表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/139

45

俺達は武器を諦めて靴と服を中心に見ることにした。

革靴は安い物はドブヌートの皮のようだ。


詳しくないのでそれ以外の皮は聞いてみないとわからない。

木の靴もあったが足音が五月蝿くなるので却下だ。


俺は商品の見極めをラピアにまかせてメリのようにふらふらと他の商品を見て回った。

俺達が商品を見ているとラピアからの集合がかかった。


「色々と見た結果買うとしたら2つだね。1つ目、ドブヌートの皮の靴一個2大銅貨。これははっきり言って消耗品になるね。その代わり自分の足に合う物が履けるよ。2つ目、草原狼の皮の靴一個6大銅貨。ドブヌートの靴よりしっかりして硬くて長持ちしそうだね。ただ私達にはちょっと大きいから布を詰めて履かないと駄目だね。」


「あー。草原狼かあ。ミュッケ村の近くにもたまに来てたね。大人達が見せしめに一匹狩ると近寄らなくなるやつらね。」


俺もメリの言葉を聞いて思い出した。

草原狼は1~10体位で草原を中心に活動している。


賢いから一匹狩るだけで近寄らなくなるので殺さないでおく獣の中の1種類だった。

ミュッケ村では弱い魔物はできるだけ殺さないようにしてた。


ゴブリンは程ほどに間引きをして多すぎず、少なすぎずを保っていた。

畑を荒らす類いの獣は狩り尽くしていたな。


「私は草原狼がいい。」

「俺も。」

「うん、大きいけど作りがいいから草原狼の靴にしよう。」


俺は3個買うことで2大銅貨値切った。

今まで履いていた靴は結構ボロくなっているが一応部屋に残しておこう。


一旦部屋に戻って靴を調整しながら履いた。

うん、大きめだが今までの靴に比べて頑丈だ。

俺達は今度は服を探すべく市場へ向かった。


「この前のマントを買ったお店に行くのは市場を見てからの方にしよ。」


ラピアが言った。

服関係はラピアまかせだ。


俺達は市場を見て回った。

そこで俺は良さそうな木の棒を見つけた。


「お、坊主。お目が高いね。これは魔境の木を削りだした木の棒だよ。」


子供と馬鹿にしているのか褒めているのか微妙なところだ。

男は至って素のようだ。


「いくら?」

「4大銅貨だよ。安いよ。」

「たっか。」


俺は興味を失った振りをして立ち去ろうとした。


「ちょっとちょっと、待ってよ。もう少し安くするからさー。」

「それにこれ、魔境の木じゃないよ。魔境の木はもっと魔力があって硬いよ。」

「そ、そんなことはないぞー。これだって普通の木に比べたらかなり硬いぞ。」


俺が話しているのを目ざとく見つけたメリがラピアを呼んで来たようだ。


「そもそも乾燥も足りないよね。けどこれ以上急に乾燥したらヒビが入りやすくなるよね。」


どうやら図星だった様だ。

オロオロとし始めた男を放っておいてラピアに話しかけた。


「魔境の木程じゃないし乾燥もいまいちだけどどう?」


ラピアは手にとって木の棒を確認し始めた。

男は俺達が買いそうな空気を出したので祈るような顔で見ている。


「うーん。棍棒で十分だけどこれはおいくらですか?」

「1大銅貨。と言いたい所だけど2大銅貨だったらいいよ。」


俺が言った。

男は目を白黒させた後にガックリして観念したようだ。


「それじゃあ、一本買うわ。」


俺は2大銅貨を男に渡した。


「へいへい、毎度有りいー。」

「出来はまあまあ良いからもうちょっとゆっくり乾燥させれば良い物ができるよ。」

「ちぇー。坊主にしてやられるなんて、参ったな。」


両手を上げて参ったの格好をしている。

しかしほとんど材料費はただで仕入れたものだろうから丸儲けだろう。


2m位の木の棒で俺達の体には少し大きすぎるが牽制程度に使えればいいだろう。

俺もメリも棍棒なので大振りな武器は使わないので使用に問題はない。


「皮の鎧は見たけど今の私達じゃお金が足りなかったよ。」

「そうだよなー。となると厚手の服か。」


「そうするとやっぱりドブヌートの皮が安くていいね。」

「これから寒くなるし安いならそれにするか。メリはどう?」

「ラピアにまかせるよ。」


俺達はドブヌートの服を買うことにして以前マントを買った店へと向かった。

俺達が店に入ると店員は以前と同じだったので、俺達をチラッと見たが何も言わなかった。


俺達はドブヌートの服をラピアがじっくり選ぶのを待った。

ドブヌートの服を上下セットで俺とラピアが13大銅貨、メリはサイズが少し大きく14大銅貨になった。


あわせて40大銅貨だ。

もちろんそこから値切って36大銅貨になった。

それでも店からすれば一ヶ月しない間に2回も3銀貨落していく客となってしまった。


「お前達、結構稼いでるようだな。」

