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女神の代理人の恋愛事情  作者: JUN


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唯一の手段

 頭の中で、ルイスの言った事を反芻する。

「それは、イミアを傷つけるように聞こえるのだが」

 それにルイスが、力のない声で答える。

「イミアに手を貸して下さっている神が剣を通じてアレクサンダーに入り込み、狂王をイミアに引き込んで寄り付かせ、イミアの肉体と同化した状態にします。そして、神が抑え込んでいる間に心臓を貫く事で狂王を滅するんです。

 人間は、死にます。死ぬんです。でも、どうする事も出来ない。これが、万が一の時のカミヨの役目なんです。神の代理人であるカミヨの巫の」

 言って、俯いた。

 愕然とした目を、クライはイミアに向けた。

「イミア……何とかならないのか?せめて致命傷を避けるとか」

「思い切り心臓を指し貫かないと、うまく神を向こうに寄り付かせる事も、神が狂王を滅する事もできなくなりますから、ひと突きで一気にやってもらえるとありがたいですね」

 捕虜を集めて拘束し、取り上げた武器を集める算段をとった将軍が近付いて来て、ロッドから小声で経緯を聴いた。

「何!?では、このままでは封印も解けて、また戦いを!?」

 クライは冷たくなった指先を握り込んだ。

 クライは王族、皇太子だ。ならば、とるべき方法はひとつしかない。しかしクライ個人としては、到底認められない方法だ。

「何で!」

「これを押さえておくためにカミヨは存続してきた。滅せるなら本望って事でしょう」

 イミアが言い、ルイスは肩を震わせた。

「俺に巫の能力があれば──!」

「何言ってんの。姉さんを放り出すの?」

「だからって、お前が──」

「まあまあ。私は納得してるからいいって。

 あ。でも、なるべく心臓を間違えずに一気にやって。やり直しとか痛いし、即死したい」

 ルイスは歯を食いしばり、掌を握りしめた。

 クライはイミアに掴みかかりかけ、イミアから向けられた目に言葉を失った。

「私達を助けてくれてありがとうございました。あそこにいたら、賞金と引き換えに差し出されて、呪いをかけたとか言って殺されてましたね。

 それに、楽しい毎日でしたし」

「イミア」

「遺跡発掘も楽しかったです」

「イミア!俺は!イミアが!好きだ!」

 イミアの顔がくしゃりと歪み、そして、凪いだ。

「ありがとう。私も、好きでしたよ」

「じゃあ、何か方法を」

「無理です。時間もそう無いですから」

「いいのか、それで。俺は、王族失格と言われても、嫌だ。死んで欲しくない」

 イミアは食いしばった歯の間から絞り出すような声を出したクライに、笑いかけた。

「狂王が解き放たれると、これまでよりも狡猾に、強力になる。もう、チャンスは巡ってこない」

「だからって。お前の未来はなくなるんだぞ。空を飛ぶ夢はどうするんだ」

「悪くない」

「何?」

「クライの未来を守れるなら、悪くない」

 言葉もなく黙り込む中、アレクサンダーを包む封印がピクピクと動く。

「時間がありません。すみませんが、どなたか剣を貸してください。

 イミア、すまん」

 ルイスが言って、将軍から実用的な剣を借り受ける。

「待て」

 それをクライが止め、それをロッドが止める。

「殿下」

「私が、やろう」

 スラリと、腰の剣を抜き放つ。慣れ親しんで来た愛刀だ。

「お世話をおかけします。まずは、狂王をこちらに」

 イミアは唇を震わせながら笑って言うと、アレクサンダーの心臓の位置に手を置く。一瞬ビクリと体が震える。

「できました。では、ブッスリといってください」

 ふざけたように言い、クライに背を向ける。

 クライはイミアの背後に立ち、剣を構えた。

 ロッドやルイス、将軍の目がクライに集まり、そして逸らされる。

「イミア」

「はい?」

「愛している」

「はい」

 クライの剣が、肉体を貫いた。







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