007_蛇くんの三年目
草の匂いでむせかえるような山林です、
遠くの小川に流れる水の音が聞こえるような静けさ、
いいえ、他の音も聞こえてきています、
聞き分けて、さらに、地に伏せて、
振動を感じて、
立ち上がります、
少年、六歳児か七歳児の体格ですが、
実のところ、三歳児、
蛇くんことナギくんです。
皮の繋ぎのような物に身を包み、
短めの槍を右手に持ち、
左手で、大ぶりのナタを構え、
身長が低いので、得に屈むこともなく、
下草に隠れて、います。
ちろり、と長い、先が割れた蛇の舌を口からだし、
空気の味を感じた次の瞬間、
狙い澄まして、手槍を投擲します、
いやもう、風切り音が、何か違います、
弓矢というよりは、
とつくにで流行り始めている、鉄砲くらいの、
勢いで宙を飛び、
まるで、線を引くように一直線に、
獲物に吸い込まれます。
猪の雄です、大きめです、
その頭蓋、眉間の硬いところを、
まるで気にせず、やりが突き刺さります、
ゆうに脳髄まで達したそれにより、
まるで気がつかずに、仕留められてしまいます、
意外と軽い音ですが、地に倒れ伏す、猪です。
「おみごと、
というか、手を貸す暇もないな」
ゆらりと、気配を森に溶け込ませていた、少女?女性?が、
ナギくんのそばに現れます、いやさ、存在を表します。
「はい、師匠。まあ、大きめでも、普通の猪ですしね、
妖ほど理不尽ではないですし」
しっかりと受け答えしつつ、獲物に近づき、
息の根が止まっているかどうかを観察し、
軽く力を入れて、手槍を回収するのです。
「あと、鍛冶屋さんの腕も良いので、
頑丈な槍に感謝ですねー」
よくよくみると、全体が金属でできているようです、
頑丈ですが、ちょっと、いやかなり、重そうです、
けれど、取り回しを見るに、軽々と操っています。
「そんな重い槍よく使えるものだと呆れる流れだが、
まあ、蛇神様の息子で、さらに、超戦士の息子でもあるからなぁ」
師匠、ちょっと小柄な歳のころ十五、六の少女に見えでます、
表情とか視線や、体の動かし方で、見た目通りの歳には見えないですが
髪は金髪で、森の中なのに、長髪で後ろへ自然に流しています、
目の形と、耳が長めでとんがっているので、
森妖精と呼ばれる、長命種だとわかります。
「とりあえず、血抜きをして、
冷やすかね」
手を猪に向ける師匠、に対して、
「師匠、私やってみたい」
はい、とばかりに手を上げて、意欲を見せる、ナギくん。
頷く師匠を確認して、猪の大きな血管をさっくりと切り、
同時に、高く唄のような声を出して、
何にご祈祷します、
と、水の大きな玉が宙に集まり、
猪の傷から血をその、水玉の中に吸い出し始めます。
「うん、精霊もよくいうことを聞いてくれているみたいね」
真剣な顔つきで、しかし決して無理はせず、
師匠から学んだ、精霊術を行使する、ナギくんです。
ナギくんの三年目はこんな感じです。