007 魔獣諸国連邦ポセイドン④
レオンハルトの体調も万全となり、ようやく皇都へと攻め込む準備が出来た。
これは、此処から始まる新時代の幕開け。
歴史の転換期だ。
そして、新旧の世代交代であり、新たな皇の誕生。
僕達はそれらを行う当事者であり、そして、歴史の証人となるのだ。
「さて、レオンハルト。各地でポセイダル軍の抑え込みは完了している。これからはポセイドン城へ乗り込む為、船の奪取をするだけなのだよ」
革命軍本拠地の広場にて、マークがレオンハルトにそう伝えた。
既に道筋は出来ている。
後はそれに沿うだけなのだと。
その言葉を待っていたとばかりに、レオンハルトは大きく頷いた。
そして、革命軍のメンバーに向けて高らかに宣言をする。
「時は来た!ネプチューン皇を討つ、その時が!今日と言うこの日は、我々亜人にとって今後の命運を賭けた歴史の分かれ目となるだろう!負ければ全を失い、その一生を“物”として生きる事になるだろう!だが、この戦いに勝てれば誰しもが未来を望める“者”として生きられるだろう!今日と言うこの日が、新たなる歴史の一ページ目となる!我々の存在を“人”として!未来永劫、刻もうぞ!」
「ウオオオー!!!」
割れんばかりの叫び声が鳴り響く。
皆の欲しい言葉を的確に宣言した、レオンハルト。
演説による鼓舞で革命軍のメンバーの指揮が高まった。
こう言う状態の時、“人”は不可能を可能にするのだと。
これまでの軌跡が、これからの奇跡に繋がるのだと知った。
[皇都・船奪取戦]
今回皇都へ向かう通路は、前回使用した地下水路を使用しない。
陸路を真っ直ぐ進むのだ。
これは、各地で革命軍のメンバーが反乱を起こし、ポセイダル軍を分断してくれている為、コソコソと隠れて地下水路を使用する必要が無いからだ。
文字通り、最短距離を一直線に進んで行く。
(これだけの革命軍のメンバーで、皇都へと進軍する光景は圧巻だな)
僕達は、ネプチューン皇討伐の為の攻城戦、最終決戦に向けて革命軍のメンバー総出で皇都へと向かっている。
軍のように規律がしっかりしている訳では無いが、それでも行進する度に鳴らす地面。
そして、メンバーの熱気による空気の揺れ。
全員が一つの目標に向けて動いている様は圧巻だった。
(ここからは皇都。すんなりとここまで来る事が出来ているけど...これは、名も知らぬ革命軍のメンバーのおかげ...革命に関わった全員が無事で、皆が望んだ未来を手にする為にも、ネプチューン皇を討ち取らなければ!)
ゲーム世界だと言うのに、全力で感情移入をしている。
これは、NPC一人一人が人格を持ち、感情を顕わに行動しているからだ。
僕は思う。
頑張っても報われない人生程、虚しいものは無いのだと。
僕は知っている。
頑張る事が出来無い人が居る事を。
勿論、その頑張った結果は、本人の努力次第と効率次第では最高なものにも、最低なものにもなるのだが。
(皇都も慌しい。先行部隊が頑張ってくれているおかげだ)
皇都在住の軍隊も各地の対応に追われている為、今はかなり手薄な状態。
それでも、皇都防衛の為、最低限の防衛軍は残っていた。
「これから我々主要メンバーは、作戦の要である船の奪取へと向かう!残りの革命軍の皆は、全力でポセイダル軍の抑え込みを頼む!!」
レオンハルトが革命軍全員に指示を出す。
皇都に残っている防衛軍には、一緒に進軍をして来た革命軍のメンバーをぶつけ、その動きを抑えて貰う。
そして、主要メンバーである、レオンハルト、マーク、ジェレミー、僕を合わせた四人が港へと侵入し、船を奪いに行く作戦だ。
少数精鋭で時間を掛けずに最速で船を奪取する。
これは、革命軍のメンバーを傷付けさせない為の処置だ。
そうして、一度船を奪ってしまえばこちらのもの。
全員で乗り込み、一気にポセイドン城を目指す事が出来る。
「あそこが船を置いてある港だ!敵が潜んでいるかも知れない。気を引き締めろ!!」
僕達は港へと侵入し、船着き場へと到着した。
だが、不自然な程に誰も人が居なかった。
敵の最新戦闘帆船があると言うのにだ。
周囲を警戒しながらも進んで行く。
すると、道のど真ん中に烏賊の頭を持つ亜人が一人立っていた。
レオンハルトが、その人物に気が付く。
「あれは...イカルガ?」
『三獣士・海将 烏賊人イカルガ』
スルメイカの頭に、人の身体がついた烏賊人。
人の身体の腕と足以外にも、スルメイカの頭から四つの短い触手と二つの長い触腕が生えている。
身長はニ〇〇cm。
頭以外を鎧でガチガチに固めた武人。
武器は何も持っていない。
「やはり、レオンハルトお前だったか。ポセイドン城に行く為には海路しか無いからのう。必ず、ここに来ると思ってたぞ」
背筋を真っ直ぐに伸ばし、仁王立ちをしているイカルガ。
