第20話 ナイフ投げ
高校の時、同じクラスの出席番号が一個前の同級生の名前が主人公と同姓同名ですが、何ら関係はございません(笑)。
いや、ホント、何一つ一致するところは無いし、ただ「日本男児」らしい、でも「どこかに居そうで実際は居ない」名前にしたら、偶然一致しちゃった。
元気かなあ?
皆さん、こんにちわ。
みんなのアイドル、次郎ですよ。
あれから一週間、布団から抜け出せなかった次郎です。
でも、ご心配なく。
すっかり元気を取り戻し、ラジオ体操やってます。
独りチャンチャラ体操してると、朝食を持ってきたリントが「儀式の舞いですか?」と。
なんてことを抜かすリントの首根っこを捕まえ、強制的にラジオ体操を教える。
それはもう第1から第2まできっちりと。
これから毎日一緒にやらせるからな。
朝食後、散歩がてら射的場に向かうと、ナターシャやハヤテ、それに子供達がいた。
「ハヤテがいるなんて珍しいね」
「おう。ジロー様。
いやあ、オーク戦で近接だけだと苦しい思いをしたからな。
それじゃイカンと、エルフの子供達にナイフ投げを教えてもらってんだ」
それは良い向上心だね。見習わないと。
「上達しそう?」
「3回に2回は当たってるんだけど、先生達が厳しくてよ。まだまだだって」
え!?的から25メートルぐらい離れてるよ、ここ。それは命中率良いと思う。
「そ、それは厳しいね」
「だろ?」
「こんな距離なら、全部当てないとダメだよー」
さ、さすが、森の狩猟民族。
「ジロー様もやろう?」
「わぁ~、ジロー様もナイフ投げ、やるの~?」
「あたしが教えてあげる!」
「ボクが教えるよー」
「あたしもあたしも教えてあげる!」
捕まった!狩猟民族に捕まってしまいました。
どんなスパルタかと思っていたら、意外と普通に教えてくれた。
まずはナイフの持ち方から投げ方の基本を実演交えて教えてくれる。
僕が投げる時はまず的から1.5メートルの距離から。
次に3メートルの距離。その次に4.5メートルと、だいたい大人が手を広げた幅ごとに離していくとのこと。
ナイフ3本全てが当たったら次の距離に、を繰り返していく。
それも両手。
エルフが幼い内からこんな修練を重ねてたら、そりゃ弓の名手の集団になるわな。
しかも、同時に魔法もこなすんでしょ?
まだ見ぬ種族もいるけど、森の中では最強の一角とも言われるのもわかる。
的当てには獣人の子供達も加わっている。
こちらはナイフ投げではなく、投石のようだ。
同じようにエルフの子供達が教えている。
獣人は力が強く遠当てが出来そうだ。
まだまだコントロールが定まらないようだが。
中距離の獣人の子供達の投石が見ていて面白い。
飛んだり跳ねたり、ゴロゴロ転がって投石するのは、曲芸師みたいだ。
振り返っての一投はガンマンの早打ちみたいでカッコいい。
「ジロー様にはまだ早いよー。ちゃんと当てなきゃ」
はい。まだ僕はようやく9メートルに到達出来たばかりですからね。
ホント、厳しい先生達だ。
「あら、ジロー様いらしてたんですね。おはようございます」
弓の鍛練を終えたのか、ナターシャがやって来た。
「やあ、おはよう。ナターシャ」
ニコッと微笑むエルフ美人。
すると、女の子達が僕とナターシャの間に立ちふさがる。
「これ以上、近づいちゃダメ!」
「な、何?どうしたのよ?」
「ナターシャ様、ジロー様に何か言うつもりでしょ!ダメよ、そんなの!」
ワチャワチャしている女性陣にビックリしていると、後ろから男の子達が「こっち、こっち」とジェスチャーで送って来る。
スススッと忍び足で男の子達の方へ寄っていく。
「ジロー様、ここは逃げの一手だよ」
「出来るだけ物音立てないで、素早くね」
みんなしてコソコソとアドバイスを投げ掛けてくれる。
うん。なんかわかんないけど、ここは言う通りにしよう。
ナイフ投げはまた今度。アディオス。
屋敷に戻ってみると、タマモがヒルコを抱き上げてあやしているようだ。
「おや、ジロー様。お帰りなさいまし」
「ただいま」
「今、お茶をお入れいたします」
「いいよいいよ。手が塞がってるじゃん」
「大丈夫でありんす」
そう言うと、タマモは人化したまま尻尾だけ生やす。
その大量の尻尾でヒルコを抱き上げ、空いた手でお茶を淹れ始める。
器用なことするなぁ。
テーブルに着いて待っていると、ほどなくお茶を出してくれる。
緑茶モドキだ。
拠点のほど近いところに群生地をアヤメが発見してくれた。
今は畑に植え替えて、一部茶畑になっている。
お茶がおいしい。それに落ち着くしね。
「ヒルコはミルク?」
「何でも食べられるようですが、ミルクが好みのようでありんすね」
「へぇ~。何でも食べられるんだ」
「ええ。それこそ、木や石、鉄でも何でもかんでも、ですねぇ」
おっと、危うくお茶を吹き出すところだった。
「こちらの世界のスライムなるものがそういう摂取の仕方をすると聞いてアヤメが……」
「そ、それは大丈夫なの?
