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029_蛇くんの学園生活は始まらない。

「どうしてこうなった?」

 途方に暮れる蛇君ことナギ少年です。


 適正検査で術式結界に全力で攻勢術式をぶつけるというもので、

 やや手加減して対象を破壊したら、

 真言術の家庭教師だった、細身の男先生から、

 呼び出しを受けたのちに、

 拉致されたんですけどこれは何事?


「いや、あれ普通の人には壊せないはずのものだからね?」

 術式結界の頑丈さを説明する男先生。

 

「私は神の血族だから普通の人ではないよ?」

 何を今更?という顔のナギくんです、

 不思議はありませんよね?

 という顔ですね。


「あれ、神様血族関係は内緒にするつもりでは?」

 疑問を呈する男先生です、

 前提を確認しないといけません、彼の立ち位置は、

 どうするつもりなのか?と。


「いやまあ、あの程度で露見するなら、

 隠すのは無理かなぁと、

 諦めました?

 それほど困らないだろうし」

 あっけらかんと言い放つナギくんです。


「結構本気っぽく見せてたんだけどな、

 あの、真言術の結界」

 天を仰ぎならがら、ちょっと大袈裟に。


「あ、やっぱり、本気じゃなかったんだ、

 手抜きの結界をとばしたくらいで、

 文句を言わないでほしい」

 ちょっとジト目なナギくんです。


「費用対効果の高い結界と言ってくれたまえ、

 普通はあれくらいで十分なのだよ、

 大体の強い怪異とか妖怪変化には、

 通用するのだから、

 そもそも、本格的に、

 荒御魂、神様関係の対策とか、

 資源がいくらあっても足りないんだから、

 予知とか、星読みに合わせて、

 その都度対抗策を放つものなんだよー」

 大人の事情を話す、男先生です。


「せちがない話ですね」

 納得はするナギくんです。


「でまあ、そのまま正直に、

 あの結界は、神様系、それも直径とか、

 大神様には、へのつっぱりにしかならないとか、

 言えないので、

 協力をお願いしたいんだよね」

 あけすけに、言い放つ男先生です。


「はあ、ああ、なるほど、

 脆弱性をついたことにしてほしいんですね、

 力技ではなく?」

 察しが良い少年です。


「そうそう、いくつかある脆弱性を、

 うまくついたことにして、

 そこを改善すれば、

 普通に運用できるという、

 話に持って行きたいんだよね、

 こう、お偉方対策?」

 政治の話をするわけです。


「不安を払拭させるという話ですね、

 いいですよ、

 その脆弱性にしましょうか?」

 話が早い少年です。


「わかりやすいのは、

 皇の一族、血脈系のそれなんだけど、

 いいかな?」

 確認は大事。


「あー、母上の方の血で誤魔化すのですね、

 良いのではないでしょうか、

 脆弱性の話と含めて上で話が止まるのですよね?」

 確認は非常に大事。


「やんごとなき血族の存在を、

 鍵に組み込んでの結界というところを、

 全面に出して、

 その血族からの攻撃に特効が乗るという感じで、

 説明しようと思うんだよ、

 で、それの証明に付き合ってください、お願いします」

 頭を下げるわけです。


「了解です、

 ええと、都の結界を壊せば良いのかな?」

 ちょっと冗談っぽくいや、真面目か?


「勘弁してください、

 貼り直す業務で、術者が死んでしまいます、

 忙しすぎて、

 実験用に作ったものを、

 お偉いさんの前で崩してください、

 できますよね?」

 ちょっと怖い表情での男先生。


「力ずくの方が楽ですが、

 問題ありませんね」

 もちろん冗談ですよという姿勢のナギ少年です。


 その他諸々の調整で、学園に全く通えない、

 ナギくん、

 という感じでございました。


 蛇くんの学園生活はこれからだ!

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