表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/139

44

「朝だよ。ほら起きて。」


メリは珍しく朝からすごく元気だ。

昨日の件で興奮冷めやらぬって状態だ。


「いつも起きてる時間より早くない?」

「早くダンジョンに行って修行しようよー。早くライトなしでやりたいなあ。」


俺とラピアは珍しくメリに急かされて部屋を出た。

この時間にポリジ売ってるか心配になってきた。


中央広場に向かうとポツリポツリと屋台はあるがまだ準備中だったり腹に貯まる様な物ではなかった。

俺達は屋台探しに歩き回る羽目になりそうだ。


そう思っていると鼻につく臭いがしてきた。

ポリジだ!


俺達はお椀とスプーンを持って枯れ枝の様な老婆が作るポリジを買った。

味は相変わらずだが良く見ると色々と野菜などが入っている。


今まで見てきたポリジ屋台で一番いいかもしれない。

俺達は最後に水を一杯貰って飲み干した。


「おばあさんはいつもここで屋台を出しているんですか。」

「そうだよ。」


老婆はぶっきら棒に言った。

メリは俺の顔を悲しそうな顔で見ているがここは毎日通ってもいいかもしれない。


俺は得をした気分でダンジョンへと向かった。

その後ラピアの了解を得て、俺達の朝のポリジがここに決定したのだった。


ダンジョンに入るとメリは早く走り始めたくてウズウズしているようだ。

俺達はメリをなだめながら進んだ。


ある程度人が少ない場所に着くとメリは俺達に確認した。


「そろそろいいよね?」


俺達が頷くとメリは走り出した。

足跡は結構消せているようだ。

俺は関心しながら後を追った。


「敵が増えたね。」


ダンジョン内を走る作戦は一応成功したと言って良かった。

敵の出る間隔が明らかに短くなった。


体力を付けるのにも良い訓練になりそうだ。

メリは今まで抑えてきたので走るメリは嬉しそうだ。


「ドブヌートが1体、短剣が2本、棍棒が2本で66小銅貨になります。」


始めから成果がで始めた。

俺はニヤケ面のメリを軽くつねって平静を装った。

1人22小銅貨、つまり5大銅貨2小銅貨になる。


俺達は黒パンを買うと今日の追加の一品を探した。


「出だしが良かったし汗も少し掻いたからあそこのピケット飲まない?」

「そうしようか。」

「うんうん。」


俺達は木のコップを取り出しピケットを一杯分買った。

そして少し飲んだ。


「随分絞ってるなあ。スッパ苦い。」

「そのうちワインも飲みたいね。」


メリはさっきから黙ってチビチビピケットを飲んでいる。

俺達はその後ドブヌートの串焼きを買い、黒パンと一緒に食べた。


「ふう、昼の部もさっきと同じくらいで大丈夫?」

「私は大丈夫だよ。」


ラピアは頷きながら言った。


「きつくなったら早めに言ってね。徐々に慣れていけばいいから。

「メリと俺は余裕有りそうだから敵の気配を感じられるようにがんばろう。」

「はーい。ダンジョンへ行こー。」


俺はダンジョンの中を走りながら敵の気配を探ろうとしている。


目を強化する、敵の反応が微弱すぎてダンジョンの壁のほうが魔力密度が高い。

人だったら魔力がぼんやり見える。


耳を強化する、自分達の息とか足音が五月蝿い。

敵が光に反応して動き出した場合にはわかる。

動く前にはわからない。


鼻を強化する、ダンジョンを出たら水を浴びないとな。

敵が通ったあとじゃないと臭いを追えない。

風が吹いている訳ではないので遠くの臭いはわからない。


俺は試行錯誤したが今の引き出しでは答えには辿り着かなかった。

とりあえずは一番先が見えない気配を探る道を進むしかない。


気配を探ることに集中すると走りが覚束なくなる。

以前上手く走ろうとした時に似ているな。


「ドブヌートが1体、短剣が1本、棍棒が3本で51小銅貨になります。」


よしよし、朝の部より少ないがまあ安定してるな。

今日はいつもより疲れたが程よい疲れだ。


メリもいつもより楽しかったようだ。

この狩り方にも少しずつ慣れて行こう。


「ライトなしで戦う為の準備として武器と防具を買いたい。武器は、ラピア用に槍がほしい。ライトを使わないと怪我をする可能性が格段に増えるからラピアには一番怪我をしにくいようにしてもらわないと。槍を持ってすぐ感覚が戻るわけじゃないから早めに買いたい 。防具は全員が皮鎧か厚手の服。皮鎧は値段が高そうだから厚手の服が現実的だな。」


