033_蛇くんの異常ではない愛情。
つまるところ、都の結界は欠陥品であるのでは?
「ひどい言い方です、費用対効果を見た傑作と言ってください、
それなりに役に立つのですよ?」
学園の真言術特別顧問であり、蛇くんことナギ少年の術式の先生である、
痩身の男性が嘆きながら言います。
「その話は学園でも聞きましたけど、
あまり格の高くない神話生物が一撃で、
簡単に破られてしまうのは、
本当に必要とされた時に、
役に立たなのではないでしょうか?」
少年は、謙遜しているわけではありません、
神話生物としては若輩も若輩で、
神術の腕前も父親の、多頭大蛇神にかなり劣るからです。
「いやね、あなたの父親と比べないでください、
あれは出るところに出れば、立派に国一つ起こせるくらいの、
えらい神様なんですからね、
というか、実際にあのあたり一帯の土地が身でも、
あらせられるわけでありま数位」
ちょっと冷や汗をかきつつ、指摘する男先生です。
「そうなのですか?
結構、母上に吹っ飛ばされていますが?」
首を傾げる少年です、
いえ、夫婦仲は良いのです、
子供も順調に生まれていますし、
ただ、母親が、戦闘民族であるだけの話で、
血湧き肉躍るやりとりが、とても楽しいということなわけです。
「いやまあ、ある意味あなたの母上もまた、
人間を超えているというか、素直に超人というか、
神様関係者ではありますので、
むしろ、神様より武に偏っているので、
戦闘力という点では、大体超えている気がしますので、
比較対象すると、おかしなことになると思うのです」
冷静に解説を入れる男先生でございます。
「いや私の姉をあまり人間離れした化け物のように、
言わないでほしいのだが、
事実だとしても、こう、もう少し、
言いようがだね?」
その場にいたもう一人の貴人が、会話に入ってきます、
ここは、ちょっと踏み込んだ会話を、
政府のお役人とかが行うための小部屋、
ただし、収容人数的には数十人が寝転べるくらいの、
広さではあります、まあ、権威を見せつけるための部屋でも、
あるわけでございますね。
で、その上座で、飄々と座っている、
ちょっと後光が差している、煌びやかな、雅な人物です。
「あーすいません叔父上」
「申し訳ございませんミカド」
一応敬意を示そうと努力はしてみたという体のナギ少年と、
表層だけは敬意を示していますよということを、
あまり隠していない、男先生でございます。
「わし、結構偉いのよ?
具体的には、この国の頭なのよ?
なんで敬わないかな?」
「主にそのあっ軽い性格とか言動が原因ではございませんでしょうか?」
ミカドとそのお付きの爺様が、軽く掛け合い漫才を致しております。
おん年六百歳を超えて今なを余裕綽々健康第一豪放磊落大胆不敵驚天動地で落書無用、
と、名声も高いのだかなんなのだかわからない、ミカド様であります。
「長生きの秘訣は、適度に無責任であることだよ、
そのうちなんとかなるだろう、の精神が、余裕を生むんだ」
「この無責任ミカドが何か言っとりますな」
基本漫才は止まらないものでございますれば。
「いやあ、僕、この叔父さん好きだわ」
面白いしと、笑うナギ少年でございました。
蛇くんの異常ではない愛情、でした。




