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お金を稼いだ組はまだ戻ってきていないようだ。

マントを買って朝よりはましな格好になった俺達を教会に残っていた子供たちは囲んだ。


「マントだ。すごいなあ。欲しいなあ。」

「ちょっと触らせてよー。」

「かばんの中、見せて見せて。」


子供たちは無邪気に見ているが教会の修道女達は俺達が結構な散財をした事を察したようで、そんなにお金持っていたんだという顔をしていた。


「みんなはエル村かタウロ開拓村に行くだろうけど、冒険者になる時にはどうしても必要な物がたくさんあるぞ。自分が成人した時に最低限の装備が揃えられるようにしておくんだぞ。」


といいつつ、無理だろうなと思う。


ミュッケ村でも支給品はあったがお金はもらえなかったからな。

それでもマントなどを揃えた俺達は子供達にとっては輝いて映ったようだ。


通りを歩く冒険者はマントをしている人は少ないようだった。

きっと宿に毛布はあるんだよな・・・・・・?


マントを着ると服のボロさが隠れて着の身着のままで飛び出してきた俺達には丁度良い。

同じ日雇いなら身だしなみがしっかりしているのが信用されるってもんだ。

ただでさえ俺達はまだ成人してないからこれくらいはしっかりしないとな。


「自分の今後について決まってない子はいるか?」

「みんな決まったよー。」


「そうか。良かったな。」

「おめでとう。」


早めに帰ってきたのは決まっていない子が居たら相談に乗るためだったが無駄になったな。


俺達は子供たちにマントやかばんを渡して教会の敷地の端に武器を持って移動した。

もちろん絶対壊すなよの言伝は忘れていない。


「訓練は本当は毎日やらないといけないかったんだよな。」

「しょうがないよ。」


「私も教会のお手伝いだったからね。」

「明日からはしっかり時間を取らないとな。」


それにしても棍棒は振りづらいな。

威力はあるのかもしれないが速度が出ないし重さも均等じゃないから大振りになりがちだ。


俺は当分棍棒だから慣れておかないと。

教会の修道女達は素振りをしている俺達を見ていたが、少し引いてる人と納得しているだろう人の2種類に分かれた。


模擬戦をしたがメリは鞘に入れた剣を使っていたが棍棒に慣れていない俺は翻弄され続けた。盾中心で戦った方が良いな。


棍棒を振るとどうしても隙が出来るから盾で小さい動きで牽制したほうがメリはやりづらそうだった。

魔物と戦う分には攻撃力が必要だから棍棒振り回したほういいんだが・・・・・・。


詰め所で借りたあの槍はやっぱり良い物だったな。

空間さえあれば剣より距離を取って安定して戦えた。


俺達は軽く汗を流しながら訓練をした。



夜の鐘がなって他の年長達も帰ってきた。


ベラから明日の午後にタウロ開拓団が来るとの連絡があった。


夕食後、俺達は食器を片付けた後もう一度食堂に集まった。

各々の今後について話し合う為だ。


結果、年少の子供達はエル村とタウロ開拓団で半分位に分かれた。

年長はグロウと11歳の夫婦、10歳の2人がエル村に行くことになった。


エスタとセリナは傷の回復の為にタウロ開拓団に行くから、町に残るのは俺達夫婦とラコス夫婦になった。

ラコス達が残るとは思っていなかったが、ラコスほど体格に恵まれていれば冒険者家業には引っ張りだこだろう。


冒険者では体格が良くてガッチリしている人が優遇されている。

見た目からして力の強さがわかるからな。


特にラコスは11歳で大人よりしっかりした体格をしている。

これからしっかり食事を取っていればより大きくなるだろう。


逆にウカリスのほうが心配だが二人で決めたことなので俺達が言うことではないだろう。そんな2人だったが今日は軽く外食しただけでお金はほとんど使わなかったようだ。


俺達は解散して町に残るラコス達と話しをした。


「さすがメリ達ね。しっかり町で生活する物を揃えたのね。」


ウカリスは俺達の買った物を羨ましそうに眺めながら言った。


