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3話

 俺達は孤児院に移動した。

年少組は孤児院に居たので既にみんないたが、年中組と年長組はまだ人が疎らだ。

俺とグロウは席について人が揃うのを待った。


みんなが揃ったあとは座学から始まり、戦闘訓練、最後に魔法訓練を行う。


今年11歳の男子はみんなソワソワしていて落ち着きが無いようだ。

あと少しで自分の職業と結婚相手が決まるとなると仕方ないなと他人事のように思った。


その中で特にラコスは真剣そのものだ。

ラコスは体型ががっちりしていて縦にも横にもでかい。

若干気が弱いところがあるが今はそんなものはなりを潜め、ただただ戦意に満ち溢れている。

なぜならラコスは村一番の美少女ウカリスとの結婚の為になら命をかけてもいいと思っているからだ。


ここ最近のラコスの戦闘訓練に対する熱の入れようには同世代の男子にも伝わりピリピリとした空気が生み出されている。


俺の予想では武力部門の1位はメリになるだろう。

次に強い女子はよくて5~6位になるだろうから実質2位争いってわけだ。


11歳で2位になりそうなのは親が兵士で強くてかっこいいエスタの確率が高い。

ラコスは今までだと3~4位って所だろう。

俺はいつもラコスと3~4位争いをしている。


だからといって強いかといわれると俺とラコスは同じくらいだとするとエスタはそれより少し強い。

エスタと戦った場合俺だったら4割勝てる位だ。

しかしそれがメリになると勝率は1割行かない。


程々に強いからこそメリの強さが完全に一段階上というのがわかる。

才能の差を感じずにはいられない。


メリを除くと実質2位争いはエスタとラコスになる。

俺は別に来年もあるし今年勝ったところで戦闘職には就かないので普通でいい。

それより確実に学力で3位以上を取る事に全力を注ぎたい。


そう考えていると年中、年長組もほぼ揃ったようで座学の授業が始まった。


座学の授業はまじめに聞いていたのであっという間にすぎていった。


次は戦闘訓練の授業だ。

俺達は孤児院の裏の戦闘訓練場に移動して各自練習したい武器を握った。


ミュッケ村では最初に何種類かの武器について学ぶ。

基本は剣、槍、弓だ。


それらの基礎を最初に習ったあとに各々が希望する武器を習っていく。

短剣や盾、大剣、棒等だ。

特に盾は人気で剣と盾の組合せが一般的だ。


俺も剣と盾の組合せを主に習っている。

安定性のある組合せが一番だからだ。


大剣などが必要な程の強い敵とは戦う気はない。

猟師になる為には弓ともう一種類武器が上手く使えないとなれないが俺には関係ない。


木刀と盾を持って素振りを始めると気合の入った声が聞こえてきた。


エスタとラコスだ。

一月位前まではエスタとラコスが組んで模擬戦をしていることが多かったが最近は二人が模擬戦をしている所を見たことがない。

二人は各々大人に稽古をつけてもらっている。気合の入った稽古を見ているとついつい俺も感化されてしまった。


「グロウ。俺達もやるぞ。」

「ああ。ロッシュ、俺達も来年はああなるのかな。」

「どうだろうな・・・。」


グロウもどうやら少し感化されてしまったらしく俺達はいつもより激しく模擬戦をした。

その後相手を変えつつみんな熱に浮かされたように模擬戦を行った。


教官役の大人達もそういう俺達を生暖かい視線で見ていた。

メリと模擬戦をしたがすぐ負けて冷や水をかけられた気分になったがメリも目を爛々と輝かせてたので良かったとしよう。


いつもより激しい戦闘訓練が終わった。


次は魔法訓練の時間だ。

 

