛んでいるのは進化した魔鹿(デビルディア)ばかり。

 クリムト帝国軍のオーガ達と戦った時と違い、真神まがみも成長しているようだ。


 片目傷の魔鹿(デビルディア)の目の前に瞬時に現れる真神まがみ

「これで貴様の取り巻きは全て片付けた」

 真神まがみの口角が上がり、ニヤリと笑う。

 真神まがみは、数百頭は居るであろう鹿の群れの中から、進化した魔鹿(デビルディア)のみを討伐していった。その数、53頭。

 瞬く間の出来事であった。


「おのれっ、おのれっ!」

 片目傷の魔鹿(デビルディア)真神まがみに突進して行く。

 だが、真神まがみにたどり着く前に地面に叩き伏せられてしまう。

「な、なんだ!?

ぐっ、頭が割れるように……痛い」

 ウオン。ウオォン。

 いつの間にか、真神まがみの左右に数頭の大きな狼達が、片目傷の魔鹿(デビルディア)に向かって吠えていた。

 真神まがみの眷属狼達だ。

 そして、眷属狼の新たな権能、衝撃波を繰り出している。

 この衝撃波は身体の内部に影響を与えるのだ。


「我にも群れがあってな。

貴様には彼らで十分であろう。

我自らが動くこともあるまい」

「くおおっ!

マガミッ!」

「あの世で、我に刃向かったことを悔いるが良い」

 さらにつどった眷属狼達に、四つ足を噛みつかれて身動きが出来ぬまま喉を食い破られ、沈黙した片目傷の魔鹿(デビルディア)

 彼が二度と立ち上がることはなかった。


◇◆◇


「良いなぁ、真神まがみのヤツ。

敵の真ん前に送ってもらって。

ボクはこれから探さなきゃだし」

 大樹の遥か西の海上に次郎の転移で現れた八咫烏やたがらすは、後方を振り返り、その超視力で鹿の群れと対峙する真神まがみを確認して呟く。


「でも、あるじの話だと水竜は貪欲で、翼竜をよく食べてるらしいから、ボクが囮でゆっくり飛べば、食らい付いて来ると思うんだよね。

それにアイツ、でっかいからこの辺に縄張りを持ったヌシだと思う」

 この世界の住民が水竜と呼ぶソレは、地球で言うところのモササウルスに非常に似ている。

 白亜紀最強の頂点捕食者である。

 また、モササウルスは恐竜ではなく、肉食の海棲爬虫類である。

 ただし、地球のモササウルスの全長は12~18メートルほどだが、この世界の水竜は20~30メートルにも達する。


「あ、翼竜達が居た。

彼らと一緒に飛んでいれば来るかな?」

 八咫烏やたがらすの前方に十頭ほどのプテラノドンが飛んでおり、魚の群れを補食していた。

 ザバッ。

 水竜が海上から飛び上がり、一頭のプテラノドンをそのあぎとに捕らえる。

「あっ、もう出た!

このまま突っ込んじゃおう」

 水竜を認めた八咫烏やたがらすは、瞬時に神速に達する。

 キイィィーン。

 そして、水竜が獲物を咥えたまま海中に戻る前に、その腹に突っ込んでいく。

 ドバンッ。

 水竜の腹に大きな穴が空いた。

 水竜の背中から内臓が飛び出し、その中に心臓など重要な器官も含まれていたのか、水竜はすぐさま事切れた。

 ザバンッ。

 全長30メートルもの巨体が海上に落下し、大波を立てる。

 翼竜達は散り散りに飛び去っていった。


「大樹よ。見てた?」

(うん。

ヤッちゃん、すご~い!

……やっぱり私の早とちりだったみたい。

ごめんなさい)

「わかればよろしい」

(でも、まーくんとヤッちゃん、どっちが強いんだろうね?)

「ん~……たぶん、数百年経っても決着がつかないと思う」

(二人ともものすごく速いしね)

「地上最速なのは、真神まがみ

空中最速はボク。

水中だと弁天。

それぞれ活躍する場所が違うからね」

(よくわかった。

みんな最強なんだね)

「うふふ。

みんなが最強かぁ。

そうなんだと思う」


「さて、クリムト帝国軍の動向を探らなきゃ」

 八咫烏やたがらすは、まずはクリムト帝国の首都を目指し、南東へ向かうこととした。



~~~ 余談 ~~~


 真神まがみと片目傷の魔鹿(デビルディア)の争いに決着がついた後。


真神まがみ殿、よくぞ無事で」

 上空から真神まがみの下へ烏天狗からすてんぐが舞い降りる。

烏天狗からすてんぐか。

そう言えば、オヌシ達がこの鹿の群れを見張っていたのだったな。

ご苦労だった。

もはや危険は無いであろう」

「見ておりましたぞ、貴殿の秘術。

いやさ、目では捉えきれぬものであるな」

「フフフ。秘術故にな」

「しかし……」

「うん、どうしたと言うのだ?」

「いや、ドワーフ達がなんと言うか……。

希少な進化した魔鹿(まじか)がバラバラで御座るからなぁ」

「あっ! しまった。

やってしまった……」

「辛うじて群れのボスの身体がまるごと残ったのが救いで御座るが……」


 後程、進化した魔鹿(デビルディア)の遺体は、連絡を受けた雲外鏡うんがいきょうによってドワーフ工房に持ち込まれたが、概ね歓迎された。

 一部のドワーフからは、「貴重な革が! 肉が!」と言われたものの、魔石は全て回収出来たことと、巨体のボスは全身まるごと入手出来たことに、リーダーのドアンから感謝された。


 ちなみに、八咫烏やたがらすに葬られた水竜は、八咫烏やたがらすに念話でお願いされた次郎が転移で回収。

 全長30メートルを超える大物に、ドワーフ達は歓喜に包まれていた。

 こういうところがきっちりしている八咫烏やたがらすは、ちゃっかり屋さん。

 魔獣を圧倒する二人。やはり、大妖は違う!

 鹿の鳴き声も徹底的に調べましたが、文字に起こすと結構あっさり目になっちゃいました。

 モササウルスの方は、鳴き声の研究発表は未だされておりません。

 わりと近そうな種のワニは鳴きますが、モササウルスは完全に海洋生物に適応してしまっており、外耳がありません。外耳が無いのに鳴くのか?

 それは今はまだわかっていないのです。

 外耳の代わりに振動を検知する機能があったようです。


 さて、次話は、大樹の森の都へお話が戻ります。

 行政庁職員であり、赤提灯の店の常連客のカイ・エフェクト君に新たな辞令が下りるようです。

 お楽しみに。

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