「お金を全部使い切らずに残し置いたのも正解だな。俺達は今日買う物は既に決めてたからな。」

「ロ、ロッシュ達は何を買ったんだい?」


俺はラコスとウカリスに買った物を説明して値切ることが如何に面倒だか話した。


二人は俺達に相談してから物を買うつもりだったらしい。

と言っても二人はお金自体ほとんど持っていないからこれから先の話しだ。


「お金はどうしたの?話せないなら言わなくていいんだけど・・・・・・。」


ウカリスが遠慮がちに聞いてきた。

俺達の所持金と買ってきた物が明らかに合わないからな。


「スタンピートで教会を守っていた時にゴブリンから回収した。」

「そうだよ。ロッシュは私にも教えてなかったからびっくりしちゃったよ。」


メリは頬を膨らませて抗議した。


「メリに教えたら顔に出るだろ。町に残るからこういう使い方をしたが場合によっては別の使い方になっていただろうからな。買う時には相談したよ、きっと。」

「むー。」


「というわけで全うな方法だよ。それにラコスと違ってメリ以外は俺達まだ小さいから見た目からどうにかしようと思ったんだ。夜寒いし。二人の場合は生活してみて足りないものを買い足せばいいよ。いざとなったらお金は貸すけど俺達だって今回の買い物でほとんどスッカラカンさ。」


ウリカスは感心しているようだ。


「ベラから明日の午前に町長との面会が決まったって話しを聞いたから丁度良かった。俺達はミュッケ村の一員として村の恥にならないようにしなくちゃならない。」


町に残る組の話し合いは終わった。

ドブヌートの製品が安いので服関係は見栄えを気にしなければ安く揃えられるだろう。


俺は明日の町長との話し合いのことを考えながら眠った。



「ゴーン。」


今日は町長との面会だ。

町で働くとなると、俺とメリ、ラピア、ラコス、ウカリスの身分証明書代わりになる物も受け取らなくてはならない。


朝食を済ませたあと軽く話しをして俺達はすぐ町長の家へと向かった。

かばん等の雑貨は教会に置いてきて昨日買ったマントを羽織っている。


村長の家の入り口に到着すると門番に今日会う予定があることを告げた。


照会の為に少し待った後は町長の家の敷地内へと案内され、メリの剣を預けて小部屋に通された。

その後かなりの時間を待たされた。


待てば待つ程緊張感が無くなっていくのを感じる。

緊張感があまり無くなって来た頃、俺達の面会の番になって、応対用の部屋に通された。


「ネポス様。今日は私達の為に時間を割いていただいてありがとうございます。」

「良い。かけろ。」


俺達には大きい椅子に着いた。

思っていたより話しが通じそうな感じだな。


カタロさんにどういう人物か聞いていたが実物を見てみないとわからないからな。


「教会への保護ありがとうございます。私達は2つの夫婦、合計5人が町に残る予定です。」

「おまえ達3人は夫婦なのか?」


「はい。私は10歳、彼女達は11歳です。日雇いは成人の12歳から登録できるので働く為に私たちも日雇いの登録をお願いしたいのですが・・・・・・。」


「だいたいの話しはタウロ開拓団の者に聞いている。お前達はどれくらいの強さだ?」

「はい。町に残る者は全員ゴブリンに一対一で勝てます。強い者はゴブリン数匹でも容易いです。」


「ほお。ライトも長時間使えるそうじゃないか。教会で戦っていたのはお前達か?」

「はい。ミデン様より槍を貸していただけたので戦う事ができました。」


「ふむ。単刀直入に言うがお前達はダンジョンに潜りたいか?」

「はい!」


メリが勢いよく答えた。


「はい。経験者もいるので許可が頂けるのならこれ程喜ばしいことはありません。」


「うむ。お前達にダンジョン入場の許可書を与えよう。これはお前達というよりタウロ開拓団への感謝という意味が大きい。お前等は運が良いな。許可書の発行は明日とする。下がってよい。」


『ありがとうございます。』


俺達は立ち上がりお辞儀をした後、町長の家から出た。

門番から見えない所まで平静を装って移動した。


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