第14話 オーク戦前編
やっちゃいますか!
やりましょう!
夏が来ましたよ-。
暑いです。はっきり言ってあっついです。
ステータスボードを確認すると35℃。
猛暑日じゃん。
日本ほどジメっとしてないだけ助かってるけど、暑いものは暑い。
ここで活躍してくれてるのが、我らが大樹さん。
拠点全体を覆う木陰が涼しくしてくれる。
梅雨時も、巨大な傘代わりと化し、拠点内はほとんど濡れることもなかった。
大樹さん様々。拝んでおこ。
いや、ここに来た当初から拝んでいるけどね。
前鬼と後鬼が召還されて間もない頃に、大きなしめ縄を拵えて、大樹に巻いてくれた。
この大樹が僕らの神木とされた瞬間だ。
屋敷の隣に祭壇も設けられ、お供え物もしてある。
祭壇のお供え物は二つ。
管理者様と大樹さんに。
浄化されたお水におにぎりが供えられてる。たまにパンになってるけど。
秋になったら収穫したお米で作ったおにぎりを供えよう。
その暑い中、とうとうオークの集団が南の草原にやって来た。
その数2,500ほど。
とは言っても、ここから300kmも離れた地点。
草原に出現した時点で八咫烏の探知に引っ掛かってたけど、総数を把握したかったことと、長距離移動で疲弊してもらうのが目的で放置。
大樹は目標となる良い目印になるので、十中八九こちらを目指すんじゃなかろうかと思ってたら、その通り。
防壁も造ったけど、わざわざそこまで待つこともないと、拠点から200~300kmの地点で接敵しようとみんなと協議済み。
攻撃部隊は、僕ら妖組。
エルフや獣人達も参戦すると息巻いていたが、長距離の移動があるので断った。
妖達も護衛対象がいない方が戦いやすそうだ。
拠点の防衛を彼らに任せ、何かあった時は八咫烏が知らせてくれる手筈だ。
ただ、ナターシャとハヤテが言うことを聞いてくれない。
仲間の仇をと言うハヤテはわかるけど、ナターシャの「ここで泣きますよ」は卑怯だ。
仕方なく、揃って真神の背にまたがることに。
「ナターシャ様、お気をつけて」
「ハヤテ、我らの分まで頑張ってくれ」
「ジロー様、ご武運をお祈りしております」
リントのなんと健気なことでしょう。愛いヤツよの~。
そうしてオーク討伐に出発した僕達だけど、妖達の移動速度が半端ない。
これ、時速何km出てる?
猛スピードで駆け抜ける最中、ハヤテは真神にしがみついてるだけで精一杯の様子。
涙を堪えてるのは内緒にしておいてやろう。
なんせ、僕も目を開けるのがやっとの風圧だ。
ナターシャだけは愉しげにケラケラ笑ってる。恐ろしい娘。
今日はもう1話投稿しますね。
第2章の始まりです。
初の集団戦闘ですね。
どうなる?