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俺達が2日ダンジョン、1日訓練の日程にしてからはライトは極力使わないようにし始めた。

気配でだいたいの敵の位置がわかるようになったので暗闇への怖さが一気に減った。


特に追跡されて逃げたのに比べれば大したことではない。

衝撃的な出来事だったが上手い具合に俺達の前進材料にできた。


気配が察知できれば敵寄せ用のライトは必要ない。

さすがに敵には足音でばれるが敵を見つける間隔が短くなったので今は暗闇での戦闘訓練を主軸に置いてゆったりやっている。


暗闇での戦いに慣れればまた収入は増えるだろう。

ライトを使わないので強化に魔力を回せるのでドブヌートの死体が2体以上になっても苦にならない。


気配察知できるせいで逆に走り込みが少なくなってしまったのは残念だ。

ラピアはまだ気配察知までは到達していないが暗闇の中で走ったり戦ったりすることで研ぎ澄まされてきている。


俺とメリももっと上の段階に進めたらいいなと思っている。

今までほとんど怪我をしたことない俺達も暗闇での戦闘では怪我をするようになった。


浅い傷ならヒールで時間をかければ直せるが深い傷を負わないように注意しなければならない。

ほとんどの怪我は打撲だから良いが刃物を持っているゴブリン相手のときは緊張感が違う。


そういう相手には連携して安全に倒すようにしている。

ラピアも新しい棒に慣れて距離を取って戦えている。


ラピアが無事なら傷も直せるから安全第一だ。

暗闇での戦いは俺達に新しい刺激を与えてくれている。


ライトを使っていたより5感が冴える気がする。

何より楽しいな。


ライトを点けてだと作業になりがちな戦闘だがライトなしだと常に注意しなければならない。

やはり走りこみの時といい、新しい事をドンドンやった方が楽しいし、伸びが良い気がする。


現にメリは楽しそうだ。

メリはいつも体を動かせれば楽しいか。


暗闇での戦いに慣れるには早くても数ヶ月はかかりそうだ。

あと数ヶ月はこの案で遊べるということになる。


その次はもっと大変な目標を探しておこう。

俺達はこんな修行に適した場所に通えてお金も貰えるなんてなんて幸運なんだろう。


今なら追跡者が来ても奥に進めばいいだけだ。

あの後、常に黒パン1人1個は背負い袋に入れておくことにした。


これならもしもの時も長期戦ができる。

今の様子だと長期戦すら必要なさそうだけどね。


「今の狩りに慣れるまで数ヶ月は必要だろうけど次は何を目標にするか考えておいてね。」


俺はダンジョンを出ると二人に聞いた。


「え、ロッシュ考えておいてよ。」

「うーん。」

「思いつかないから二人も考えておいて。やっぱ新しいことをドンドンやったほうがおもしろじゃん。」


「うんうん。難しい事のほうが修行してるって感じになるよね。」

「今の所はロッシュの案で十分成果が出てるね。私も考えておくよ。」


「はいはい!私がすごい案を思いつきました。」

「よし、メリ君どうぞ。」

「素手で戦おう。」


「却下。メリはその内それでいいね。」

「えー。私だけえ?」


「うーん。俺も・・・・・・できなくはないがどうだろう。案としてはおもしろいね。けどそれをやるなら武器訓練に格闘訓練をしないとドブヌートに攻撃当てられないと思うよ。保留!」

