第100話 簡易チャーハンを作ろう
今回はグルメ話。
もう定番ですね。
作者もよく作ってるヤツです。
お楽しみください。
春がすぐそこまで来ていることを知らせるかのように、小鳥達の囀ずりが耳に心地よい。
前鬼は軍隊の訓練指導に、後鬼は三人娘を連れて倉庫の点検に出掛けていて、今、執務室にいるのは僕とリントの二人のみだ。
住民からの意見書や警察署からの改善案等の処理を進めている。
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「よし、チャーハンを作ろう!」
執務イスから立ち上がり、変身ポーズを取る。
通常のウルトラ○ンとは違う、No.6のタロウの変身ポーズだ。
手のひらを上に向けるのがポイントなのさ。
「チャーハンですか?
あの別名焼き飯とも呼ばれる……」
「そうなのだよ、リント君」
チャーハンはたまに食卓にあがるほど、この都で普及したが、実は料理としては奥深い。
使われる材料も少なく、調理法も炒めるだけとなっているが、その実、料理人の腕が問われる料理と言っても過言ではない。
本来の材料は、白ごはん、玉子、ネギのみ。
調味料に使うのは、しょうゆ、塩、胡椒。
これだけ。
あとは、強い火力が出せるコンロと一流料理人の腕前が必要だ。
だが、僕はそんなものを欲しないし、出来ない。
よって、邪道とも言える小技を駆使して、誰でも簡単に作れるチャーハンにしたいんだ。
「リント君、君も付き合いたまえ」
「はい。お供致します」
変身ポーズを解き、厨房を目指す。
厨房に着いて、まずは食材の確認だ。
白ごはん、よーし。
玉子、よーし。
ネギ、よーし。
冷蔵庫から、ウィンナーソーセージを入手。
ついでに冷凍庫を覗くと、グリーンピースとニンジンとコーンで構成されたミックスベジタブルを発見。
これも取る。
コンロを見ると、スープを作っているのか、鶏ガラや野菜でダシをとっていた。
あとでこれも使おう。
では、戦闘開始だ。
まず、材料を切り刻まなければならない。
「リント君、みじん切りは出来るかね?」
「はい。それならなんとか」
「よろしい。
では、このネギのみじん切りを命ずる」
「はい。がんばります!」
僕も刻まないといけないので、ここで22歳の姿に変化。
まな板の上にウィンナーソーセージを並べて、細かく刻む。
刻む。刻む。ひたすら刻む。
どうせ、他の者に見つかると作らされるだろうから、材料だけは用意しておく。
僕は学んだのだ。
このチャーハンを選んだのも、僕が食べたいというのもそうだが、裏技を使って簡易チャーハンにするのも、大量に作らされるのを見越しているからなのだ。
しばらく二人で刻みまくって、刻みネギと刻みウィンナー?の山が出来上がったところで一旦終了。
リントにボールと玉子を渡し、シャカシャカの儀を命ずる。溶き卵ね。
もうついでだから、スープも作っちゃう。
といっても、鶏ガラスープの元が出来てるので仕上げだけだけど。
その寸胴鍋から中身を取り出し、空の寸胴鍋に目の細かいザルを被せてから、スープを移す。
残った不純物やアクを取り除くためだ。
さらに目の細かいキッチンペーパーで濾す方法もある。
それをすると、スッキリとした上品な味わいになる。
今日は、トリの油が少し残るコクのあるスープにした。
真神とかは昼食後も狩りに行きそうだもんね。
そのスープを火にかけ、塩胡椒で味を整える。
味見をしてみる。
うん。まあ、こんなもんだろう。
一旦火を止める。
さあ、チャーハンに取りかかろう。
リントに大量にシャカシャカしてもらった溶き卵を小さめのボールに少し移し、そこに白ごはんを投入。
さらにマヨネーズも入れる。
あとは混ぜ混ぜ。
中華鍋にごま油を入れて馴染ませてから火を着ける。
鍋が温まったなと思ったら、刻みネギを投入。
ネギが油に馴染んだと思ったなら、すぐにミックスベジタブルと刻みウィンナーを入れて、かき混ぜる。
こんなのはなんとなーくで良いのよ。
具材に火が通ったなら、混ぜ混ぜごはんを投入。
お玉で潰すというか広げる感じで炒めたら、あおってひっくり返す。
その繰り返し。
ごはんがパラついてきたら、カッコつけに中華鍋をあおる。
いや、ホントはマヨネーズがごはん粒一粒一粒をコーティングしてくれているから、ここまであおる必要はないんだけどね。
塩胡椒をパラリ。
鍋肌にしょうゆを一回し。
このままでも十分いけそうだけど、せっかくあるならと、鶏ガラスープをほんの少し入れる。
二、三回あおったら完成。
僕は中華鍋を振ってお玉にチャーハンをまとめることなんて出来ないから、素直にチャーハンをお玉ですくって、お皿に盛る。
それを二回。
ちょうど、大盛り二人前だ。
スープ鍋を再び温め、乾燥ワカメを入れる。
軽くまあるくかき混ぜてから、渦が消えない内に溶き卵を少しずつ入れていく。
最後の仕上げにごま油を入れる。
これでぐっと中華風スープになる。
卵とワカメの中華風スープを容器に注いでいる時に、厨房の扉を開けた者がいた。
「あー、次郎様がまたにゃんかやってる!」
「え!? 次郎様がでありんすか?」
二人に見つかった!
OK。
これなら手早く作れるさ。
「あら、チャーハンね」
後鬼ママも登場。
ヘイヘイ、三人前追加ね。
リントにスープを注ぐのを指示して、僕は再び中華鍋に向き合う。
「真神達も来るでしょうから、私も手伝うわ。
サトリとアヤメ、タマモは見ておきなさい」
後鬼は材料を見て、これが裏技チャーハンだと一発で見抜き、全て滞りなく作っていった。
僕よりはるかに手際よく、大量に。
「あなたの作ったチャーハンは私に寄越しなさいね」
はい、ママァン。厳しく評価しないでね。
結局、僕の作ったチャーハンの一つは後鬼ママに。
もう一つは、アヤメとタマモが半分ずつ。そして、食べ比べなのか、後鬼の作ったチャーハンも半分ずつ食べていた。
後鬼が僕の作ったチャーハンを一口口にする。
「思ったよりイケルわね。
マヨネーズの旨味が移ってるのかしら」
さすが裏技。
僕の腕前でも落第はしなかったようだ。
僕も一口。
うん。おいしい♪
ガガガッと掻き込んでいたら、チャーハンが空になってから、スープに全く手をつけてないことに気付き、慌てて飲み干す。
あ~、おいしかった。
ごちそうさまでした。
作者が作る時は、粉末の鶏ガラスープの素をほんの少し入れます。
普通の植物油で炒めて、最後に胡麻油を回し入れます。
炭水化物ばかりなので、白菜の浅漬けもモリモリ食べます。
次話もほのぼの話です。
お楽しみに。




