062_蛙ちゃんの人生観、蛙生観?
「祖霊帰りが強いから、まあ、少なくとも二百年は生きるわね、
寿命の話よ?
事故とか病気とかだと、あっさり、若き美空で散る可能性はあるわ」
むしゃむしゃごくごくと健啖家な食事風景を見せつつ、
ちょっと、ため息をついてみる蛙姫さまことナダ姫様です。
「肉も野菜も白米も山のように食べていく姿から、
胃腸の強さが伺えますね、
どうにもこうにも、弱ってしまう姫様を、
想像できませんね」
兎娘ですが、野菜以外も食べます、こちらも、量は結構食べる方です、
運動を良くするので、お腹が空くのです。
「基本鶏肉なのよね、畜産という意味合いでは、
牛も豚もいるのだけど、
宗教的な観点というか、文化的な面から、
あまり大々的に行われてはいないわ、
まあ、私は、好きなので、
食肉用の牛豚を飼育していますけど、
お肉美味しいし、
まあ、巨大な虫とかでもいいのですけれどもね、
こう外骨格を向いて中を食べるような奴は、
蟹のようで美味しいですし」
骨まで砕くようにして食べているように見えます、
消化吸収が、神様的な力で補完されているのか、
これは食べられないのじゃないかなという固さのものとか、
量とかがどんどん口の中に消えていきます。
「まあ、取り込める神性なものが増えれば、
寿命も比例して伸びるわね、
この前の、なめくじ系の神族とか良い例でしたわね、
あれで寿命が百年くらい伸びたような気がしますわ」
ばくばくしゅわしゅわごっくんこと、
会話の合間に食べ続けます。
「なんさか遠い西の地にいる、
得の高いお坊さんを食べると、
寿命が伸びる妖怪のようですわね」
流石に同じ勢いでは食べられないまでも、
結構淡々と食を重ねる兎娘です。
「本質的には同じですね、
要は、存在するための力というものがあって、
それを摂取、食べて消化して活力に変えることができるのが、
神族というものであるのでしょうよ、
まあ、結構出鱈目ではあるわね、
生物であるのかというと疑問が残る性質よ、
概念とか、事象とかに近いのでしょうね、
どうしてそんなものが生まれて、存在しうるのか?
という疑問は当然生じますけれど、
あるものはあるとしか言えないというか、
それが答えになるくらいの、
理不尽さではあるのよね」
これだけしゃべっていても食べる速度が変わりません、
食事用の口と会話用の口があるのではなかろうかという感じです。
「私も祖霊帰りですけど、ちょっと薄いので、
姫様よりは早く死んじゃうんですよね」
ちょっと悲しげに。
「まあ、子供でも作って、
代々仕えるというやり口もあるわよ?
よければ、私が産ませてあげようか?」
ちょっと悪戯っぽく。
「それはそれで、子孫が苦労する未来しか想像できなくて、
不憫な気がしますねぇ」
ちょっと冷や汗をかく兎娘と、
「なるほど」
納得してしまう蛙姫でありました。
かえるちゃんの蛙生観でした。