屋敷も食べちゃわない?」
「いえ、こちらが「食べて良し」と言わない限りそのようなことは無いでありんす」
ヒルコは賢いもんね~と頬ずりするタマモ。
「ミルクかぁ。ミルクねぇ……」
「どうしたでありんすか?」
「いやぁ、出来れば牛も飼いたいなって」
「それは良うございますね。
南の草原にチラホラいたではありんせんか」
ああ、あの狂暴なヤツ。
「でも、また人手不足の問題が……」
「そのうち、また避難民が来るでありんすよ、きっと」
と、コロコロ笑うタマモ。
(あるじ……あるじ……またヒト)
タイミング良く八咫烏から伝達が来た。
思わず立ち上がり、
「タマモ!よくフラグを立ててくれた!」
タマモを労う。
「は、はぁ……?」
(ヤタ。人数と場所をお願い)
(草原……やや東…………よんじゅう……はち人……その後ろ……はちじゅう…に匹)
ここから南東100km地点、48人ね。
魔物の群れに追われているようだ。
(ヤタ、魔物を牽制出来る?
僕らもすぐ向かうから。
危なくなったら逃げて良いからね)
(問題無い...…大丈夫)
「サトちゃん、至急ここにみんなを集めて!」
『かしこまりました。ただちに』
まず八岐大蛇が手乗り龍サイズで文字通り飛んできた。
え!?君、飛べるの?
衝撃の事実で驚きに囚われている内に、全員が揃った。
ナターシャやハヤテ、ドランもいる。
「全員揃いましてございます」
前鬼が代表して言う。
「みんな、ご苦労様。
新たな避難民が出た。しかも、魔物の群れに襲われている」
皆に緊張が走る。
「そこで、救助に向かうことにする」
「いきましょう」「腕がなるぜ」「うむ、力を貸すぞい」
ナターシャやハヤテ、ドアンの賛同も得られた。
『避難民は48人。追う魔物は82匹。距離は拠点から南東方向に100km』
サトリがみんなに要点を簡潔に伝えてくれる。
「配置はどのようにいたしましょうか?」
前鬼の問いに、
「うん。まずは魔物を排除したい。
今はヤタが牽制してくれてるけど、数が多い。
この中で足が速いのは……」
「私と真神でしょうな」
前鬼が再び応える。
「よしっ。二人はすぐに向かって」
「「御意」」
前鬼と真神は颯爽と立ち去る。
「ナターシャ、ハヤテ、ドアン。
君たちには避難民の対応をしてもらいたい。同行出来るか?」
「喜んで」「良いぜ」「構わんぞい」
そして八岐大蛇に向き合う。
「八岐大蛇、君は元の大きさでも飛べる?」
「龍ならば当然のこと」
そうなんだ。僕は今知ったところなんだけどね。
「なら、避難民のところまで僕らを乗せて欲しい」
「御意」
「あとは……」
「私は住民達と受け入れの準備を致しましょう」
「あちきはヒルコの面倒がありんすので、後鬼の手伝いを致したいと存じます」
「にゃら、あたしもヒルコの面倒見るにゃ」
二人のママがいてヒルコは幸せだね。
『では、参りましょう』
サトリの言葉に皆が動き出す。
余談
その後の射的場にて。
「みんなしてどうしたのよ」
「ナターシャ様はジロー様に近づいちゃダメなの!」
「愛をささやくつもりなんだわ!」
「な、な、な、なにを言ってるの!?」
「あー、ごまかすんだー。あたし知ってるんだからね」
「ジロー様のお嫁さん宣言!」
「は、はうぅ……」
ナターシャの頬が真っ赤だ。
「あたしがジロー様のお嫁さんになるんだから、近寄っちゃダメ!」
「えー、あたしがお嫁さんになるよー」
獣人の女の子も参入してきた。
集中攻撃を受けてたはずのナターシャから分散した瞬間だった。
若いって良いな、と大樹は思った。
ナイフ投げとかカッコいいですよね。
でも、実際にやるとなると難しそう。
自分は実弾を撃っていましたが、成績は可もなく不可もなし。
ナイフ投げもそんな感じになりそう(苦笑)。
あ、ゲームセンターの射撃はなぜか成績良かった。射撃センスは無いはずなのに、ナゼ?
これも、実弾射撃訓練のおかげなんだろうか?
ところが、




