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第1話 神様?【プロローグ】

 読みやすさを意識して執筆してみました。

 異世界で、あやかしと呼ばれる妖怪達が居たら面白いんじゃないか?

 その妖怪達が異世界を楽しんで過ごす、というお話を書いてみたくて始めました。


 お楽しみください。

「さあ、召し上がれ」

 私の背丈よりも遥かに大きな鬼がおにぎりを差し出してくれる。

 見上げてみれば、とても綺麗な人だった。

 女性のようなので、鬼女なのだろう。

 その額にはしっかりと角が、ニッコリ笑った唇の端に鋭い牙も見え隠れする。

 だが、不思議と恐怖は覚えない。

 彼女の隣には、筋骨粒々の男性の鬼が同じく笑顔で迎えてくれる。


 今、何故か大きな狼に股がっていた。

 かなりスピードが出ている。

 その両隣に、これまた大きな猫と狐が並走している。頭上を見上げれば、大きな鳥と龍も付いてきていた。

 そして、みんなは豚の化け物に襲いかかった。


 こんな摩訶不思議な状況でも、少しもおかしいとは思わなかった。

 ………………。

 …………。

 ……。



 チュンチュン、ピピピッピィー……。

 小鳥のさえずりが聞こえる。


 …………。

 うん。モルヒネが効いてるな。

 少し身体が鈍くなるけど、楽になるからね。


 何か楽しい夢を見ていた気がするんだけど……思い出せない。


 なかなか走馬灯が巡って来ないので、自分で半生を思い起こしてみる。


 継母に虐待を受け、泣きながらも耐え抜いた幼少時代。


 上履きが無くなるのは当たり前で、ランドセルが手の届かない電柱の取手に引っ掛けられている毎日を過ごした小学生時代。


 荒れる中学と言われた時代、メンチ切った張っただの言われて日々絡まれ続け、殴り返していた中学時代。


 一転、優等生と評価を受け、自ら勉強に勤しんだ高校時代。


 受験料と授業料がタダと聞いて入校し、自分でも驚いた身体能力でオリンピックを目指せと言われながらも、遊びたいがために断って平穏な日々を過ごせた防大時代。


 任官拒否して民間の中堅商社に入社し、幅広い商材を扱い全国を飛び回った商社マン時代。その土地ならではのうまい料理を味わうのが楽しみだった。


 小さい人間ながらも、やや波乱万丈っぽい人生を過ごしたもんだと思いながら、天井から外の景色に視線を動かす。


 そう、ここは周囲が緑に囲まれたホスピス。末期ガンに冒された者達が過ごす場所。



 振り返ってみて、なかなか面白い人生だったと思う。


 あとは、そうだな……家族というものを味わえなかったことが、残念と言えばそうなのかもしれない。



 そこまで思考した時、プツンという音が聞こえた気がした。



 そして、次に思ったことは、『なんだこれ?』


 疑問が沸き上がる。

 今の今までベッドに寝てたよな?

 木目の壁も無けりゃ天井もベッドも、果ては床すら見当たらない。


 自分も、寝てるのか立ってるのか座ってるのかわからない。


 ただ【自分】を認識出来るだけ。



 ……いや、【自分】以外の存在も感知することが出来た。



「やあ」


 それがそう言った。


 あなたは誰?


「×₩□○¥¥€▲£」


 ああ、それが名前ね。

 自分は、鈴木次郎と申します。

 還暦を迎えたばかりのシニアですね。


 あれ?もう死んでるのかな?

 自分の生死もわからなくなってますね。


「丁寧なことだ。

うむ。君の肉体は死亡を記録している。」


 ああ、やっぱりさっきのプツンっていうのがそのお知らせなんだ。


 ん? 精神と肉体は分離して活動出来るのか。いや、精神の活動と言ってもただ存在するだけだけど。


「魂という呼び方もある」


 では、幽体離脱は存在するんだ。フムフム、勉強になる。


「……くくっ……」


 それが笑った気がした。


「いや、失礼。

死してなお知識欲を示すとは、善き善き」


 はあ、どうも。


「そんな君に一つ提案があるんだが、良いかね?」


 ほほう、伺いましょう。


「うむ。

ある世界に行ってもらいたい。地球とは別の世界で」


 ああ、いわゆる異世界転生ってヤツですか。

 晩年、ラノベを読んで、ややヲタクのレベルまで到達したと自負しております。


 そこで何をすれば?


「特に無い。

強いて言うなら、生活すること、だな」


 んん~と…………生存……生き残るのに厳しいところとか?


「少しな」


 おおぅ……やっぱりなぁ。


「なに、役に立つ加護も与えよう」


 その加護で無双とか出来たり出来なかったり?


「フフッ……さすがに無双?は難しいかもしれないが、生活するには十分良いものだと思う」


 特に使命みたいなものは無く、ただ生き残れ、と。

 それで、あなたにメリットはあるんでしょうか?


「ある。

君は私に感謝するだろう?」


 そりゃしますね。


「それが私のメリットと言える。」


 あなたの……固有名詞は発音出来ないので……神様とお呼びします? それとも管理者様と?


「なかなか柔軟な思考だ。気に入ったよ。

管理者で良い」


 ありがとうございます。

 では、管理者様とお呼びします。


 自分がその異世界で生存すること、管理者様に感謝することで、あなたはメリットを享受し、自分は管理者様の加護を頂け、その加護によって自分が生活するのに助かる、ということですね。



「簡潔で良いまとめだ」


(少々面倒な者も居るが…………まあ、なんとかするであろう)



 それからしばらく管理者様と細々と諸条件をつめ、晴れて転生と相成りました!


 カマァ~ン、異世界よ、アナザーワールドよ♪


 一話目はプロローグです。

 さらっと流します。

 

 少し加筆しました。

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