その見た目からは想像のつかない、御老人のような喋り方。
何処か、レオンハルトを見る目が悲しそうな、残念そうな表情を浮かべていた。
「レオンハルト、こんな事をしてどうするのじゃ?お前は現実を生きているのか?それとも、夢の世界を生きているのか?」
レオンハルトを真っ直ぐに凝視めて問い掛けて来た。
それは、最初にどうする事も出来無いもどかしさを、次に苛立ちを表すように投げかけて、最後はこちらを憐れむように嘆きながらだ。
「お前がここに来た以上、ワシはお前を殺さなければならない。倒すと言う生易しいものでは無いぞ?言葉通りにお前の生命を絶命させるのじゃ。それも、お前達全員をじゃ」
「お前達全員をじゃ」と言葉を発した瞬間、イカルガの全身から殺気が放たれた。
その殺気の鋭さは、僕達の身体の自由を奪うような、恐怖で足が立ち尽くすような、そんな嫌な感覚に襲われる。
「「ぐっ!!」」
この場に一緒に居たマークやジェレミーは、その殺気に威圧されてしまい身動きが取れなくなっていた。
二人は然も当然のように跪いていた。
その中で、ただ一人。
レオンハルトだけは平然と立っていた。
「ガオォォォォォー!!」
レオンハルトは、その殺気(威圧)を掻き消すように咆哮した。
その勇ましい咆哮は、いとも簡単に殺気(威圧)を掻き消し、更には、僕達を鼓舞し、気持ちを底上げしてくれたのだ。
すると、地面に跪いていたマークやジェレミーは動けるようになり、その場で立ち上がる。
「流石は、レオンハルトじゃな。だが、こんなもの(威圧)は最初から子供騙しじゃ」
それを傍から見ていたイカルガ。
上の立場から僕達を馬鹿にするように、レオンハルトへと賛辞を送った。
すると、イカルガはその場で腰を落とし、こちらに正対して構える。
武器は何も持たず、その身一つ。
どうやら、徒手空拳で戦うみたいだ。
手足に触手と触腕を合わせた一〇本。
それぞれが意思を持って別々に動いていた。
「お前達、全員で掛かって来たとしても、物足りないかも知れんのう...これでは楽しむ事も出来そうに無い。まあ、お前達の結果だけは見えておるがのう。では、覚悟するのじゃ!」
イカルガがそう叫ぶと、港一杯にバトルフィールドが広がった。
そうして戦闘へと切り替わった。
しかも、今回は初めてのパーティー戦。
それなのに、こちらから仲間に指示が出せる訳では無く、個人それぞれが独立して動くようだ。
(パーティー戦ではあるけど、これは...ほぼ、自動戦闘なのか?)
それぞれ独立した動きの中で、個別パターンが決まっていた。
レオンハルトは、装備している大剣を振り回し、一撃に全力を込めた単発攻撃。
マークは、その身軽さを活かした動きで、随時イカルガの周囲を移動しながらの援護攻撃。
ジェレミーは、サポート専門で誰かが傷付いたら傷を癒す回復支援と言った具合だ。
(これはイベント戦?...僕が何もしなくても戦闘が進むのか。だったら、戦闘そのものを早く終わらせる!)
三人だけでもバランス良く戦っていた。
だが、イカルガの手を抜いた戦闘に付き合う必要など無い。
これが何の為の戦闘なのか?
僕には解らないが、言える事は、もっとちゃんとした戦いをしたかった。
それなら、茶番は早く終わらせるだけ。
三人の援護攻撃に回り、イカルガの隙を見ながら、皆の連携が途切れる時に合わせて魔法や弓矢で攻撃する。
「ほっほっほっ。なかなかやりよるのう」
この言葉には、何の感情も込められていなかった。
適当に機会を伺っているだけのイカルガ。
だが、その戦い方は、身体全身を利用した派手で魅力的なもの。
頭から生えている触腕を鞭のようにしならせて叩いたり、腕や足、その全てを使って途切れ無い連続攻撃をして来たりと、とても格好良いものだった。
しかも、その鞭のようにしなる触腕は、伸縮自在で体長の二倍程伸びていた。
(独立した腕の動きから、相手に合わせた多彩な攻撃...多数との戦い方の参考になるな)
イカルガは近距離の場合、スルメイカの頭部から髭のように生えている四本の触手を、ナイフのように鋭く尖らせて斬り付けて来る。
どうやら、遠距離からの攻撃は持ち合わせていないが、中距離の場合、その触腕を鞭のようにしならせた攻撃。
近距離、中距離と、即座に使い分ける攻撃は、とても厄介だった。
「流派、十触流水拳。流れる水のように止まらない連撃を、とくと味わうが良い!」
イカルガは僕達の攻撃を、その体術で上手く裁きながら全身で攻撃して来る。
その腕と足は、それぞれの触手や触腕に連動して打撃を繰り出し、イカルガの持つ一〇本の手足が縦横無尽に、近距離、中距離と同時に攻撃を繰り出していた。
(おお!凄いな!身体を回転させたり、跳んだりする事で近寄らせないのか。手足が一〇本もあると攻撃の邪魔になりそうだけど、それぞれがちゃんと機能している!)
