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女神の代理人の恋愛事情  作者: JUN
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婚約

 アレクサンダーは、恋人であるミリスを抱き寄せ、囁いた。

「形ばかりのものだ。私が愛しているのはミリスだけだと知っているだろう?」

 ミリスはうるんだ目でアレクサンダーを見上げる。

「殿下」

「心配するな。カミヨの娘と婚約する事ができれば私が皇太子になれる。その後、形だけ妻にしておけば、晴れて王になれるというもの。離宮にでも閉じ込めて置けばいい」

「ああ、殿下。それはわかっていますわ。でも、公式には殿下の正妃となるのはあの女ですもの。なんだか、心配になってしまって」

「あんな地味な女、飾りにもならない。カミヨの娘と結婚するものかその子供しか王になれないなんて決まり、なんであるんだろうな。古臭い昔からのしきたりなんだろうけど、バカらしい。それがなければあんな女、隣に並ぶのもごめんだ」

 そばにいる護衛や侍女はいないのと同じとばかりに、2人はしっかりと抱き合い、愛を囁き合った。


「王子と婚約、かあ。まあ、仕方がないね」

 イミアは兄に言われて小さく頷いた。

 このランギル帝国の皇家はランギル家だが、同じだけ古い、国の始まりと同じ時から並び立つ家がある。ランギル帝国の儀式を司る家、カミヨ家だ。

 そして、この国には決まりごとがある。カミヨ家の女を妻または母とする者だけが、王となる資格を有するのだ。

 なので、現在のカミヨ家には独身の娘はイミアしかいないので、イミアが皇室の誰かと婚約する事は生まれた時から決まっており、その相手が皇太子となるのだ。

 この国には王子は1人しかいない。なので自動的に、結婚は決まっていたという事になる。

 しかしけじめとして、正式に婚約をしておこうという事になったのだ。そうでないと、皇帝の弟の子あたりがイミアと結婚でもしたら、そちらを皇太子にせざるを得ない。

「イミア、ごめんね」

 困ったような顔をする兄のルイスにイミアは苦笑した。

「仕方がない事だし、わかってた事だから。いいわよ」

 ルイスの妻であるライラは小さく嘆息した。

「殿下、見た目はいいんだけどねえ。我儘だし、女ったらしだし、王に向いてない気もするけどね」

「ほかに王子がいればなあ」

 ルイスは重い息を吐いた。

「言ってもしかたないし。まあ、何とかなるでしょ」

 イミアはそう言って、小さく笑った。


 その1週間後、アレクサンダー王子とイミア・カミヨの婚約、並びにアレクサンダーが正式に皇太子となることが国中に発表され、大陸中にそのニュースが流れた。







お読みいただきありがとうございました。評価、御感想などいただければ幸いです。

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