妄想の帝国 その94 裏金チューチュー大行進
裏金、不正収支報告で問題となったニホン国与党議員たち。検察の追及は免れたものの、そこに待っていたのは、裁判にかけられた方がマシという悲惨な末路だった…
二月に入り、一年で最も寒い季節に入ったニホン国。寒さ厳しい中、一番ひどい目にあっているのは、生活保護世帯などの貧困層…ではなかった。
「ひいい、何で俺がこんな目に」
と、寒さに震えているのは首都トンキン西側を地盤にしていたハギュウダン元ジコウ党議員。なぜか、袖なし下着にブリーフという下着で、裸足に近いゴムのサンダル姿。
「て、手がかじかむうう、こ、これもそれもゴウノのバカがあーさ、さぶい」
「は、ハギュウダンさん、それを言っても仕方ないっていうか、やっぱり大人しく逮捕された方がよかったんじゃあ、ブルブル」
返事をしたのは同じく元ジコウ党議員のゼコウ氏。彼もかなり薄着、で露出した皮膚が赤くなっており、凍傷寸前の状態。それは彼らだけではなかった、彼の前には長い長い列ができていた。彼らと同じくコートも上着もなく、履物も粗末なもの。ほぼジコウ党議員たちで占められているが、黄泉瓜新聞社や惨怪新聞社といった大手マスコミの役員たちや、有名な芸能人、テレビによくでていた学者、さらに中小企業の元役員などの中高年男性や、検察関係者まで混じっている。
良く晴れてはいるが、首都から北関東に差し掛かる畑のど真ん中。あぜ道をのろのろと歩いている。吹きすさぶ風のせいで、実際の温度よりかなり冷たく感じる。ほとんどの人間が、もくもくと歩いているが、ハギュウダンとゼコウはまだしゃべっている。
「な、何をいうんだゼコウさん、そんなことになったら、全部おしまいだぞ、キャリアもなにもかも。議員を辞職し、裁判にかけられ、よくて無職に逆戻り、ひょっとしたら民事裁判とかで財産を没収させらたあげく、刑務所に入れられるんだぞおお。い、いや、下手すると市民たちのリンチとか、い、今までの利用してきたネットキョクウの連中がいやがらせとかして、家族にも危害がああ、ハックション」
と激しく首を振るハギュウダン、メタボ気味の腹部も震わしたが、怒りのせいだけではなく寒さのせいで手足はもっと震えている
「それは、ちょっと盛りすぎじゃないか。やっぱハギュウダンさんはあんまりにも国民をイジメすぎたんだろ、だから被害妄想が酷いんだよ。だいたい地元で勝ったのとかいってて、開き直ってたくせにいいい」
「あんただって、リベラル他、批判者をあざ笑ってたじゃないか。だいたい裏金の一部を使って、あいつらのネット攻撃したのはゼコウさんだろ、クシュン」
「だが、私はあんたみたいに妄想が酷くないよ。今の状態と検察に逮捕されたときの予想とどっちが悪いんだ!議員辞職どころじゃないぞ、ほぼ全財産、家族も取り上げられ、人権すらないんだぞ!!今や、罪人として、フクイチまで歩かせられてるんだ!!しかもフクイチ原発の処理のためだぞ!!5歳以下の子供以外家族も後からこさせられる!!だけど一生会えないんだ!!どんなにつらいかわかるかハギュウダンさん!」
「だから、それはゴウノのせいだ!!マイマイナンバーの普及を急ぎ過ぎたんだ。スパコンに情報入れて最適解を探せばナントカなんて言って、実行しちまったから。そのおかげで、裏金だのなんだの、俺らジコウ党議員が報酬だけでなく、政党助成金、パー券収入をいいように懐にいれてるってばれちまったんだ、ゼコウさん」
「マイマイナンバーカードの普及率が一桁だからって、焦りすぎたんだよ。まあ、あのマイマイナンバーカードのシステムはそもそもかなり無茶をして作った上に、ダケナカのダソナの派遣とか使って中抜き横行でトラブル続出だ。そんな状態で普及率があがるわけないだろう。しかも、ゴウノの進める健康保険一体カードが全く使えないのに推し進めるから。だからって、スパコンに任せりゃすべてうまくいくなんて、どこまでゴウノはバカなんだか、そのせいで、ブルブル寒いよ、ハギュウダンさん」