僕にはまだ、相手の動向を確認する余裕があった。
何故なら、前回のエアホーク戦と比べると格段に楽な戦闘だからだ。
これがもしも、僕とイカルガによる一対一の戦いならば、とても厄介な戦いになっていただろう。
(僕一人だったら...この手数の多さには対応出来なかったな)
しかし、今回はパーティー戦。
仲間がいる事でお互いをカバーし合い、攻撃に連携が生まれていた。
レオンハルトの攻撃は一撃が重く、容赦無く相手のHPを削る。
マークはレオンハルトの攻撃に追従し、必ず追撃を与えている。
ジェレミーは支援職なので、傷付いた皆の回復へと回っている。
そして、僕は、その攻撃の繋ぎ目を切らさないように、魔法や弓矢で攻撃を加える。
(皆と協力すれば、こうも楽に戦えるとは...自分で言うのも変だけど、良い感じに立ち回れているな。ただ、この戦いでしんどいのは、正面で相対しているレオンハルトやマークになるのか)
どうしても、イカルガに近付いているレオンハルトやマークは、イカルガの一〇本が繰り出す攻撃でダメージを負っていた。
だが、ジェレミーが直ぐに回復してくれるので、戦闘自体は問題無さそうだ。
痛みに関して嫌気が差さなければだが。
NPCだから、そう言った感情は無いのかな?
(血を流しているし、傷も絶えない。回復があれど、辛いだろうな...だが、このまま一気にけりをつける!)
僕達の連携攻撃は研ぎ澄まされて、途切れない連撃となりコンボを生み出す。
一〇本の手足を持つイカルガを圧倒しているのだ。
そして、イカルガのHPが半分まで減ったその時。
周囲に広がっていたバトルフィールドが、突如途切れた。
「...こんなところかのう」
イカルガがこちらに聞こえるか聞こえないかの声で、ぼそっと一言を漏らした。
既に戦闘は諦めており、その構えを解いていた。
すかさず、こちらとの距離を取り後退を始めたのだ。
「これは敵わないのう。ふむ。どうやら、ワシの手には負えないようじゃ」
わざとらしく負けを認めるイカルガ。
ただ、その言葉には全く感情が込められていなかった。
(いや、これはどう見ても嘘だろうが!)
イカルガは、戦闘を諦めるように、この場から去って行く。
自分の職務を簡単に放棄したのだ。
僕は訳が解らないまま、呆気なくパーティー戦が終了してしまった。
(えっ?これで終わり?)
戸惑いながらも、どうしてこうなったのか解らずに口を開けて呆然としてしまった。
釈然としない気持ちが残ったままだ。
だが、レオンハルト達はその事を一切気にする事が無く、此処ぞとばかりに身を前に乗り出した。
今が勝機だと、レオンハルトが大剣を天に掲げて叫ぶ。
「このチャンスを逃すなっ!今の内に船を奪うぞ!」
「うおぉぉぉぉーーーー!!!」
皆がそれに呼応するように声を上げる。
すると、レオンハルトは皆を先導するように船の方へと走り出した。
マークもジェレミーも、それに続いて走り出す。
(何で!?何で、そのまま行けるんだよ!)
僕達の後ろで離れて待機していた革命軍も、船目掛けて一目散に走り出す。
すると、否応無しに、自動的に場面が進んでしまう。
動きたくなくても、背後から押し出されてしまうのだ。
僕は、釈然としない気持ちのまま皆に付いて行く事となった。
(えっ!?勝手に場面が進む?)
