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第119話 狩猟大会その5

大樹の森での経験が浅い者達が魔猪デビルボアの子供に手を出してしまった。

子供の悲鳴を聞いた母親が怒り狂って暴走する。

その姿はまさに猪突猛進。

止めることは出来るのか。

ーーー三人称ですーーー


大樹の西の森。


我が子を危険にさらした敵を猛追する魔猪デビルボアとその子供達からなる群れが、森の木々を薙ぎ倒して行く。

それから逃れるべく、必死に木から木へと飛び移るエルフ達。

斯くして、エルフのリーダーは前方に二人の人影を見つける。

背丈ほどもある大剣を肩に担ぐ筋肉質で均整の取れた体格の狼系獣人の男性と、着物を着た黒髪の美女がその隣に寄り添っている。


「そこの二人、危ないぞ!

魔猪デビルボアが群れで来る!」

リーダーが危険を知らせるべく、大声を上げる。

「ったく、ボケがぁ。

おまえらこそ、とっとと逃げろや!」

「本当に無粋なヤカラですこと」

ハヤテと橋姫はしひめ夫妻である。


一際ひときわ巨大な魔猪デビルボアがハヤテ達の50メートル先まで接近。

橋姫はしひめ、行くぞ!」

「はい、旦那様」

ハヤテが駆け出し、橋姫はしひめも地を滑るように、全く遅れずにハヤテの背後からついていく。


最初に動いたのは橋姫はしひめ

橋姫はしひめの両腕が鬼化して、腕だけハヤテの前方に向かう。

パァァァンッ!

突如、その腕が魔猪デビルボアの鼻先で柏手を打つ。

猫だましの炸裂。

魔猪デビルボアはビクッと反応して思わず目を瞑るが、勢いは止まらない。


「よっしゃあ!

おらよ!」

ハヤテがその隙を逃さず、回転斬りを叩き込む。

ゴウゥゥン。

ハヤテの大剣は、斬るというより叩き潰す為の大剣である。

ドワーフの長ドアンが手掛け、純魔石の水晶まで使い魔剣の領域まで達した逸品。


ハヤテの大剣が魔猪デビルボアの鼻先に命中し、鈍い音を響かせるがそれでも止まらない。

そこへ間髪入れず、橋姫はしひめの鬼の腕が魔猪デビルボアの首元から胸元に掛けて掴み、橋姫はしひめが大地に両足で踏ん張る。

その両足もモリモリと膨れ上がり、巨大化していった。


そして、巨大な魔猪デビルボアが完全に止まってしまう。

魔猪デビルボアの勢いが止まるまでに、ハヤテは連続で回転斬りを叩き込んでおり、すでに四撃目を放っていた。

魔猪デビルボアの鼻が割れ、ひしゃげている。


だが、その背後から五頭の魔猪デビルボアの子供達が殺到している。

さすがにハヤテと橋姫はしひめの手が回らない。


その時、その後続の魔猪デビルボア達が一斉に右へ弾け飛び、走る方向がずらされる。

ドドドッドンッ!

ハヤテ達の左手側から大きな土槍が連続で突き出てていた。


「ケッ、呼んでねえよ!」

ハヤテが土の土台に乗ったマフティに向かって悪態をつく。

「そうか?

ピンチに見えたがな」

マフティがニヤリと笑う。


「やっと追いついたぁ!

おっ、敵発見。とぉー!」

遅れて戦場に来たマーリンが、巨大な魔猪デビルボアに強烈な飛び蹴りを喰らわす。

ズズンッ。

母親の魔猪デビルボアは、完全に不意を突かれ、横倒しになる。


「あ、こら!

人の獲物に勝手に手を出すな!」

ハヤテの声が聞こえ、マーリンも現状を把握した。

「あり? そうなの?」

マーリンが魔猪デビルボアの顔を見て、

「ありゃ、鼻が潰れてるじゃん。

あたし、余計なことした?」

ハヤテと橋姫が怒りのポーズを取り、マフティがやれやれと首を振る。


「マーリン、おまえの蹴りはあっちの五匹に使え」

「了解しました、副署長殿!」

マーリンが敬礼して、五頭の魔猪デビルボアに向かって走り出していく。


「ハヤテ、その大物は譲ってやる。

その代わり、あの五頭は貰うからな」

マフティは、土の土台を伸ばしてマーリンの後を追う。

「あ、待て!」

ハヤテが声を掛けるが、橋姫はしひめが制止する。

「旦那様、とどめを刺しておりません。

まずはこの猪を仕留めなければなりませんよ」

「おっと、そうだった。

橋姫はしひめの言う通りだな」

改めて母親の魔猪デビルボアに対峙する二人。


「先を越されたか。

まあ、あいつらなら任せても大丈夫であろう」

出遅れた前鬼ぜんきは、頭をポリポリと掻きながら、くるりと向きを変えて次の青い煙を見上げる。


「それにしても、救援要請が多いな。

狩猟大会そのものに住民は喜んでいたが、やり方を工夫しなければならないな。

結局、次郎が心配していた通りになってしまった」



次郎はこの狩猟大会に当初反対していた。

この森で狩猟していた経験者はともかく、移住して間もない住民にはハードルが高いのでは、と。

それに対して、エルフのクリスチーナや文官長のヤクトが、住民にアンケートを取る為のしばしの猶予を欲した。

アンケートを取ってみると、娯楽を欲していたからか、実に住民の9割以上が狩猟大会の開催に賛同した。

さすがにこの結果に次郎も異を唱えることが出来ず、狩猟大会は開催が決定となった経緯があった。


「次郎も、もう少し独裁者らしく振る舞っても良かろうに。

住民に甘いところは、あいつの長所でもあり短所でもあるな。

その欠点は我々で補うしかあるまい。

愛する我が子の為に」


前鬼ぜんきは、次の青い煙に向かって走り出す。



ハヤテ夫妻とマフティ&マーリンコンビが介入しました。

出遅れた前鬼ぜんきは、彼らに任せるようです。

救援要請はまだまだ多いようですね。


狩猟大会も終盤に差し掛かりました。

この後はどうなる?

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