ミュッケ開拓村では子供が6歳になると魔力の適性を診断する。


魔力の適性には火、水、風、土、光、闇、それ以外の無属性がある。

適性が無くても使っていく内に適性が少しずつ上がっていくがやはり本来の適性を伸ばしたほうが能力の伸びがいいし時間も短く済む。


だいたい普通の人が1属性、多い人で2~3属性の適性を持つ。


水と火、風と土、光と闇の属性を同時に持つ人はほとんど居なく、居ても属性同士が反発しあってどちらかを諦めるしかないのが現状だ。

そう考えると3~4属性持っている人は天才といっても間違いではないだろう。適性を診断する時は俺も随分と興奮したものだ。

あの時の興奮は忘れることはないだろう。


まず診断用の小部屋に一人一人が順番に通される。

部屋の中にはテーブルがあり、その上に大きめの透明な魔石とその回りに等間隔で各属性の魔石を置かれていた。

中央の透明な魔石に手を置き魔力を通すと適性のある魔石が仄かに光るのだ。


各属性の大雑把な特徴は火属性は攻撃に優れている。

水属性は防御と回復に優れている。

土属性は防御と攻撃に優れている。

風属性は速度と強化に優れている。

光属性は回復と浄化に優れている。

闇属性は敵の弱体化に優れている。

無属性は武器や自身の体に魔力を通すに優れている。


俺の適性は無属性と光属性であった。

それを知った時は俺らしくもなく思わずはしゃいでしまったものだ。

俺が一番ほしかった属性は無属性だったからだ。


無属性はそれ以外の魔法適性がない人が得ることが多く、獣人などがそのもっともたる例になる。

無属性は魔力を武器や自分の体に通すことで強度を上げるシンプルな属性だ。

しかしシンプル故に安定している。


元々身体能力が高い獣人が無属性で身体能力を強化するともう手に負えない。

そういった意味で前衛をするなら無属性の適性はほぼ必須といっても過言でない。

無属性の適性が無くても前衛の者なら皆、無属性を使っている。


光属性は薬師の必須技能と言われるほど回復力に優れている。

そしてアンデット系の魔物に絶大な威力を発揮する。


俺は回復力だけでも光属性は十分強いと思っている。

それだけでも十分だが光魔法にはまだ重要な魔法がある。


それはライトだ。

ライトは光の玉を出す魔法で出している間は魔力を消費する。

しかし魔力の消費量が他の魔法に比べて少ない。


魔法が使える人はほぼ全てが夜にライトを使ったことがあるだろう。

適正がないと短時間しか維持できないが燃料の消費を抑えられるし、何より物を燃やすより明るいのが最大の利点だ。


特にダンジョン探索には必須といえよう。

場所によっては明るい場所もあるがほとんどのダンジョンではライトは必須だ。


パーティーに一人はライト要因を入れる必要がある。

ライト要因は戦闘に参加することもあるがが戦闘では魔力を使わずに全ての魔法力をライトに使う。

適性があっても常にライトを使うとなるとその大きさは小さいものになるがそれでもダンジョンの中では最高の明かりと言えよう。


ライト要因が死んだことでパーティーの魔力をライトに回さなければならず全滅といった例も少なくない。

光適性のあるポーター、所謂荷物持ちはダンジョンならどこでも重宝される。


現に孤児院の夜のライト担当は俺とラピアであるが光量を絞れば一人で維持できる。

といっても子供ばかりなので暗くなったらすぐ寝てしまうが・・・。


ライトの話しをしたがライトより使われている魔法がある。それはファイアだ。


ミュッケ開拓村では6歳になって適性診断をした後に真っ先に覚える魔法である。

適性のあるなしに関わらずファイアは全員必須だ。


火を使えるか使えないかでは何かあった時の生存率が段違いになる。

土の魔法で出した土は後で消えてしまうが、火魔法で枯れ木を燃やしたら火魔法を止めても火は消えない。

それがファイアの利点ではあるがそれが常にそうであるわけではない。


水属性の魔力が強い場所では枯れ木を燃やしても火魔法を止めた時点で火は消える。


土属性の魔力が強い場所では土魔法で出した土が魔法が終わった後も少量残る。


魔境で伐採した木の根を焼くのには常に火魔法を使わなければならない。


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