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18話

「カン!カン!カン!」


鐘が連続で打ちなれされている。

俺はびっくりして飛び起きた。


この鐘の合図はすぐに広場に集まれだ。


「メリ起きろ。」


ラピアは俺と同時に起きていて出かける準備を始めた。


「メリは武器を持って、広場に行くぞ。」


メリが起き、準備を始める。


「俺は周りのみんなを起こしてくる。」

「うん。」


俺は家から出る。

そうするとエスタとセリナも丁度出てきたところだった。


「俺はラコス達を起こす。残りは頼む。」

「ああ。」


俺はラコスの家の扉を叩いた。


「ラコス。起きろ!緊急の鐘だ。」

「はい。今起こします。」


この声はウカリスだな。

とりあえず1人起きればすぐだろう。


「何が起きているかわからない。支度は急げ。」


ラピアと帯剣したメリが出てきた。


「エスタ、そっちはどうだ。ラコス達はもう少しだと思う。」

「ロッシュ、こっちももう少しだ。ロッシュ達は先に広場に移動しておいてくれ。」


「わかった。メリ、ラピア行くぞ。」

「はいよ。」


メリも目がしっかり覚めたようだ。

俺達は広場に向かって走り出す。

広場に着くとすでに数人の大人が集まってきている。


「敵襲だ。ゴブリンが数え切れないくらいだ。村は守りきれない。避難しないと!」


見張り台の大人が叫んだ。


「数え切れない位ってどれくらいだ!」

「とにかく数が多い。もうすでに魔境から出始めて畑の近くまで迫っている。くそっ。足の速いのが何匹かいるぞ。数分も時間がないぞ!」


「状況は?」


村長が到着した。


「魔境からゴブリンが多数沸いてきた。数え切れないほどで中には強いのも混じっている。足の速いのはもう数分で来る。」


話しを聞くや否や村長は物見櫓を駆け上った。


「くそ。守りきれる数でもないし倒しきれる数でもない。」


「全員武装開始!足の速い敵はすぐ来るぞ!大人は二手に分かれる。ここで足止めする組と非戦闘員と子供達を北のエル村まで護衛する組だ!北のエル村に着いたらできるだけ早く東へ進んでデロス町へ行け!足止め組は生き残れないと思え!」


村長は焦った様子で周りを見回した。

そして俺達を見つけ動きが止まった。


「ロッシュ!お前達は直接デロス町へ向かえ!メリは一回行ったことがあるな?」

「私も戦うよ!」


メリは昨日貰った剣を握りしめて言った。


「弱いお前が居ても足手まといだ。デロス町にスタンピートが起こったと報告しろ!規模は最大級と言え!その後は町で合流を待て!」


スタンピートとは攻略されないで放置されたダンジョンが5年周期で魔物を大量に吐き出す現象だ。

俺は返答に困った。

しかし周りの大人達の目が行けと言っている。


「おい、ロッシュ。おまえは賢いからどこ行っても上手くやっていける。3人でがんばれよ。」

「メリ。二人を守ってあげて。」

「ラピア、体に気をつけて。」

「お前達はミュッケ村の開拓村っ子だ。お前達は強い。負けんなよ!」


なんだこれは。

もう会えないみたいな言い方して・・・・・・。


「わかった。行く。みんなも後で合流しろよ!メリ行くぞ!」


メリは俺と村長を見比べて迷っていたが村長が力強く頷くと俺に着いて来た。

俺は不安そうにしているラピアの手を引いた。


「敵が来たぞ!数5!」

「武器を持ってない奴は下がれ!強いぞ!」


村長達は一際大きいゴブリンに狙いを定め、戦いを始めた。

俺が今まで見た中で最も強い敵だがそれでも村長達は上手く戦えている。


「急ぐぞ!」


俺達は走り始めた。


「広場では戦闘が始まっている。子供と戦えない者はまず北のエル村に逃げるから北の門に集まれ!あとは大人の指示に従え!」


俺達は情報を伝えながら北門へ向かった。

北門に着くと門番の大人が居た。


「敵の数は数え切れないほどで足の早い強い敵がもう広場まで来ています。俺達は先にデロス町へ向かえと村長に言われました。子供と戦えない者は急いで北のエル村に向かってその後デロス町へ行くそうです。来る途中に北門に集まれと言っておきました。」


