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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

4公爵7侯爵の王国

このあたくしが婚約破棄ですって!?(ラッキー)

作者: た〜

流行りの「婚約破棄ざまー」に乗っかってみました

「赤侯爵令嬢スカーレット、お前との婚約は破棄とする」

王立学園(アカデミー)の卒業記念パーティーの席上で王太子が宣言した。本来なら二人の婚約が公式に発表される予定だった、その席で、である。


この国において貴族や王族は王立学園の卒業をもって成人と認められるのであらゆる意味で晴れの舞台をぶち壊された公爵令嬢は、それでも淡々と答える。

「承りました。ではそういうことで」


女性としては高めの身長、細身ながら出るところは出て引っ込むべきところは引っ込んた均整の取れたプロポーション、整いすぎて冷たささえ感じる美貌からは一切の感情が見て取れない。


「ところで参考までに理由をお聞きしてのよろしいかしら」

と、問うと王太子は勝ち誇ったかのように答える。こちらもかなりの美貌。二人が王と妃として並べばさぞかし映えるであろうが、それを見ることはなさそうだ


「白々しい。お前はこのメイプルに危害を加えた」

一人の少女を示す。

小柄でスカーレットほどの美貌はないが愛らしく保護欲をくすぐる容貌だ。彼女は歳下の在校生として二人を見送る立場であった


「なぜ(あたくし)がそのようなことをしなくてはなりませんのかしら?」

目を細め、扇を半開きにしてで口元を隠して問う。


ここで一旦時間を遡る。学園の入学式でスカーレットを見つけた王子はその美貌に目を奪われる。そして是が非でも彼女を手に入れたいと思い、王太子の立場を利用して婚約を整える。ところがいざ手に入れてみると彼女の優秀さが鼻につくようになってきた。王子に対しては愛憎いずれの感情も見せず、侯爵令嬢と時期王妃の立場を淡々とこなす。とにかく可愛げがない。


しだいにスカーレットが疎ましくなってきた頃メイプルが入学してきた。容姿性格ともにスカーレットとは正反対なメイプルに次第に惹かれていく。事あるごとに彼女に話しかけていくうちに彼女の方もまんざらではなさそうであった。スカーレットとの婚約を破棄しメイプルを妻にと思うようになるのも自然な流れであろうか


そして、話は現在に至る。


「お前は俺とメイプルの仲を邪推して」

みなまで言わせず

「そういうことではございませんわ」

そこで一旦言葉を切るとメイプル嬢に近寄り扇で顔を上向かせ、寒々とした表情で続ける

「貴女、楓男爵のところの娘さん、だったかしら」

「は・・・はい」


「この娘のことが気に食わなかったら修道院にでも放り込めば済みますのよ。男爵家の小娘程度なら王太子の婚約者で侯爵令嬢の私ならなら、不貞の疑いだけでそれくらい簡単ですわ。疑われる状況であることは殿下自身がおっしゃったばかりですし。なのにリスクを犯して危害を加える必要などどこにもございませんことよ」


「・・・っ」言葉に詰まる王太子


「ところで私、侯爵令嬢ではなく赤侯爵家当主となりましたの」

王太子に視線を向け、唐突にに宣言するスカーレット

「なんのことだ」

問うたのは王太子だったがスカーレットはメイプルに視線を戻して語る

「私が成人して殿下との婚約が無くなった場合その瞬間に家督を引き継ぐことになっておりまして、公式に手続きは済ませておりますの。ですから殿下が婚約破棄を宣言して私が了解した時点で”赤侯爵”当主は私、ということになりましたの」


そこまで言うとメイプルに更に詰め寄り

「私が貴女に危害を加えた。だったかしら」

「それは」

返事をしようとするメイプルの唇に人差し指を当ててこう言った


「下手なことは(おっしゃ)らないほうが身のためですわ。男爵令嬢が侯爵家当主を貶めるような事を言って、明確な証拠を示せなければ」

扇を閉じて刀に見立てメイプルの首に押し当てる

「首を刎ねることくらい造作もありませんのよ。かといって・・・」

扇を仕舞いメイプルの背後に回る

「下手に否定して殿下の不興を買えば」

軽く首に手を回す


「縛り首にされちゃうかもしれませんわ」

事態の重大さに顔色を蒼白にして倒れかけるメイプル。慌てること無く受け止めスカーレット。いわゆるお姫様抱っこ状態


「そんなことするものか」否定する王子

「ええ、なさらないでしょうね。私もいたしませんわ。ですが、可能か不可能かで言えば・・・・」

「可能、だな」認めざるを得ない

「そして、本人にその気がなくても取り巻きが気を回して、なんてこともあり得なくもありませんわね」


「ところでメイプルさん、貴女私の娘にならない」

唐突に話題を変えるスカーレット。スカーレットに抱かれたままのメイプルは泡を食う

「あの、どういうことでしょう」

「貴女を我が赤侯爵家の養女に迎えようかと思いまして」

事も無げに返す

「えぇと・・・・わたしの一存でお返事するわけにはいきませんので実家の方に相談いたしませんと」

「あら、ちゃんと立ち場を(わきま)えたいい返事ね。賢い娘は好きよ」

そこまで話してようやくメイプルをソファーに開放し、王子に向き直る。


「さて殿下、貴方の廃嫡を発議させて頂きますわ」

唐突に話題を変えるスカーレット

「そんなこと認められるわけ「ありますわ」

みなまで言わせぬスカーレット「先ほども言いました通り既に私は侯爵令嬢ではなく赤侯爵家当主ですの。その権限はございますわ」

勝ち誇ったように続ける

「東公爵様はご長男を王位に就けたがっていらしたのでご賛同いただけますわよ」

現状王位継承権一位はこの王太子だが国王の子供は彼一人であるため第二位には東公爵家の長男となっている。東公爵家には次男も控えているので跡継ぎ問題もない。


「東公め、そんな野心を」

「あら、東公爵様は公正な方ですわ。殿下が有能であればご自分の御子息であっても貴方を押しのけて次期国王にしようとなんていたしませんわよ」

遠回しにお前は無能だと言っている(遠回しになっているのか?)

