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朝の鐘が鳴った。
俺達は目を覚まし、水筒の水を少し飲んだ。
「よし、ポリジ食いに行くぞ!」
「うん。」
「へーい。」
メリはまだ眠たそうに頭をバリバリ掻いている。
隣の部屋でもラコス達が起き始めた気配を感じる。
俺達はポリジを売っている屋台を探しに町の中央へ向かった。
途中でポリジ屋台を見つけた。
「今日はここでいいか。」
「うん。」
ラピアは背負っていた背負い袋から3人分のお椀とスプーンを取り出した。
そして俺達に手渡した。
俺は6小銅貨を取り出して2小銅貨ずつ二人に渡した。
ポリジ屋は繁盛しているようで周りにはそれなりの人だかりができている。
俺達は自分の番になるとお金を払い、お椀にポリジをよそってもらった。
少し移動して近場で俺達は立ちながらポリジを啜った。
うん、不味い。
だがポリジの中には野菜の切れ端などが入っていて栄養的には良さそうだ。
人も結構来てるし悪い所ではなさそうだ。
メリも嫌がっていた割にはガツガツとポリジを食べている。
俺達は食べ終わると水を一杯貰ってお椀を回しながら水を一気に飲み込んだ。
この水は一杯まで無料らしい。
その後ウォータでお椀を洗ってウォータの魔法が切れて水が無くなるのを待って市場で買った切れ端でお椀とスプーンを丁寧に拭いた。
それをラピアに手渡して俺達はダンジョンへと向かった。
『おはようございます。』
俺達は受付の人に挨拶をして大きな袋を2袋受け取った。
朝起きてすぐご飯を食べて来たので人は疎らだ。
次もこれくらいの時間に来ようと思いつつ俺達はダンジョンへと入っていった。
ここ数回は入り口の付近を回ったので道を俺達は覚えた。
次は少し行動範囲を広げていこうと思う。
そうやって行動範囲を広げて出稼ぎの人とかち合わない程度の所まで行くことが目標だ。
次から新しい場所に向かう時は一応黒パンを持ってきたほうがいいかもしれない。
俺達は新しい場所を回りつつ道を覚えながら探索した。
結果ドブヌート1体と短剣、棍棒が各1本ずつの成果となった。
「ドブヌートが1体、短剣が1本、棍棒が1本で49小銅貨になります。」
「棍棒は受け取ります。」
「ドブヌートが1体、短剣が1本で48小銅貨になります。」
朝の部は昨日より長時間戦ったと事と運が良かったことが重なり12大銅貨1人につき4大銅貨になった。
午後もこれと同じだけアイテムが出れば安定した生活が送れるだろう。
俺達はダンジョンの建物からでトイレへ向かった。
その後パン屋で黒パンを1個ずつ購入した。
市場と屋台を軽くみて今日は屋台のスープを食べる事にした。
俺達はお椀を出して2小銅貨を払い、シチューの様なスープを受け取った。
近くに座れる場所を探して座り、黒パンを浸しながら食べた。
同じ2小銅貨ならポリジのほうが栄養があるがスープは塩が効いていてそこそこ美味い。
美味さではポリジが不味い分スープのほうが圧倒的に上だ。
今日は朝がポリジだけで腹が減っていたのでいつもより美味しく感じられた。
子供の俺達でもこんな感じなのに町の人間の多くは一日2食なのだ。
明らかに栄養が足りていないように感じるが日雇いだとそうなってしまうのかもしれない。
俺達は3人で一部屋借りているので一人当たりは部屋代一日2小銅貨換算になるからな。
この町の孤児院の子供と思われる子供が水を1小銅貨で売っているのを見てゾッとした。
樽に水と少しの香草を入れてコップ一杯1小銅貨で売っているのだが、その服装は継接ぎだからけで痩せ細っている。
しかも彼らはみんな小さく痩せ細っているが10歳以上に見える。
俺達が孤児院に入れられるとなるとああなるのかと思うと人事ではない。
ラピアは教会に潜り込めそうだが、メリはどうだろう。
いや、メリは1人でも元気に生き残っているだろう。一番心配なのは俺だな。怪我して戦えなくなったら・・・・・・。
回復魔法一本に絞って生き延びられるな。
光魔法適性は最高だ。
最近じゃほとんど回復魔法は使わなかったけど少しラピアに教えてもらった方が良さそうだ。
俺達は食後にゆっくりした後、再びダンジョンへと向かった。
ダンジョンにきたがメリには今回は棍棒で戦ってもらうことにした。
剣は使えば使うほど刃が鈍るし、ゴブリンやドブヌート相手には過ぎたる力だ。
それでもメリは俺達と違い1,2発で敵を倒している。
さすがに勘がいいよな。
気配飛ばしでもメリが一番鋭い。
だから余裕が有りすぎて眠ってしまうのかもしれない。
寝ちゃ駄目だ。
そんなメリにちゃんと毎日ご飯を与えて健康に大きく育てるのが俺達の役目なのだ!
