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第二話『道連れの切符を掴まされました』

 次の日の朝。

 呪詛(ぐち)を長々と聞かされた僕は絶賛寝不足中です。眠い。

 なんで寝不足かというと原因は間違いなく昨日の呪詛(ぐち)である。

 あれが隙をみては頭の中で反芻し始めるので全く眠れませんでした。それも夢原君の顔付きで。どれだけインパクト強かったんだよ僕! 夏にやってるホラー番組を部屋真っ暗にして丑三つ時に見てもこんな寝不足にはならなかったじゃないか!(経験談)


「はっ! つまりホラーは夢原君だった!?」

「なに、お前は朝から意味不明な事を言ってんだよ」


 そう言って僕の頭を軽く小突いて、僕の前の席に座るこの男子の名前は滝井(たきい)志水(しみず)。僕の数少ない友人である。というか中学からの友人ならこいつしかいない。ふっ、僕の交友関係少なすぎ……まぁ、楽でいいんだけど。


「おはよ、志水。相変わらず背が高いね。なんか良いことでもあった?」

「なんで俺は良いことあったら背が伸びる体質になってんだよ。普通だよ、ふ・つ・う」

「それは背の低い僕に対する宣戦布告だね? よし、八つ裂きにしてあげる」

「こえぇよ! なんで身長一つでそんなに殺意剥き出しなんだよ」

「黙れ、高身長のハイスペック野郎! お前なんかさっさとバスケ部のエースになればいいんだ! それで推薦で有名大学にでもいっちまえ!」

「そんな貶すような口調で誉めるな! 反応に困るわ!」


 あぁ、今日も良い感じのツッコミをいれてくれてありがとう志水。おかげで昨日の事が忘れる事が出来そうだよ。さらば非日常(きのう)、お帰り日常(きょう)


「それで、夢原がどうとか言ってたがどうした? それとクマ酷いぞ?」

「心配ありがとう。そして夢原君の事は言わないでうっ、頭が!」

「そ、そうか。なんかすまん」


 なんか昨日から謝れてばっかりだな。それと志水や。可哀想な目で僕を見ないで。今、少しでも夢原って単語出したら記憶から出てくるから非日常(きのう)が。ぐっ、ついでに睡魔も来てしまった!


「ふわぁ……ごめん。ちょっと限界近いから先生来たら起こして……ぐぅ」

「返事聞く前に寝るなよ」






 それから朝ホームルームから昼休みまで何度も睡魔が襲って来たので、全て志水に頼んで起こして貰った。途中から起こし方に殺意が含まれていたので放課後にパンとジュースでも奢ってやろう。






 はてさて昨日の今日で昼休み。

 いつものように弁当を持って屋上でボッチ飯! と思って来たのだが。


『は~い、東吾君。あ~ん』

『ちょっと美咲先輩! 今日は私のばん!』

『東吾君? こっちの玉子焼きは私が作ったんだが、その……』

『とうご。はい、食べよ?』

『み、みんな。俺は一人で食べれるから』


 扉の前に佇む僕。扉の奥から聞こえ漂ってくるピンク色の空気。ふーん、そっか……とりあえず吐こっか。


「おろろぉろぉ!」


 勿論、マジな吐きではない。ウソ吐きである。マジに近いウソである。


「なんでいるの! なんで増えてんの! なんで僕を苦しめるのぉぉぉ!!」


 もう厄日だ。今まで生きてきた人生の中で一番の厄日だ。こうなったら昼飯は諦めよう。食欲もあのピンク空気のせいで無くなったし。はぁ……新しい場所探さなきゃ。


「よ、待ってたぜ」

「へっ?」


 既に階段を降りようとした僕に誰かが声を掛けた。声の主は僕の後方、つまりは屋上の扉から聞こえた。あっ、風が入ってくる。つまり今、扉は開いている状態。という事はこの声の主は夢原君かぁ……脱兎!


「ほら、みんなに紹介したいんだ。一緒に食べようぜ」


 しようとしたら腕を掴まれました。や、やめてくれ。あんなピンク色の空気に直接当たってしまえば僕は間違いなく死ぬ、死んでしまう! ぼ、僕はまだ死にたくない、死にたくない!!


「なぁ、みんな紹介ーー」


 そんな必死の心の声なんて届く筈もなく、僕は夢原君に引かれて屋上へと招き入れられていく。

 あぁ、今日が僕の命日になる。父さん、母さん。先に逝く僕を許して下さい……。

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