「まさか、スパコンがこんな判断をするとは、思わなかったんだろうよ、ゼコウさん。パーティー券収入の誤魔化しや政党助成金などの不適切使用、違法すれすれやった議員や関係者をすべて処罰するとは。しかも、閣議決定でって、なんで総理でなくてスパコンの判断でやるんだ!!」
「すべて、スパコンにお任せすればいいってキジダダ総理もいったからだ、支持率落ちて弱気になってたからな。しかし、ニホン国をうまく運営するためにやるべきこと、なんてまともな命令をだしてしまうなんて。それだけ行き詰っていたのか、クシュンクシュン」
「プガクが忖度してくれると思ったんだろう。だが、システムを作った奴が融通が効かなかったのか、忖度というような曖昧基準がわからなかったのか。まあニホン国を立てなおすというなら、確かに公金を使いやりほうだいの膿を出しまくるのが、有益かもしれない。論理的というか、合理的な判断なのかもな、ゼコウさん」
「民族問題で補助金をもらった団体を公金チューチューとか揶揄し、差別発言以外ロクな仕事もしてないミズタ・ミャクミャクとか、親の七光りだけで大臣になり笑いもの発言連発のオオイズミとかなら、まだわかる。なんで、俺たちまでなんだ、ハギュウダンさん」
「裏金数千万だからだろ、政治的影響力も大きいし、って、国民にいいこともやってるんだ、ゼコウさん!!」
「プガクの判断じゃ違うんだろ。俺たちジコウ党議員は、パーティ券買った企業も、擁護しまくりの学者や、やたら俺たちをもちあげて出演させたマスコミも、そして俺たち側のSNSを流しまくったネトキョクウ連中も、全部ニホンにとっちゃ有害なんだ。しかし、人権はく奪、こ、こんな寒空にこの格好で歩いてトンキンからフクイチまで、行かされるんだ。しかも、これから待つのは奴隷労働に近い、フクイチ原発の廃炉作業なんだ、う、だんだん足がもつれてきた」
「が、頑張れ、ゼコウさん。俺らが倒れたら次は家族なんだ、なんで家族まで」
「間引きするには群ごとがいいって話をどこかで聞いたけどな。彼らに聞き取りしたところ、骨の髄まで間違った信念に染まっていたので、とかプガクの返答だ。心理学的には5歳ぐらいまでらしいからな、思想というか考えが固まるのは。カルト教団の洗脳を解くのに最適なのも就学前ってなあ、グズグズ」
「しっかりするんだ、ゼコウさん…子供の小遣いも、裏金といえばそうだし、いろいろ便宜もはかってやった…、うわああ雪が降ってきやがった」
「うう、手がかじかんできたあ、ハギュウダンさん。こんな格好でフクイチまで歩かせるなんて、プガクななんで、こんな判断を」
「スーツも、コートも公金で購入したものだからっていう理由らしい。公金チューチューしたからって、全財産を取り上げられるなんて、く、くつまで」
「しかも見せしめに…だ。俺たちの姿をみて、同じように裏金ばらまいた市議やら県議やらが、自白しまくっているらしいぞ…も、もうだめだ、ハギュウダンさん…」
「わあ、倒れるな、ゼコウさん。あんたが倒れたら、俺たちがの負担が増える…う、お、おれもいっそ、倒れたほうが…いや、俺は俺は…ニホン国を…」
と、倒れる二人。だが、黙々と列は進んでいく、誰も彼らを助けようとはせず、ひたすら進んでいく。遠巻きに彼らを見る目もあったが、彼らに駆け寄るものもなく、二人を置いてひたすら列は進んでいく。
どこぞの国では大規模不正しまくっても、法律違反で人をこきつかっても、ほぼおとがめなしだそうですが、少子高齢化、衰退まっしぐらの道をひた走っているそうです。まあ、当然ですけど、軌道修正したいなら、大ナタふるって真っ当になるしかないんじゃないんですかねえ、嫌がる方がいたとしても。