場面は自動的に進み、船着き場にと辿り着く。
目の前には、等間隔でキッチリと整理された巨大な船が並んでいた。
それは、現代式の戦闘艦では無い。
中世時代に大活躍した、木造で出来ている巨大帆船(ガレオン船)。
その光景を目撃した僕は、先程までの納得しない気持ちを忘れていた。
目の前の巨大帆船(ガレオン船)に目を奪われていたのだ。
「これは...圧巻だな!」
帆船とは風力を利用して進む船の事だが、その帆装により効果が変わるもの。
帆装とは船舶工学における帆船の艤装の構成要素で、マストと帆の組み合わせを体系化したものである。
多くの場合、以下の三つの構成を含んでいる。
・軽微な風での航行性。
(風の多くは至軽風(鱗のような、さざ波が立つ程度の風)であるため、軽微な風での航行を可能としておく必要がある)
・風に応じた対応性。
(可変的な風に対応する為、風の強弱などに応じて帆の調整を可能とする必要がある)
・嵐に対する適応力。
(嵐のような極めて強い風の中でも、船を保守するための帆の管理を可能とする必要がある)
帆には、横帆と縦帆の二種類がある。
横帆は追い風を捉える効率が高く、季節風を利用して長距離を移動するのに向いている。
縦帆は追い風の利用効率は劣るが、より風に向かって間切る事が出来る。
つまり、目の前の巨大帆船(ガレオン船)は、より前方から吹く風を利用する事が出来て、操船がし易いという利点があるのだ。
「確か、これ...ガレオン船って言うんだっけ?」
様々な特殊兵器を装備する巨大帆船(ガレオン船)。
目の前のガレオン船は、四本マストを搭載した横帆と縦帆の複合である。
船首の部分にはマーメイドを象った物を取り付けてあり、装備は大砲(魔導砲)が船体に幾つも設置されていた。
「マーメイド...海の守り女神か」
ただ、これらの装備をよく見ると、所々に魔法結晶が施されていたり、魔法陣が描かれていた。
この事が意味をするのは、全ての装備が魔法具の類だと言う事だ。
レオンハルトが前に出た。
「これは想像よりも大きいな!これなら一度でポセイドン城に乗り込む事が出来る!よし、では船内を詮索する!マーク、ジェレミー、付いて来てくれ!」
レオンハルトが先陣を切り、マークとジェレミーの三人で船の中へと入って行く。
船の中に潜んでいる敵兵や罠の有無を調べる為らしい。
(出来れば僕も一緒に入りたかったな...何故、仮想世界に来てまで、こんな気まずい思いをしなければならないんだろう...)
僕と革命軍のメンバー達は気まずい空気の中、無言の状態で待たされていた。
良く知りもしない間柄の面々。
空間が息苦しい。
「「...」」
どうやらお互い様らしい。
皆が皆、強張った表情で息を殺しているのだから。
その長い間、嫌な沈黙の中で待たされていると、ようやく、船内からレオンハルトが顔を出して叫んだ。
船内の確認作業が終わったようだ。
「待たせたな!船内は何も問題無い!!皆中に入って来い!」
「「「おぉー!!!」」」
(ふーっ。ようやくだよ。革命軍のメンバーも待ってましたとばかりだな)
外で待機していた革命軍の面々が、矢継ぎ早に中へと乗り込む。
その様子から、革命軍の面々も早く船の中で気を緩めたかったらしい。
「解り易く、そっぽを向く相手や、鳴らない口笛を吹いている奴がいたもんな...」
ただ、(こんな場面まで、リアルにしなくても良いのに)と呆れてしまった。
そして、僕を含めた全員が船へと乗り込むと、レオンハルト達が出港の準備を開始する。
どうやら、ガレオン船はレオンハルト一人でも簡単に動かせるものらしい。
本来なら、色々と手間が掛かってようやく準備が整うもの。
だが、レオンハルト達が準備を始めたと同時に船が動き出した。
「これだと...僕が手伝える事は何も無さそうだな。それなら、船の中でも調べて見ようかな?」
僕は、外からガレオン船を見た時から、「魔法世界の船がどうなっているのか?」とずっと興味が湧いていた。
船内はどうなっているのか?
動力は何で動いているのか?
船の装備はどうなっているのか?
その欲求を満たす為に、船の中をくまなく調べ回る事にした。
「どれもこれも楽しみだな!」
そうして、船の中を探索していると、色々な発見をする事が出来た。
船内は外から見た時よりも広くなっており、魔法で空間が拡張されていた。
それもその筈。
このガレオン戦は、魔獣諸国連邦ポセイドンが誇る最新式の巨大戦闘魔導帆船なのだから。
当然、船内の設備も充実しているものだ。
「これは凄いな!それに空調も管理されているだなんて、とても快適だよ!」
波による揺れの影響を全く受け無い。
しかも、船内の至る所で空気が循環しており、とても澄んでいた。
それに、船内の温度が一定に保たれているのだ。
更には、潮風の影響も全く受け無い。
それどころか、湿っている場所が全く無いのだ。
どうすれば、これ程の環境を保てているのかが不思議で仕方無かった。
「魔法がある世界だと...こうなるのかな?」
思わず口に出てしまった不思議。
これは、たら、ればの話になる為、その疑問を解く事が出来無い。
だが、今の状況がとても楽しかった。
「船の移動は、変わらず風力頼みなのかな?」
更に船を調べて行くと、船の動力(移動の仕方)について解った事があった。
このガレオン船の動力は自然の風を利用する事が無く、風魔法を利用して進んでいた。
これは帆船にとって、かなりの利点である。
何故なら、基本的に帆船は風が無いと進む事が出来無いからだ。
それが、風魔法で自由に移動が出来るのなら、帆船の弱点である移動距離、速度を補えるのだ。
「魔法がある世界だと、機械に頼る必要が無いのか...」
現代とは違う世界観。
その事実に、僕は感慨深く浸ってしまった。
この世界の素晴らしさを、魔法の力の素晴らしさを、目の当たりにする事が出来たから。
「これが...この世界が現実だったら良いのにな...」
それは、希望にも似た思いだった。
この仮想世界が本物だったら?