「よし。わかった。よくやった。子供達の護衛は俺達にまかせてロッシュ達は町へ急げ。」

「はい。いってきます。」

「ああ、いってらっしゃい。」


俺達が北門を出るとゴブリンの群れがミュッケ村を囲み始めていた。

魔境から村までの間にもまだゴブリン達がひしめき合っている。


あまりの数に俺達は一瞬止まったしまった。

何匹かのゴブリンはそんな俺達に気がついてこちらへ向かってきた。


「メリ、盾を貸して。俺が殿をする。」

「わかった。」


俺はメリから木の盾を受け取った。

距離はあるものの、追いかけてくるゴブリンの中には弓を持っている個体もいるので俺は一番後ろに陣取った。


「北東に移動すると守りにくいし敵との距離が稼げない。まず北に向かってゴブリンを振り切ろう。メリ、ラピアの手を取ってくれ。」

「うん。」


メリがラピアの手を取って北へ向かって走っていく。

俺も後ろを見ながら二人から離れないように着いていく。

追いつけないと悟ったゴブリンは弓を打ってきた。


「矢来るぞ。2!」


メリがラピアに覆いかぶさるように走る。

俺は飛んでくる矢を集中して見た。


2本の矢が山なりに放たれた。

一本は軌道が外れたがもう一本は俺達のほうに来た。


ゴブリンのくせに練度が高い!

しかし一本なら俺は強化をして盾で弾き返した。


「矢は処理した。このまま走り抜けろ!」


弓を持つゴブリンが少ないことと俺が防いだことが幸いしたのかゴブリン達は追走を止めて村の方に向かった。


「ゴブリンが諦めたようだ。このままデロス町へ行くぞ。」


俺は緊張感を少し解いて言った。


「このまま北東に進んで直接行くより北北東に進んでエル村からデロス町への街道を見つけて東に行った方が確実かな?メリはどう思う?」


「そのほうが確実だね。ある程度距離があるから迷子になったら困るし。それに街道を見つければ水瓜が残ってるかもしれない。」


「街道から離れすぎたからここらへんにはさすがに無いか。北に行けばミュッケ村からエル村への街道があるからそこで水瓜を補給する?」

「準備する時間があったから昨日汲んだ水が水筒にあるよ。」


ラピアはやっと落ち着いてきたようだ。

俺の木の水筒には少しの水しか残っていなかったが二人の水筒にはしっかり水を入れてきたようだ。


「俺は少ししか残ってないからなくなったらよろしく。」

「うん。少し休憩しようよ。」

「わかった。」


俺達は走るのを止めて地面に座り込んだ。

俺も思った以上に疲労が溜まっていたようだ。


ゴブリン達の黒い波を見て平然としていられる方が少ないだろう。

俺は疲労を悟られないようにゆっくり水筒を出して水分を補給する。


村と村、村と町への距離は歩いて数時間かかるので焦って走っても途中で息切れするだけだ。


「メリはエル村とデロス町に行ったことあるよな。どれくらいかかった?」


「うーんと。朝ミュッケ村を出て昼頃にはエル村に着いたね。そのあとご飯を食べてその日は色々積み込みをして次の日の朝にエル村から出た。エル村からは荷物が増えてるからゆっくりめで一回昼ご飯休憩してそのあとすぐ着いたよ。」


「そうすると順調に行って、夕方前に着くかどうかってところかあ。エル村にも伝令が走っているだろうから早い人なら俺達より早く着くかもな。けど俺達は焦らずに行くぞ。スタンピートの影響で他の魔物や獣が出てくるかもしれない。」


「わかったわ。その時は私に任せなさい!」

「盾は俺が持ったままで囮役をする。ここらへんに盗賊が出ないことが唯一の救いだな。」


ミュッケ村が出来る前は盗賊も出たそうだが村長達が盗賊狩りを何回かしたらもうここら辺では盗賊は出なくなったそうだ。


村長が直接町に向かえと行ったのはそれが俺達が一番安全だからだろう。

北のエル村経由だと何かあった時に子供の俺達じゃ色々面倒だろうからな。


「よし。メリとラピアはいいか?」

『うん。』


「じゃあ、行こうか。」


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