白雪姫 ~継母が悪いとは限らない!~
お楽しみいただければ幸いです。
昔々あるところに王妃様が居ました。王妃様は王様の子を身籠っていました。そしてふと雪が舞う日考えます。
「この子の髪は美しい黒。肌は雪のように真っ白に。唇は血のように真っ赤になったら素敵。」
そしてお腹の子は生まれ、白雪姫と名づけられました。白雪姫は王妃様が願った通りの容姿をしていていました。王妃様は白雪姫が大きくなる前に病気で死んでしまいました。
白雪姫が大きくなった頃、新たな王妃がやって来ました。継母は自分より美しい存在を認めることがどうしてもできませんでした。
数年たったある日、継母は魔法の鏡に尋ねます。
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰?」
『可愛らしいのは白雪姫、美しいのも白雪姫です。』
その事を知った継母は、白雪姫を見に行きました。そして白雪姫の姿を見た継母の頭に雷が落ちました。
「(な、なんて可愛らしく美しいのかしら)」
つい継母は白雪姫を飾り付けたくなりました。ですがすぐに次の衝動が襲ってきます。
「(ワタシヨリウツクシイナンテミトメラレナイ)」
白雪姫を傷つけてしまうと思った継母は従者に命じて白雪姫を森に連れて行かせました。
そしてあくる日、鏡に尋ねます。
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰?」
『可愛らしいのは白雪姫、美しいのも白雪姫です。』
鏡に小人たちと楽しそうに暮らしている白雪姫の姿が映されます。それを見た継母は安心しました。
「あぁ、元気そうで良かった。」
ですがその直後また衝動が襲ってきます。
「ワタシヨリウツクシイナンテミトメラレナイ」
継母はフラフラと部屋にある飾り紐を籠に入れ、老婆に変装し、白雪姫の元に行きます。
「お嬢さん、素敵な飾り紐はいかがかね?髪に着けても良し、首に着けても良し、腰に巻いても良しの優れモノだよ。」
「まぁ、素敵な飾り紐。試しに首に着けてみても良いですか?」
「あぁ勿論さ。」
継母は白雪姫の首に紐を着け、はっと気がつくと白雪姫の首を絞めていました。白雪姫の顔は元の白い肌より一層白くなっています。継母はやっと正気に戻り、つい、城に逃げ帰ってしまいました。
「私は、何を・・・?」
またあくる日、継母は鏡に尋ねました。
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰?」
『可愛らしいのは白雪姫、美しいのも白雪姫です。』
鏡に小人たちと楽しそうに暮らしている白雪姫の姿が映されます。それを見た継母は安心しました。
「あぁ、元気そうで良かった。」
ですがその直後また衝動が襲ってきます。
「ワタシヨリウツクシイナンテミトメラレナイ」
継母はフラフラと部屋にある美しい櫛に毒を塗り、老婆に変装して白雪姫の元へ行きます。
「お嬢さん、お嬢さん、髪が梳かすとサラサラになる櫛はいかがかね?」
「まぁ、素敵な櫛ですね。試しに梳いてみて下さいますか?」
「あぁ、勿論さ。」
継母は白雪姫の髪に櫛を通し、気がつくと櫛を白雪姫の頭に刺していました。櫛には毒が塗ってあるので白雪姫の黒い髪は一層黒く見えていました。継母は慌てて城に逃げ帰り、震えだします。
「私は、何を・・・?」
またあくる日、継母は鏡に尋ねました。
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰?」
『可愛らしいのは白雪姫、美しいのも白雪姫です。』
鏡に小人たちと楽しそうに暮らしている白雪姫の姿が映されます。それを見た継母は安心しました。
「あぁ、元気そうで良かった。」
ですがその直後また衝動が襲ってきます。
「ワタシヨリウツクシイナンテミトメラレナイ」
継母はフラフラと部屋にあるおいしそうなリンゴの半分に毒を入れ、他のリンゴを一緒に籠に入れ、老婆に変装して白雪姫の元に行きます。
「お嬢さん、お嬢さん、おいしいリンゴはいかがかね?」
「まぁ、おいしそうなリンゴ。でも小人さんたちに物を買ってはいけないと言われているの。」
「なに、大丈夫さ。試しに食べてみな。」
「それだけなら・・・頂きますね。」
毒リンゴを食べた白雪姫は口から血を吐いて倒れました。その唇はより一層赤く染まっています。継母はその様子の白雪姫を見て正気に戻り、慌てて城に帰りました。
そして一か月後、
継母の棲む城に隣国の新婚の王子夫妻が訪ねてきました。その妻は白雪姫でした。白雪姫を見た継母は見ているのが我慢できなくなり、慌てて部屋に戻りました。それを白雪姫と隣国の王子が追いかけます。
「お義母様。どうか部屋から出てきてください。どうしてもお話したいことが有るのです。」
「知らないわ。何処かに行ってちょうだい。」
「義母上、申し訳ありません。部屋に入らせていただきます。」
隣国の王子が継母の部屋に無理やり入ってきます。そしてまっすぐ鏡のある方へ向かうと何と!鏡を割ってしまったのです。すると突然鏡から黒いモヤが飛び出してきます。
『クアハハハハ、バカナヤツラダナ。フウジラレテイタワレヲカイホウスルトハバカナヤツダナ。』
「黙れ!義母上を操ったばかりか白雪姫を殺そうとした悪魔め!」
隣国の王子が悪魔に対して叫びます。そう!鏡には悪魔が宿っていて、継母を操っていたのです。そのことを知った王子は悪魔を倒すために城に訪ねて来たのです。
「はあーーー!」
王子の剣が悪魔を貫きます。
『クソーーーー』
悪魔が悲鳴を上げて倒れます。悪魔は倒されたのです!白雪姫が継母を抱きしめます。
「お義母様、ご無事でよかった・・・。」
「白 雪 姫 ・・・?私は何をしていたの?」
「お義母様は悪魔に操られてしまっていたのです。悪魔は倒されました。もう安心してください。」
「私は、あなたの事を殺そうとしてしまっていたの?私は、私は、あぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」
継母は自分が白雪姫に対してしてしまった事を思い出した泣き叫びます。それを白雪姫は抱きしめ続けながらあやし続けました。
そして数週間後、白雪姫達は隣国に帰っていきました。継母は夫である王にこれまで自分がしてしまった事を告白し、辺境の小さなお屋敷へ幽閉され、静かに余生を過ごしています。
風に聞いた噂ですが、なんでも、王様は退位した後辺境の小さなお屋敷で、ある女性と暮らしているそうです。
ーーーーこれは、昔々の物語。