もしくは、現実化してくれたなら?
そんな夢を見てしまう。
「...」
船が順調に進んで行く中、僕がそんな事を考えている時。
帆船の近くで、何処からともなく大きな波が立つ。
その時、波の影響を受けない筈の帆船が、不意にも何かに引っかかったように動きを止める事となった。
だが、船の中そのものは魔法具の効果により、揺れを感じる事が全く無かったけれども。
すると、突如。
外から声が聞こえ出した。
「!?」
「ガハハハッ!まんまと引っかかりおったな!」
船全体を覆うように、不気味な声が鳴り響いている。
僕はその声の主を探すように、慌ててデッキへと駆け上がった。
「何が、起きているんだ!?」
周囲を見渡すと、船の至る所に触手が絡んでいた。
不気味な程、巨大な触手。
その触手の先を目で追って行くと、そこには巨大なガレオン船を遥かに超えた、巨大な生物がくっついていた。
「船を一隻失うのは心苦しいのう。だが、此処で革命軍を一網打尽にしてくれようぞ!」
それは、圧倒的巨大な烏賊。
どうやら、人型の姿から本来の姿に戻ったイカルガのようだ。
船に絡みつく触手は、そのまま船を押し潰そうと絞まって行く。
すると、強大なガレオン船が悲鳴をあげるように、ギィギィと軋む音が鳴り響いた。
「...このままでは不味いな」
このままの状態が続けば、船体が潰されてしまい海の藻屑と化してしまいだ。
だが、僕達にはそれに抗う術が無い。
攻撃をしても触手には効かない。
そして、船の軋む音が一層激しくなった。
ミシミシと音を立てる不穏な雰囲気。
すると、突然大きな爆発が「ドカーーーン!!!」と発生した。
「グギャーーーーー!!」
イカルガの悲鳴だ。
その爆発の衝撃で、船に絡み付いていた触手は緩み、再び船を動かせる状態へと戻る事が出来た。
レオンハルトは、そのタイミングを見逃さず、船に設置してある魔法具を使って、一気に風の力でイカルガから離れた。
すると、遠くからこちらを心配する声が聴こえて来た。
「レオンハルト!無事か!」
その声の持ち主は、聞き覚えのある人物。
同じ革命軍のメンバーで、これまで僕達とは別行動をしていた人物だ。
(なっ!?このタイミングでルカの登場だって!?)
どうやら、僕達を助けてくれたその人物は、海豚型の亜人のルカのようだ。
彼が率いるガレオン船が助けに来てくれたのだ。
(大事な攻略戦に一緒に来てないと思っていたら...これは、格好良すぎだろ!)
間一髪のタイミング。
それを見計らったように現れては、こちらのピンチを颯爽と救ってくれた。
それは、映画や漫画のようにだ。
「ルカ!助かったぞ!」
レオンハルトが大きな声で感謝を伝える。
ルカのおかげで、九死に一生を得たのだ。
その感謝は計り知れない。
「レオンハルト!オレ達で協力してイカルガを倒すぞ!」
此処で勝負を決めるべく、動き出したレオンハルトとルカ。
二隻のガレオン船が協力し合う事で、イカルガを討伐する流れだ。
すると、突然画面が切り替わった。
雰囲気も今までの戦闘とはだいぶ変わり、何だかミニゲームのようだ。
「これはまた、通常と違った戦闘だな...これもBOSS戦なのか?」
今回は、人対人の対人戦とは違い、船対魔物の討伐戦。
操作をするのは僕個人では無く、船を操作させてイカルガと戦わなければならなかった。
攻撃手段は砲撃(魔導砲)のみ。
それを当てる事で相手のHPを無くせば勝利となる。
「ここからは僕が操作をするのか...それなら先ず、船の操作に慣れないと」
ぶっつけ本番の船操作。
その勝手に慣れる為にも、先ずは移動だけに絞って行動をする必要があった。
「厄介だな...あの触手攻撃は」
海上では、イカルガが身を乗り出し、その触手で攻撃をして来る。
僕は、この戦闘に慣れる為にも、相手の動きを観察する事から始めていた。
船を操作して、相手の行動パターンを分析して行く。
その結果。
触手での攻撃は、絡み付く、突く、叩くの三種類に分かれていた。
「攻撃パターンは...三種類か」
触手で絡み付いて来る場合。
海中から船体目掛けて触手が伸びて来るので、その触手が船体に絡み付く前に魔導砲で本体を狙い撃ち、爆撃を利用して引き剥がす。
触手で突いて来る場合。
イカルガの攻撃の中では突きの動きが一番速いらしく、魔法具による風魔法を利用し、急発進させる事で攻撃を避けなければならない。
触手で叩いて来る場合。