「食うので精一杯だよ。服は寒くなるからしょうがない。」


「開拓村の生き残りだってな。ダンジョンはどうだ?」

「真っ暗で大変だよ。」


「はっ、違いない。その上に薄くて軽いがある程度硬い皮の服を切るといいぞ。」

「商品の宣伝かよ。」

「そりゃ、そうに決まってる。」


太太しい店員だ。

あくまで参考程度にしておこう。


俺達は着ていた服の上に今買った服を着た。

すごく暖かい。

暖かすぎてダンジョンで走ったら汗を掻きそうだ。


その後市場で塩を見つけたが高かったので諦めた。

今日の目標は一応達成だ。


夜の鐘まで思ったより時間が余ったな。


「夜の飯まで時間がありそうだけど、これからどうする?」

「訓練!」


「私は特にないよ。」

「訓練できる場所ってどこだろう。冒険者学校の隣に運動場があったけどあそこ使えるのかな?」

「行ってみよう!」


俺達が運動場へ着くとそこにはちらほらと剣を振る人がいる。

子供も遊びまわっていて誰でも使えそうだな。


俺達は空いている場所に移動して棍棒やさっき買った棒を振った。

新しく買った服は少々かさ張るがこれに慣れよう。


「こんにちは。」


俺達が訓練をしていると俺達と同じか少し年上の子供達が近づいてきた。

一目見てあんまり関わり合いになりたくない気持ちでいっぱいになった。


俺は内心すごく面倒くさかったがしょうがなく挨拶をした。


「こんにちは。」

『こんにちは。』

「俺の名前はセイ。こっちがこの町の町長の娘さんでビニー。こっちの銀髪が俺の奴隷 でキュオ。」


「俺はロッシュだ。」

「メリ!」

「ラピアです。よろしくおねがいします。」


相手が町長の娘と聞いて俺達は一旦手を止めて軽く自己紹介した。

セイは金髪、碧眼で剣を腰に下げている。


剣は遠目でも結構高そうだ。

ビニーは髪、目も茶色だ。

すごく高そうな服を着ている。


キュオと呼ばれた奴隷は、服を新調する前の俺達と同じような服だ。

しかし持っている短剣はこれもまた良さそうな物だ。

目も髪も銀で何を考えているのかよくわからない顔をしている。


「実は頼みがあるんだ。」


突然セイは切り出した。

俺は早く訓練に戻りたかった。


「頼みって?」

「君達はミュッケ村の生き残りだよね? この前のスタンピートでボスが居たけど結局町には来なかったんだけど俺とどっちが強いか見てもらいたいなって思ってさ。」


面倒だな、と思ったが顔には出さない。


「俺もボスを見たかと言われると見てないかも知れないよ。ゴブリンより強い個体が居て、それより若干大きい強そうなゴブリンを見たくらい。」


「ふふふ。実は強い個体のほうはこの前町に攻めてきた時に俺が倒したのさ!」

「それはすごいな。」


手負いの個体だったのかな。

セイはすごく自慢気だ。

だがこの年であの強い個体を倒せたのはすごいことだ。


「ロッシュ達なら倒せるよ。」

「俺達はそんなに強くないよ。それより強化をして剣を振ってみて。」

「わかった!」


俺達も大人数で囲んで一体倒したが俺達も倒したよなんて言える空気じゃないし、数で押しただけだから数には入らない。

セイは着けていたマントを奴隷少女に渡して剣を抜いた。


お嬢様は一生懸命セイを応援している。

おお、良い剣だな。


セイは呼吸を整えると剣を振った。

それを見て俺は驚きと共に関心した。


この町で見た中では上位3位には、いや、上位2位に入りそうだ。

けど最初見た時はあんまり強そうな気配はしなかったんだよな。


気配を隠しているわけでも無かった。

何故なんだ・・・・・・。

とりあえず俺は拍手を送った。


「こんなに強いとは思わなかったよ!現時点で町で上位3位内は確実だね。今は厳しいと思うけどこのまま力を磨けばボスでも倒せるよ。」


セイは少し不満気だが納得はしたようだ。

お嬢様は踏ん反り返っている。

奴隷少女は最初から何も変わっていない。


「ふう。ありがとう。参考になったよ。」

「俺達もその歳でそんなに強い奴が居たなんて知らなかったから勉強になったよ。」


俺達は握手を交わした。

これで満足して帰ってくれるだろう。

俺はそう思ったが見通しが甘かった。


「せっかくだし模擬戦もやらないかい?」

「今のを見て力の差を感じたからもっと強くなってからじゃないとセイの練習にならないよ。」


「いやいや、いいって。友達だろ。俺は同い年と戦った事があんまりないから戦ってみたかったんだ。」


お嬢様は既にその気のようでセイを応援し始めている。

今日はもうダンジョン行かないから程々に戦ってあげて降参するか。


そう思い、嫌々ながら棍棒と盾を構えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