「せっかくだから明日は午後からお買い物にしよう!香草とか塩とか安かったらほしいなあ。」


ラピアは乗り気のようだ。


「いいよー。特に塩はほしい!」

「了解~。」


その後は布玉投げと気配飛ばしをした。



目が覚めた。

今日のメリはいつも通り寝ている。


俺は水を飲んで考えた。

メリが大人達と来ている時には背負子を使っていたと言っていたからそれは俺達より狩れてるってことを意味する。


つまり大人達は気配を察知して敵を見つけていたのだ。

逆算すると気配察知はライトの光が見えない範囲までも見通していたということになる。


ドブヌートの死体は一匹で10kg位の重さだ。

1体では俺達のように袋に詰めたままで十分だ。


そうすると2,3体取れることがあったということなのか。

敵と戦った数が今の俺達の2倍以上と言う事になる。


大人達は答えだけを残していったが俺達はそこに辿り着くことができるのか不安になるな。

俺が考え事をしているとラピアがもぞもぞと起き出した。


「おはよう。」

「おはよう。起こしてくれても良かったのに。」

「メリを起こしてポリジを食いに行こう。」


ラピアは少し恥ずかしそうにしてメリを起こした。


「今日も頑張るぞ!」


メリは今日も元気だ。

俺達は昨日と同じくダンジョンの中を走った。


ラピアは買い物が楽しみらしくいつもより嬉しそうだ。

敵を倒せる数が随分増えて嬉しいがもしドブヌートの死体が2体目になったら20kg位で持つのが面倒なことになるなと思った。


嬉しい悲鳴か。

そんな心配を余所に俺達の朝の部の稼ぎは1人17小銅貨だった。


俺達はダンジョンから出ると昼飯にすることにした。

休みが無かったから偶には息抜きに買い物も良い。


俺達は黒パンを買って屋台や市場を冷やかした。


「部屋代を引いて使えるお金は85大銅貨だ。」

「それだと槍は全然買えないねー。」


メリが残念そうに言った。


「今回は色々回ってお値段を調べておこうよ。」


ラピアはやる気満々だ。


「とりあえず武器屋から回ろうか。」


武器屋はどこが良いのかという情報は全く仕入れられていないので目に付く所を見て回るしかない。

どっちにしろ今の所持金じゃ買えない。


俺達が武器屋に入ると服屋以上の視線が飛んできた。


「冷やかしなら帰りな!」

「一番安い剣と一番安い槍だけ見せてよ。」


店に入ってすぐ受付があり、受付と俺達の間には鉄格子がある。

武器は一本一本が高いので客に手渡しでもしようものならそのまま持ち逃げされてもおかしくない。


店員は舌打ちをしながら安い剣と槍を持ってきた。

俺達の手の届かない範囲で止めて剣と槍を見せてきた。


「剣が25銀貨で槍が50銀貨だ。」

「もっと品質がましなのはないの?」

「餓鬼が偉そうに言うな。これくらいの品質だとこの町ならどこもこの値段だ。これでも鉄が出るから他の町より安いぞ。」


「ありがとうございます。お金を貯めてから来ます。」


俺はそう言うと二人を伴って店を出た。

剣は50~60cm位で厚さが薄いのなんの、町の冒険者の装備が貧弱なのがわかる。


あれだったら鉈のほうが使えそうだ。

下手したら魔境の木から切り出した棍棒のほうが強いんじゃないの。


槍は1mちょっとあるかないかで質がいまいちって感じだったな。

常に強化して大事に使わないと硬いものを殴ったらすぐ曲がりそうだ。


メリの武器位の物はチラッと見た範囲で5金貨位はしそうだな。

絶対他人の前で剣なんか振れないなこりゃ。


兵の槍はさっき見た槍より大きくて質も全然良かった。

町長は随分儲かってるな。

その後、他の武器屋に行ったが質も値段も同じだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