打撃による攻撃は船に対しての破壊効果が付与されている為、船全体を覆う結界を張る事でイカルガの攻撃そのものを防がなければならない。
「絡み付き、突き、叩き...なんだかジャンケンみたいだな」
この討伐戦で感じた事は、あいこの無いジャンケンだ。
グー(叩き)、チョキ(突き)、パー(絡み付き)の三種類。
もしも、相手の攻撃に対して違う行動を取った場合、重いペナルティーが課せられてしまう。
それは、津波による攻撃で船の耐久値を削り取り、直接破壊しに来る事。
これでルール説明が無いのだから、余程、運営はプレイヤーを生かすつもりが無いらしい。
とんだドM仕様のゲームだ。
「まあ、実際にこういった戦いが行われる時って、その場、その場で対応しなければならないもんな。だからこそ柔軟な思考が養われて、臨機応変に対応が出来るようになるんだろうな」
相手の行動が読めない。
相手の思考が読めない。
すると、戦闘時の緊張感が多分に増し、戦う事の恐怖心が、攻撃を受けた時の痛みが、それらを余計に感じ取ってしまう。
プレイヤーはそれを防ごうと必死になる。
いや、そうならざるを得ないのだ。
「相手の動きも、対処法も解ったところで...ここからは反撃だ!!」
ルールが解ったところで相手に攻撃を与えて行く。
この時、重要な事は、三つの操作を間違えずにイカルガを倒す事。
いや、イカルガの言葉を借りるなら、倒すでは無く殺すになるのか。
「ここが勝負時だ!殲滅するぞ!」
レオンハルトが皆に号令を出す。
だけど、船を操作するのは僕なんだけどな?
まあ、気にしても仕方が無い。
僕達は、相手の攻撃に合わせて行動を変えて行く必要があるのだから。
「ルカ達の援護砲撃。これはありがたいな!」
ルカ達の船は僕達と別に独立して動いていた。
こちらの状況に合わせて援護砲撃をしてくれるのだ。
そのおかげで、操作を焦らずにする事が出来ていた。
「イカルガも必死のようだ。ダメージを気にしていない?」
砲撃が当たる度に叫んでいるが、怯む事が一才無い。
その為、動き続ける事が出来ていた。
すると、イカルガは触手を動かし、船目掛けて攻撃をして来た。
船体に向けて無数の触手がウネウネと絡み付こうと動いて。
「絡み付きには魔導砲を当ててと」
僕は魔導砲の砲身をイカルガへと向けて魔力を流す。
すると、魔導砲の砲身に円を描くように装飾されている魔法結晶が、上から順に時計回りで赤く発光して行く。
そして、全ての魔法結晶に魔力が満たされた時。
その砲口部分に魔法陣が出現した。
「チャージには時間が掛かるけど...」
出現した魔法陣は、その中心を軸に横回転しながら、赤い魔力が中心部から全体へと広がった。
同時に空気中の赤い粒子が中心部へと収束を開始していた。
魔法陣が魔力で満たされて行くのと同時に、収束していた赤い粒子は凝縮され、丸い結晶へと形を変えて行く。
「細部まで作り込まれたこの演出は、何度でも見る事が出来るものだね」
そして、魔法陣が完全に魔力が満たされた時。
その赤い結晶が周囲に弾けるように拡散した。
弾けた結晶の中心部から巨大な炎の塊が出現し、イカルガに向けて飛んで行く。
その炎の塊は、周囲の空気を蒸発させながらも真っ直ぐ物凄い勢いでイカルガへと進んだ。
「空気中の水分が蒸発する音...風を切り裂く速度...恐ろしいな」
その炎の塊がイカルガの身体に着弾すると、炎の塊は更に炸裂するように爆発した。
「キェエエエエーッツ!!」
炎そのものが周囲を焼きながらも、着弾した際の更なる爆発の威力。
その爆発した炎の破片は、対象を燃やし尽くすまで燃え続けていた。
「うわあ...魔導砲、凶悪過ぎるだろ...」
僕は魔導砲の威力を目の当たりにして顔が引き攣っていた。
船に絡み付き始めていた無数の触手は締め付けが緩み、イカルガはその場でもがくように暴れ出した。
魔導砲が着弾した箇所の傷跡の恐ろしさ。
イカルガの身体に大きく穴を開け、周りの部分をこんがりと焼いていた。
「うひょー!このまま烏賊焼きにしてやるぜ!」
ルカは自分の好物である烏賊焼きを目の前にして子供のように、はしゃいでいた。
ルカの船からも続けざまに魔導砲が放たれる。
先程の魔導砲と同じように、着弾してはイカルガの身体を燃やし、その爆発で大きく穴を開けて。
「ぐふふっ。この美味そうな香ばしい匂いがたまんねぇぜ!」
烏賊の焼ける香ばしい匂い。
此処が屋台だったのなら最高の実演販売になっていただろう。
(えっ!?ルカはこれを食べる気なのか?嘘だろ...)