「南公爵様には幼少のみぎりより可愛がって頂いておりますのでこのような公衆の面前で恥をかかされた私の発議には賛同していただけますわ。西公爵様も曲がったことのお嫌いな方ですから不当な手順で婚約破棄を(のたま)うような方は国王に相応しくないと判断なさるでしょうね」

悔しそうに奥歯を噛む王子。さらに続けるスカーレット

「北公爵様は主体性に欠けるお方なので他の公爵家のお歴々に異を唱えるようなことはなさらないでしょうね」

「・・・・だな」ここだけ妙に納得する王子


「橙侯爵令嬢は私の親友ですの。そして侯爵は娘に甘々な方なので彼女を通してお願いすればご賛同いただけますわ。黄侯爵は現在東公爵の支援を受けているので敵対するようなことはできないでしょうね。緑侯爵は貴方の事業失敗の煽りで大損した恨みもあるので真っ先に賛成するでしょうね」

次々に賛同を得られる上位貴族を挙げていくスカーレット。王子は苦虫を噛み潰したような表情になっていく

「まあ青侯爵は貴方の派閥ですから反対なさるかもしれませんわね。藍侯爵と紫侯爵は中立、でしょうかしら?」

フォローになっているのかいないのか?

「何れにしましても4公全てと発議者の赤侯爵を除いても7侯の半数が賛同するでしょうから、国王陛下でも覆せませんわよ」


ここまで言われてすっかり ││││││ な顔でorzな王子


再びメイプルに向き直るスカーレット

「養子縁組の話公式にご実家に申し入れますわね。御縁ができましたので楓男爵もご賛同いただけますわよね。あら?そうしますと王太子派におかしな逆恨みを買って貴方に危害を加えてくるかもしれませんわ。そうしますと貴女を守るには養女として迎え入れるしかありませんわね。あらあら、養女の件断れなくなってしまいましたわねー」

男爵家が侯爵家当主直々に求めてくるのだから端から断れるわけはないのであるが、わざわざ追い込むように宣う


「お母さんと呼んでいいのよー」満身の笑顔のスカーレット

「い、いいえ。2つしか違わない侯爵様をお母様呼ばわりはちょっと・・・・」

「お婿さんも好きな方を迎えてあげるわよ。あんなのが良いなら」王子の方を一瞥し

「婿養子にしてもいいのよ。無駄に顔だけは良いですし、婿イビリも楽しそうですし。いかがかしら殿下」

王子の方に話を振る

「誰がお前なんかの義息子になんかなるか」

「あら残念。振られちゃいましたわねメイプル」

少しも残念そうにに見えない笑顔のスカーレット


「顔だけ王子がダメなみたいだから東公爵のご長男はどうかりら。あの王子は失脚確定だから次期国王よ」

笑ってごまかすメイプル

しかしスカーレットの暗躍により次期国王妃に収まることになるメイプルであった。


おーほほほほほほ

笑いが収まらないスカーレット

無能な王太子を排除した。実はこれは4公家の歴々からの要請であった。それを成功させて恩を売る事ができた上に次期国王に縁もできた。もともと王太子妃から王妃となる立ち場ではあったが、そんな面倒な立ち場ではなく義母という権力はあるが役割としてはそれほどでもない、理想的な立ち位置だ

これからの生活に思いを馳せる


おーほほほほほほ



くくくく  はははは わーはっはっはっは

3年ほど後の隣国に落ち延びた元王太子は馬鹿笑いしていた


 王国の王族貴族の処刑も一段落か。俺のことを無能呼ばわりしていた割に民衆の不満が限界に達していた事に誰も気付かないのだから滑稽だ。

 揃いも揃って貴族のための(まつりごと)にだけ優秀で国全体のことは何も考えていないのだから、自業自得だな。こうなることを見越して事業を起こしたふりをして財産を持ち出したことにも気づくものもいない。楽なものだ


王太子のままじゃ国外に逃げ出しても逃げ切れるものじゃないから無能のフリをして廃嫡するように仕向けたのに全然乗ってこないときには焦ったが、婚約破棄騒動は上手くいったな。むしろ騒ぎが派手になって王族から追い出された印象が強まって革命軍からも逃れやすくなったから、結果的に良かった。


メイプルは男爵令嬢のままだったら処刑にまではならなかったのだから巻き込んでしまって気の毒ではあるが、権力欲しさに俺に近寄ってきたから自業自得。それに俺は騒ぎのだしに使っただけで巻き込んだのはスカーレットだ。俺が気に病む必要はない。


持ち出した財産で今度は本当に事業でも起こして新しい暮らしを楽しむとしよう

スカーレットとスカーレッドの混在修正してスカーレットに統一しました。

(感想&混在の報告ありがとうございます。合わせて誤字報告も感謝です)

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[良い点] すごいどんでん返し! そうきたかー [気になる点] スカーレットとスカーレッドが混じってます [一言] 顔だけじゃなかったのね!
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