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17話

井戸で水を汲んでくると丁度村長が俺達の家の前に来ていた。


「お、今からメリとラピアに話しがあったところだ。」

「はい。どうぞ入ってください。」


俺が先導して家に入る。


『おかえり。』

「ただいま。村長が来たぞ。」


と言うとラピアが急に動きがギクシャクしてきた。


「さすが仲がいいな。そしてメリとラピアおめでとう。メリは兵士。ラピアは薬師決定だ。」

『ありがとうございます。』


「おめでとう。」

「お前達は成績が良かったから揉めずにすんだ。そしてメリには兵士就任祝いのショートソードと木の盾だ。盾は使わなかったらあとで返却してもいいぞ。」


「やった!自分の剣だ。しかも鉄の剣だ。」


メリはずずいと村長に近寄ると剣と盾を受け取った。


「しかも結構質も良い気がする。」


家の中でさっそく振り始めた。


「危ないから外でやれ。高価な物だから絶対に無くすなよ。支給は最初の一本で次は相当な事が無い限り支給されないからな。わかってるか?」

「はいはい。」


空返事をするメリを見て、村長は溜息をついた。


「まあ、いい。ラピアも支給品があるがそれは薬師から受け取ってくれ。その支給品も高価だから絶対に壊すなよ?おい、メリお前だ。」


さすがにメリは大人しく剣を鞘にしまった。


「あと二日は自由にしていいが周りが全部仕事があっさり決まるわけじゃないから静かにしていろ。孤児院に行って訓練なり勉強するなり遊ぶなりするのが一番かもな。」

『はい。』


「俺からの話しは以上だ。メリだけはしっかり注意するように。」

『ありがとうございました。』


そう言うと村長は家から出て行った。


「二人ともおめでとう。希望の仕事があっさり決まって良かったな。」

「ありがとう。今からドキドキするよ。」

「うん。」


メリは剣の感触を確かめるのに夢中で生返事だ。

俺は汲んで来た水をコップに移して3人分を用意する。

俺達は水を飲んで一息ついた。


いつもより興奮気味の2人を見ると俺も嬉しくなってくる。


ゆったりしていると夕飯の鐘が鳴った。



俺達は食堂へ向かった。

食堂に到着するとメリ達11歳の席には白パンが一個置いてあった。

俺達の席には白パンが半分だ。


「ロッシュ。パンが一個になったよ!」


メリが得意そうに言った。


「メリもついに大人の仲間入りってわけだ。」


テーブルには余ったのであろう白パンが小さく切り分けられていた。

これは食事が始まったらいつものように分けるのだろう。


祭りの当日にはあんなに一杯あった白パンも今日でお終いか。

そう考えると寂しくなった。


明日からはポリジが復活する。

グロウはメリ達のパンの量が増えたのを羨ましそうに眺めていた。


「明日、明後日も休みだが気を抜かないように。ではいただきます。」


その後白パンは配られた。グロウはほくほく顔をしている。


「ロッシュ。家はどうだった?」

「広さは縦3m横2m位でテーブルとか椅子を置いたら3人だと狭い感じ」


「そうか。でも自分の家かあ。羨ましいなあ。」

「来年はお前も自分の家持ちだ!その前に嫁探さないとな。」


「どうするんだろ?俺。」

「俺に聞くなよ。ちゃんと院長と相談して決めろよ。」


「その手があったか。将来美人になる優しくて可愛くて俺にベタ惚れの相手を見つけてもらおう。」

「前途多難だな。」


俺は食事に戻った。

孤児院の年下の子供は家に興味があるらしく質問攻めをしてきた。


俺はできるだけ丁寧に話した。

大部屋でみんなで寝てる子供達にはやはり家に対する憧れが大きい。


俺は自分の得意な分野を伸ばしてがんばらないと結婚相手が見つけられないぞと子供達を脅しておいた。

夕食が終わると食器を片付けた。


結婚していない子供達は集まってから挨拶をして解散する。

俺達家持ちはもうそのまま帰っていいのだ。


『みんなおやすみ。』


と子供達に声をかけてから3人で家に向かった。

俺は弱めのライトを使った。


同じように新しく家を持ったエスタやラコス達が同じ帰路に着いた。

家に近づくにつれ人が少なくなり、ライトの数も減り暗くなってきた。


俺は不思議な感覚になりつつも結婚したんだなあと思った。

俺達は家に入ると椅子に腰掛けた。


「ふう。今日から3人か。何をしようか。」

「はいはい!」


メリが勢いよく手を上げた。


「メリ、どうぞ。」

「これからの事について話し合いたい。」


メリがまともな事を言ったので俺は内心驚いた。


「これからの夢とか何したいとかどんな家に住みたいとか。」

「うん。そうだね。」


ラピアは乗り気のようだ。


「ならそれでいこう。よしじゃあまず夢からにしようか?」

「駄目駄目。ロッシュ君、わかってないなあ。こういうのは3人並んで寝ながら言うんだよ!」


「え、そうなの。」

「私はこのままでもどっちでも良いけど、せっかくだし寝ながらにしようよ。」


ラピアは恥ずかしそうに言ったが寝ながら話したそうだ。


「わかった。じゃあそれで。」


俺はライトの光量を今までより少なくして長時間持つように魔力を多めにつぎ込んだ。

それを見たラピアはライトに魔力を分け与えた。


これで数時間は持つだろう。

そこまでは起きてないだろうけど気分の問題だ。


メリ、俺、ラピアの順で川の字で寝た。


「私の夢は村長より強くなること。」

「俺の夢はもっとでかい家に住んで子供もせっかくだから3人以上はほしいな。そして普通の家族としての生活をする。」

「私は薬師として一人前になりたい。」


俺達は自分の夢を語った。

俺達の夢は昔から変わっていない。

そして俺達は夢に向かう道を確実に進んでいる。


夢の話しは尽きることはなかったが途中でメリから寝息が聞こえてきた。


本日のお話しはこれにて終了。

夢についてはまた明日語り合おう。

時間はたっぷりある。


では、おやすみなさい。


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