僕はルカの行動に呆れて、思わず笑ってしまった。
それは、ルカ一人だけ僕達とは違った方向でイカルガを攻撃しているからだ。
イカルガは燃えている部分を急いで海の中へと侵入させて炎を消化させる。
「キュイーッ!キュイーーーーー!!」
声を出して鳴いているのだが、どうやら、イカルガは痛みを感じていない様子だ。
ダメージは確実に与えている。
だが、動きに変わりはない。
燃えている部分を消化させては、直ぐさま別の行動を開始していた。
「イカルガには痛覚が無いのか?確か、突いて来た時は...魔法具を使えば良いんだよね」
次は、船体に向けて触手を突き刺すように攻撃して来ていた。
僕がいる舵取り場には、球体型の魔法具が設置してあった。
その球体の表面には、全体を巡る回路のような魔法陣が刻まれており、魔力を流すと緑色に発光した。
そうして、球体に魔力を流してみると、船体の後方に取り付けてあるブースター型の魔法具が連動し、周囲の風を集め始めた。
「おお!吸引力が凄いな」
これは魔導砲と違って、魔力の貯まりが早いもの。
球体の魔法具に魔力が満たされると、連動していたブースター型の魔法具に集まっていた風が一気に噴射された。
勢い良く噴射された風により、船はその場を飛んで一瞬にして前方へと進んだ。
その際、進む時の衝撃は魔法具で抑えられている為、揺れを一切感じる事無くだ。
「船内は風圧や衝撃を全く感じないんだな。不思議な感じだ」
そうして、イカルガの攻撃を避けた時、イカルガは次の行動へと移っていた。
こちらを追って身体を向き直し、触手で叩こうと動いていた。
触手が海面から上空へと、上って行く。
「この時は結界を張れば良いんだっけ?」
球体型の魔法具には、それと対になるように正方形の魔法具が設置してあった。
こちらも同じように、魔法具全体に回路のような魔法陣が刻まれていた。
僕は、正方形の魔法具へと魔力を流して行く。
「へえ。これは魔力を込めると白く光るんだ」
白い光を発光させながら魔法具に魔力が貯まった時。
船の周囲に八個の球体が出現した。
八個の球体は魔法具の形と同じ正方形を模る。
球体の点と点が白い光で繋がり、光の線となった。
その線で区切られた面の部分には光の膜が出来上がり、船全体を囲う結界を作り上げた。
すると、イカルガの触手が勢い良く振り下ろされていたが、その結界に侵入を阻まれて大きく弾かれた。
「この結界薄く見えるけどちゃんと防いでくれるんだな」
相手の攻撃を一通り受けたところで、僕は相手の攻撃パターンに合わせて確実に対処して行く。
何せこちらは、相手の行動を見てから正しい処置を選択すれば良いのだから。
後出しジャンケンで十分に間に合うのだ。
※実際は、相手の初動に対して一秒以内に選択をしなければならず、そう感じる事が出来るプレイヤーは少ない。
「一気に終わらせる!」
相手の行動に合わせた正しい対処を何度も繰り返し、魔導砲でダメージを与えた続けた。
そして、イカルガのHPがゼロとなった時。
突然、カメラワークが切り替わり、レオンハルト達視点で勝手に動き始めた。
それはまるで、映画のワンシーンを体験しているように、自動的に話(映像)が進んだ。
「イベントシーンの迫力が凄い...」
巨大なイカルガを中心に、二隻の船が動き回りながら魔導砲を発射している。
イカルガ苦しみながらのたうち回ると、周囲には巨大な波が起こった。
サーフィンのように、その波に乗るように、ガレオン船で魔法具を放ちながら自由自在に乗りこなしていた。
そして、今までイカルガを挟んで対になるように動いていた二隻の船は、イカルガの触手攻撃を掻い潜りながら本体へと急接近して行く。
接近をする際、幾つもの触手の鋭い突きが船体ギリギリを掠めながら通過していた。
目の前を何度も通過して行く巨大な触手は、とても迫力があり、その度に肝を冷やす勢い。
「体験しているだけなのに、この臨場感!相当のめり込んでいるな!」
船体が壊れながらも、二隻の船がイカルガ本体に接近した時。
レオンハルトがそれを見計らって合図を出した。
「ルカ!一気にたたみかけるぞ!」
「おう!こっちの準備は既に出来ているぞ!」
ガレオン船に積んである魔導砲全門をイカルガへと向け、二人で視線を合わせながら息を合わせる。