「ふふふ。」


「それなら私は魔法だけで戦うってのは?。」

「お、良いね。魔力に余裕あるし、回復魔法は治療院で磨けるから水魔法は最近体洗う時位しか使ってないな。よし、ドブヌートの時はラピアが水魔法で倒そう。採用。」


「頑張るよ。」

「結構良い案が出るな。この調子で色々考えていこう。」


「はいはい!もっと後だけどダンジョンの中でロッシュと模擬戦したいな。」

「今すぐってわけには行かないけどそれも採用!」

「やったあ。」


「あともっと先ではあるけどダンジョン内で泊まってみたいな。その前に野営の仕方とかしっかり誰かに教わりたい。」

「いいねー。ロッシュ君、採用!」


俺達は飯を食べながら今後の事について和気藹々と話し合った。

みんなで相談した方が俺が思いつかない案が出てきて楽しい。

この調子で行こう。


俺達がデロス町に来てから2ヶ月が経った。

俺達はまだ2日ダンジョン、1日訓練の日程で居たが内容は変わってきている。


一日の収入に上限を設定して狩るようにした。

運次第で届かない時もあるが11~12大銅貨で止めることにしている。


これ以上稼いだらさすがにまずいだろう。

俺達の生活にもやっと余裕ができてきた。


俺達はそこでついにドブヌートを1体持ち帰ることにした。

料理店ではドブヌートのステーキは450g位で3大銅貨だった。


3人だと9大銅貨だ。

ダンジョンで得たドブヌートを持ち帰れば2倍以上は肉が食べられそうだ。


俺達はまだエル村の人の為に持っていった以外は一度もドブヌートを持ち帰ったことはなかった。

ドブヌートを持ち帰るにあたり重要な課題がある。


それは塩と香草だ。

ドブヌートは泥臭いので味付け用の塩は必須。

続いて安い香草があれば最高だ。


香草と言えば以前、スープに無料でパセリが追加できる屋台があった。

スープだけでは利益が少ないので色々な添え物が有料で提供されている。


その中でも無料で香草類を添えられる屋台があって俺とラピアは飛びついた。

しかし添えられる物がパセリと見るやメリは猛反発した。


せっかく無料なので入れないという選択肢はない。

パセリは俺も好きという訳ではないが栄養もあるしスープの単調な味に変化を与えられる。


安くて香りが良くて美味しい香草が無料で付いてくるわけがない。

無料なだけでも良心的だと思う。


安い香草となると種類も搾られてくる。

そうなるとミントあたりが最有力候補か。


植えると何もしなくてもドンドン増えるので香草の中でも安価だ。

いくつものハーブ園がミントに飲まれた事か。


俺はあんまり好きじゃないが泥臭いよりはましだろう。

俺達は意気揚々と市場へ向かった。


市場での品定めはラピアにまかせているので俺達は他に良い掘り出し物がないか見ていた。

市場は冬になったこともあり暖かい時期よりも店の数が減っている。


それでも露天の人達は一生懸命商売している。

俺達は塩を売っている所を何ヶ所か回った。


「買うとしたら100gで2大銅貨の質の微妙な塩か100gで3大銅貨の岩塩になるね。二人はどっちがいい?」


ラピアが一通り回った後に俺達に質問してきた。


「質を取るか量を取るか・・・・・・。ここは量にしとくかなあ。」

「私はあの綺麗な岩塩がいい!」


確かにあの岩塩は淡い赤というか赤褐色というか綺麗な色していた。

逆に安いのは黒緑っぽい塩で不純物が入ってた。


うーん。

やっぱり岩塩のほうが高いけどすごく美味そうだなあ。


黒パン3個か。

けど買えば何度か使えるからなあ。


「俺も高いけど岩塩にするわ。」

「うん。そうしよう。」


そう言うとラピアは嬉しそうに岩塩を売っている露天へ移動した。

俺達はそこで小さい100g程度の塊の岩塩を3大銅貨で買った。


その後香草を探したが、有るには有るが季節が冬のせいもあって割高だったので止めた。

しかし俺達は棍棒から削って作っておいた塩入れに塩を入れただけで大満足だった。


明日が楽しみになってきたぜ。

翌日は朝から俺達3人は気合が入っていた。


今日はドブヌートの焼肉だ。

塩も買って準備万端だぜ。


ついでに良い野菜があれば買いたい。

まず最近見つけた朝早くからやっているパン屋で黒パンを1人2個買い、ポリジを食べに行く。


ポリジと黒パンをササッと食べたらダンジョンへ向かう。

今日は絶対にドブヌートを手に入れる。


そして焼肉だ。

俺達は餓えた狼の如き目でダンジョンを徘徊した。

ドブヌートと戦う度に祈るような気持ちでアイテムが落ちるのを待った。


こんな気分久しぶりだ。

俺達の祈りが通じたのかドブヌートは早い段階で死体を残した。


俺達は小踊りしたい気持ちを抑えて残り時間を消化した。

俺達は受付で棍棒とドブヌートを受け取ると足早に建物を出た。


そして市場で1個1小銅貨の小さな玉ねぎとじゃがいもを数個買った。


「行くか!」

『うん。』


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