と妙なことを思いつつも狩りはしっかりこなす。
油断して怪我をしたら痛いからな。
ダンジョンの中は一種の魔境なので懐かしい気持ちがするなあ。
「短剣が2本、棍棒が1本で33小銅貨になります。」
「棍棒は受け取ります。」
「短剣が2本で32小銅貨になります。」
昼の部はそれ程運が良くなかった。
短剣が2本出ただけましか。
今日は合計一人当たり6大銅貨2小銅貨とちょっとか。
良い滑り出しだ。
ライトの魔力消費にも慣れて俺とラピアで自然回復分で十分すぎる余裕がある。
慣れてきたら俺達も強化を使おう。
と言いたい所だが強化なしでも十分だよな。
敵が複数出る位の所まで潜ってもいいかもしれない。
俺達は恒例のトイレへ移動した後にパン屋へ寄った。
何箇所かパン屋に寄っているが今の所はどこも同じような味だ。
そのうちすごく美味しい所を見つけたいな。
ラピアの発案で昼はスープだったので夜は野菜を買うことにして市場に行った。
ラピアが選んだラディッシュを買って、水筒に水を補給してから帰宅した。
その後は昨日と一緒で今日の事を話し合いながら黒パンを齧った。
明日はもっと早く起きてみようと話しになった。
ラコス達は俺達が帰ってくる前から帰宅していたようだったのでもう少し経ったら調子はどうか聞いてみようと思う。
俺達と違ってダンジョンに入っていられるのに制限時間があるのは大変だな。
けどラコスはウカリスと離れるのが心配らしく日雇いの仕事は嫌そうだった。
まあそこらへんは二人で決めることか。
その後、気配飛ばしをして、途中でメリが眠って終了となった。
俺は鐘が鳴る前に目が覚めた。
ラピアもほぼ同時に目が覚めたようだ。
この時間はミュッケ村の朝の鐘時間くらいだろう。
久しぶりだったので起きれるか不安だったが夜寝るのが早いせいか俺もラピアも起きることができた。
メリを起こしてポリジを求めて屋台を探した。
屋台はやっている店とやっていない店があったが昨日とは別の場所にポリジを売っている屋台を見つけた。
ポリジを食べ終わったら俺達は早速ダンジョンへと向かった。
デロス町の朝の鐘が鳴る前に俺達はダンジョンに潜った。
いつもより人がほとんど居なかったので快適だった。
俺達は今日も行動範囲を広げていった。
朝の部の目標をドブヌート1体と短剣1本にして狩りをした。
しかし今日は運が悪く、ドブヌートは何も落さなかった。
結局短剣2本と棍棒2本が朝の部の収穫だった。
「短剣が2本、棍棒が2本で34小銅貨になります。」
「棍棒は受け取ります。」
「短剣が2本、棍棒が1本でで33小銅貨になります。」
結構な時間潜ったが成果はまあまあだった。
短剣が2本出ただけいいほうか。
ゴブリンの落すアイテムは確率が高いようである程度安定して落すのでありがたい敵だ。
しかしドブヌートは確率が低いようで運が悪いと何も落さない。
俺達がダンジョンの建物を出ると丁度昼の鐘が鳴った。