そして、目配りが合うと同時に頷く二人。
そのタイミングに合わせてレオンハルトが叫ぶ。
「魔導砲全門開放!!一斉砲撃!!撃てーーー!!!」
革命軍総動員による、魔導砲の全門解放。
これは、イカルガへと向けられたガレオン船による最大攻撃だ。
それも、二隻同時に放たれて。
「これは見事な光景だな。いや、演出と言えば良いのか?」
カメラワークが違うだけで、こうも見え方が変わるものかと。
実際にそれを体験出来ている僕は、感無量と言ったところだ。
そして、船に設置してある魔導砲全てから発射された炎の塊は、高熱を放っていた。
それは、太陽に照らされる熱よりも高温で、空気中を焦がし尽くす勢い。
その勢い良く放たれた炎の塊は、イカルガに全弾命中した。
「グアァァァァー!!!」
全弾命中した炎の塊は、イカルガの痕跡を跡形も無く消し飛ばした。
肉片すら残さない威力。
「えっ!?うわあぁぁぁぁー!俺の烏賊焼きがーーーっ!!」
それを見たルカが慌てて反応する。
自分でイカルガを消したと言うのに。
大の大人が、周囲の目を一才気にする事なく大泣きしていた。
僕は何故か、そのルカの悲しそうな表情がとても印象的に映った。
まるで、終末の時を迎えたような、そんな悲惨な表情がだ。
周りもそんなルカを見て苦笑するしか無い。
「...ルカには後から来た時に城の制圧の指揮を頼んでおく...今は放って置こう」
流石にレオンハルトも呆れてしまったようだ。
ルカには、この後のポセイドン城制圧の指揮依頼をしておいて放って置く事にしたようだ。
時間を潰す訳にはいかない。
「...」
折角の格好良い登場も、こんな終わりでは示しが付かなかった。
最後のさえ無ければ、格好良いままで終われたと言うのに。
ルカは、凛々しさと情けなさを併せ持つ両極端な男だった。
僕は、このキャラクターは大好きだけど。
「被害も最低限に抑えられ、皆の無事も確認出来たようだな!では、このまま一気にポセイドン城を目指すぞ!」
ポセイドン城を目指すべく、レオンハルトが指揮を執り先導する。
今回の三獣士との決戦は、最低限の被害でイカルガを撃退出来た。
その為、そのままポセイドン城を目指すようだ。
そして、イカルガを倒した事により、敵軍(海軍)の指揮系統は崩れて機能不全となっていた。
元々、ポセイダル軍が分断されているところに、更なる三獣士(空将、海将)の喪失で混乱が加速した状態。
これに便乗しない訳にはいかない。
今現在、革命軍の計画以上に進んでいる。
それならばと、ポセイドン城へ最短距離で向かった。
『ポセイドン城』
魔獣諸国連邦ポセイドンにおいての最重要拠点。
皇都ポセイダルと同じように周りを海で囲まれており、城の至る所には水が溢れている。
外部からの攻撃、進入は水の結界が防ぎ、入城する為には国登録の船で無ければ入れない。
ミズガルズ世界において、守りに関して三国で最も堅牢を誇る皇城だ。
「皇城を守る水の堅牢...牙を剥く前の姿は、とても美しいものだな」
皇城を囲むように目の前に広がる水のカーテン。
太陽の光が反射し、虹の橋が掛かっていた。
「大丈夫な事は解っているんだけど...この結界に入って行くと考えると、変に緊張してしまうな」
僕達は奪った船で、結界である水のカーテンを抜けてポセイドン城の敷地へと入って行く。
もし、これが国登録の船で無い場合、結界である水のカーテンに阻まれてしまう。
それまではカーテンのように流れていた水が、敵の侵入を阻むようにウォータカッターのように変化し、粉々に切断してしまうのだ。
それを見越して、敵軍の船を奪う行動に出たのだ。
逆に言えば、そうする事でしか侵入出来無い為、僕達が来るのをイカルガが港で待っていたのだ。
「凄い...水が避けて行く」
船を避けるように水のカーテンが流れて行く。
一才濡らす事の無い原理の解らない不思議な現象。
それを真下から見る事が出来るのは、感動ものだった。
この時の結界を通過する瞬間。
僕が一番緊張した部分だ。
そこで、ようやく「ホッ」と一息。
僕達は無事にポセイドン城へと辿り着く事が出来た。
「ここが敵の本拠地か...皇都ポセイダルもそうなんだけど、ここで戦う事が気が引ける程、美しい場所だな...だが、革命をやり遂げる為にも、海皇ネプチューンを討つ!!」